ただいま読書中
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2013-11-27T06:00:29Z
Fumikura―ただいま読書中
Movable Type 3.31-ja
荻原浩著『明日の記憶』ー横山真二
tag:www.kakuta.tv,2013:/fumikura/report//18.1439
2013-11-27T05:50:45Z
2013-11-27T06:00:29Z
お久しぶりです。幽霊劇団員の横山です。 最近のKAKUTAのお客様は知らない方も...
私のような地方出身者は同じ出身で活躍されている方がいると凄く親近感を憶える。渡辺謙さんと樋口可南子さんはどちらも同じ新潟出身。しかも中越地区(マイナー)。そこだけに惹かれ購入した本です。
この本は49歳という若さで若年性アルツハイマー病(いわゆる認知症)の診断を受けた主人公とその家族のその後の生活を描いたお話です。
当時この本を読んだときはそういう病気を想像しながら読んだ。記憶が無くなっていくこと、何も記憶できないこととはどんなに不安なんだろう。本人だけでなく家族はどんなに辛いんだとうって。思い出を積み重ねることができないということはどういうことなんだろう。
今、私は病院で働かせていただいており、実際にそういった病気を持つ方と身近に接している。
その中でこの本をまた読み返してみた。
この本を改めて読んで感じたこと。
それは「今」ということ。
過去のことも大事、未来のことも大事。でも一番重要なのは「今」が楽しいかということ。
これだけ聞くと今だけ楽しければいいとか無謀な言葉に聞こえるかもしれないが少し違う。未来のことを思い描き辛い「今」を過ごすことも一つかもしれません。
何が言いたいのか自分でもよくわかりませんが、「後悔」しない生活を送るということ。
文字にするとなんだか薄っぺらいかもしれないけどこの本を読んで、常に「今」を大切にしている主人公夫婦を感じながらそんな気持ちになった。
なんとなく生活していくのと1mmでもそういうことを考えながら生活していくのでは人生の楽しみ方が10倍違う。(偉そうですいません)
だから私は一向に痩せなのかもしれません。(ダメだろ!!)
映画化もされていますのでお時間ありましたら是非ご覧になってみてください。]]>
道尾秀介著『鬼の跫音』-若狭勝也
tag:www.kakuta.tv,2013:/fumikura/report//18.1433
2013-11-18T13:10:32Z
2013-11-18T13:15:30Z
道尾秀介さんの本が気になってた。 僕より1歳年下の、1975年生まれの作家さんだ...
“必然だったような偶然”で、手にした。
『鬼の跫音(おにのあしおと)』
「鬼の跫音」「犭(ケモノ)」「よいぎつね」
「箱詰めの文字」「冬の鬼」「悪意の顔」
6編の短編集、6人の「S」による危険な罠。
僕は、ホラー、ミステリ、サスペンスが好きで、最後に真相が分かったりすると、勿論、そうだったんだあ!と驚くことはあるんですが、その驚きは一瞬で、ドキドキしてた割には、
「あ、そういう事ね。」
とサラッと終わる時もあります。
読んでいる途中は、ドキドキしながら読んでいるのですが、終わってしまうと、
「ふーん。」
と。
サラッと終わらず、真相が分かってからも印象に残る作品ってなんなんだろうと思っていたのですが、道尾さんのこの本の作品はどれも面白いのです。
犯人は誰だろう?とか、真実は何なのか?とか、物語の進行を追っていくというよりも、
この人は何を思っているのか?何を感じているのか?と、人の心の動きを追っていけるので、
読み終わったあとに、答え合わせのようなラストの驚きというよりは、
そうなってしまった、そうなってしまう、それまでの人の心の動きに驚きます。
本の帯にあったのですが、
人の心は哀しい。恐ろしい。
そして愛おしく、切ない。
あっ!そして、言うの忘れてた!
道尾さん本は、まだこの本しか読んでないので他の作品は分からないのですが、
作品の出だしが僕は好きなんです。
最初の1行から、
ぶぅわっ!
といきなり引き込まれるので、すぐに読書時間に没頭出来ます。
最初の1行で、最後まで読みたいと思うんです。
お時間ございましたら是非ご覧くださいませ。
もう、一気に“ちゃんちゃんこ読書”状態で読み切りましたよ。
(“ちゃんちゃんこ読書”の季節になってきましたね☆自宅)
また道尾さんの他の作品も是非読んでみたいと思います。]]>
近藤麻理恵著『人生がときめく片づけの魔法』ー 松田昌樹
tag:www.kakuta.tv,2013:/fumikura/report//18.1438
2013-11-10T23:25:22Z
2013-11-10T23:37:41Z
ジ•アナザーメンバー幽霊劇団員の松田です。 ほとんどの方、初めまして!! もう、...
「人生がときめく片づけの魔法」
せっかくだから、実用的な本を選びました。
みんなの流れ崩していたらごめんなさい!
人生を変えるほどの本というのは、滅多に出会えるものではないと思いますが、僕はこの本を読んで本当に人生が一変しました!
口コミがどんどん広がって話題になり、つい先日ドラマ化もされました。ご覧になった方もいるかもしれません。
人生なんて、大げさだな…
最初は僕もそう思って読み始めましたが、ところがどっこい、読み進めるうちに「ほぅー」と納得でき、不思議と「今すぐ片づけがしたい!!この片づけ論を試してみたい!!」という気持ちになるのです。
僕の家は、自分で言うのもなんですが、昔から割と片づいているほうでした。ただ、ものは多く、収納しきれない道具や本は部屋の隅にまとめたりと、まぁそれなりの家。
ある日、この本に従って家の中のものを一気に整理してみました。
そしたら、あれよあれよと「お役御免」なものたちが、ゴミ袋へと収まっていったのです。
そうなると後は連鎖で、ホコリが落ちているのも気になってマメに掃除するようになるし、キレイなキッチンで自炊をしてみたくなる。
片づいている自分の家が大好きになり、毎日が充実するのです。
(嘘みたいですが、本当にそうなのです!)
以来、片づけの魔法はとどまることを知らず、僕の人生をキラキラと輝かせ続けてくれています。
この本では、従来の片づけガイドライン、方法論といったことではなく、徹底して「マインド面」の追求がされています。
文中、僕が特に気に入っているフレーズがこれ。
【片づけとは、「片を付ける」こと。】
過去の自分や、ものたちに、片を付けて、前に進むこと。
そうか、なるほど。
と納得しながら、昔フラれた女の子の思い出の品に、片を付ける今日この頃です(笑)
お部屋がつい散らかってしまう…という方、騙されたと思ってぜひ!
劇団員各位》稽古見に行くからね!楽しみにしてるよー!!]]>
沼田まほかる著『アミダサマ』ー大枝佳織
tag:www.kakuta.tv,2013:/fumikura/report//18.1436
2013-11-04T08:35:28Z
2013-11-04T08:41:35Z
本を読むのは専ら半身浴をしながらでお風呂にいることがほとんどだ。 湯に浸かりなが...
「アミダサマ」
面白いのだ、けれども…怖い!
よくあるダイレクトな怖さの怪談とは違い、登場人物の心情の変化や人物に迫る描写が細かくじわじわと深い恐怖に包まれる。
浴室という所がまた怖い!
水滴や空調の音、ドアの向こうの部屋で時々する物音に過剰に反応してしまう。
続きが気になるし1日のうちの特別なこの時間をどうにか継続したい為浴室のドアを開けて怖さ軽減を試みるも、一度怖いと思った心は恐怖に支配されていく。
もはや花は香りを失くし、ビールも味がしない。
頭や顔を洗う時なんて目を閉じるのがとんでもなく恐ろしく、お花とビール色に染められたラグジュアリーな時間は暗黒色の恐怖時間に変わる。
読んで数日は一秒でも長くと怖さを我慢して読んでいた。
しかし、その我慢の時間が怖さを倍増させ体をしっかり洗えなかったり髪にシャンプーが残っていたりという事態を引き起こすことに気付き、恐ろしの予感がするとすぐに中断することにした。
恐怖分散戦法を編み出し何とか読んだが完読までかなり日数がかかった。
しかし、続けたい気持ちがあっても我慢して読んだ先にどのような状態が待っているかを見通してやめておく、そんな大人な選択が出来る様になった自分を褒めたい。
ネタバレになるが、話に猫が出てくるのだがこれがまた恐ろしかった。
いろいろな本に時々猫は出てきてその度毛並みや顔つきを思い浮かべ愛しく思うのだが、今回話に出てくる猫は毛並みや顔つきなどどうでもいいおっそろしい恐怖猫だった。
おかげで実家の猫を見る目が変わった。
にゃにゃ~ん、と大好きなカブキが愛くるしく近づいてきても目を逸らしてしまう。
大人の選択が出来る様になった代わりに猫への無償の愛を失くしてしまった私をカブキが寂しそうに見ていた。
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東山彰良著『路傍』―佐賀野雅和
tag:www.kakuta.tv,2013:/fumikura/report//18.1434
2013-10-31T23:15:02Z
2013-10-31T23:22:07Z
前回届いた「路傍」すぐ読み終わりました、予想通り瞬殺でございます。 この本、い...
前回届いた「路傍」すぐ読み終わりました、予想通り瞬殺でございます。
この本、いわゆる短編集なんですが、主人公は全話通して同じ。チンピラのお二人。
ダメーな男二人の船橋での生活を描いているのですが、まー!ほんとにダメなんですわ、この二人!何がダメかって、何がダメなのか覚えてないくらいにダメなんですわ!そんな二人の日常ですから、ぶっちゃけどーでもいーことだらけなんです、が、がっでむ、なんですかね、東山さんの文章ってどーでもいいことが書いてあっても、ついついこうぐうっと引き込まれてしまうんですよ、ぐぐぅっと。
そんな訳で、ぐぐぅっと引き込まれて、サクっと瞬殺です。
引き込まれた先にある世界。
本を読んでいる時に頭の中で想像する世界、あれなんなんでしょう。
ぼんやりと思い浮かべているその場所は自分が行ったことかある場所なのか、それともテレビや雑誌などでチラっと見たことがあるだけの場所なのか。
僕はいつもあれはどこなんだろう?と思いを巡らせるんです。
僕が頭の中で主人公達を動かしているあの場所は大体、架空の場所。
行ったことも見たこともない場所。
地下にある汚いBARやボロアパート、寂れたフィルム工場、高級ホテルの最上階にあるプール、怪しい宗教団体の本部や岐阜かどこかの山中、全て僕の記憶にはない場所だけど、読んでいる最中はちゃんと思い浮かべることができる。人間の脳ってスゴいなあ、と思うのです。
そしてそれを思い浮かべさせる力を持った文章もこれまたスゴいなあ、と思うのです。
自分だけの世界を作りあげることができること。
これも本のいいところだなあと思うのです。
この本で二人が入り浸っているBARに行ってみたい。
否、やっぱり一瞬で絡まれて瞬殺されそうなので、
チラ見でいーや。]]>
西加奈子著『円卓』-異儀田夏葉
tag:www.kakuta.tv,2013:/fumikura/report//18.1432
2013-10-28T05:58:20Z
2013-10-28T06:07:43Z
ジャケ買いである。小説をジャケ買い。 『円卓』というタイトルと、表紙の写真がと...
見れば、今回の朗読公演『アイロニーの夜』の読本である『炎上する君』の西加奈子さんの本ではないか!!
しかも、表紙の写真は川島小鳥さん。『未来ちゃん』という私の大好きな写真集のカメラマンの方。
最高の組み合わせではないかっ!!と、即買い。
西加奈子さんは、今回の朗読公演の読本として候補にあがってから、虜になった作家さん。短編ではないものも読んでみたいというのと、『炎上する君』を上演するにあたって、他の作品に触れるのもなにかヒントがあるかも…ということもあってわくわくしながら読書開始!!
『炎上する君』もそうなのだが、主人公はひとくせもふたくせもあってとても魅力的。
『円卓』では小学三年生の女の子。通称こっこ。いわゆる大家族の末っ子だが、“孤独”に憧れている。彼女をとりまく人たちもまた個性的で愛らしい。なんだろう、この感じ…。どこか懐かしいような…。あ、ちびまるこちゃんか!!
読んでるうちにわたしもいつの間にかこっこのクラスメイトになったような気になってくる。それが心地いい。
子どもたちは、いろんなことが、わからない。
この話は簡単に言ってしまうと、気難しいこっこがちょっとだけ大人になる話である。この話の中で、“大人になる”は、“イマジン”できる、ということだ。
いや、このイマジンは関係ないか。
でも、想像してごらん、っちゅうことだ。家族ことを、友達のことを。わたしたちはひとりでは生きられない。
中学生や高校生の思春期をえがく作品はたくさんあるけど、この小学三年生の名前もついてない、些細なんだけど、でも、きっと、とても大きな成長をえがいた作品ってそうないんじゃないだろうか…。
大人になるって、悪いことじゃない。
まだ読み途中の時に、わたしの癖で、あとどれくらいかなぁ〜とページをペラペラとめくっていたら、文字の羅列のページと、ランダムに文字が書かれてるページがある。フォントも微妙に異なるようだ。
なんだろう!!とわくわくしながら読み進めていくと…
まさか、その文字たちにこんなにも泣かされるとは…!!
紙に書いて、小さく小さく折って、ぜひ、心の中に大切にしまいたい。
超オススメです!! ]]>
西加奈子著『さくら』-高山奈央子
tag:www.kakuta.tv,2013:/fumikura/report//18.1431
2013-10-24T15:01:41Z
2013-10-24T15:03:16Z
本を教えてくれる友人がいます。彼女の家にいくと、たくさんの本があり、どれが面白い...
「さくら」
どの作品も大好きなのですが、この「さくら」は私の中でも、初め、だからか、何度読んでも、毎回胸に押し寄せるものがあり、半年に1回くらいのペースで読み繰り返しております。
「さくら」は家族のお話。その家で飼っている犬の名前が「さくら」です。
家族の次男である薫の語りの物語。
家族の歴史で語られる過去は、読んでいて、キュンとしたり、悲しくなったり。問題もあったりするけれど、家族は繋がっていて、その繋がりも、ドライな感じもあり、わざとらしくなく。
その家族に大きな悪送球がはなたれます。
その出来事は大きすぎ、家族が皆抱えきれなくなり、お互いを思いながらも、仕方ない状況から、お互いを責めることなくバラバラになってしまします。
そんな時に、薫に届いたお父さんの手紙。
家族は久しぶりに家に集まります。
物語はここから始まり、過去に遡り、現在へと進んでいきます。
この家族が、この家族なりの幸せを!と願わずにはいられません。
どうなるのかは。。。ぜひ読んでいただきたい!
何より、この家族がたまらなく愛おしいのです。
楽しい事。辛いこと。嬉しいこと。悲しいこと。
そのエピソードの語り口がたまらなく愛おしい。
そして、その愛おしさは、家族が愛犬さくらに対する表現だったりします。
キーパーソンとはよく言いますが、これはキードックってことでしょうか。
この家族がどうしてこうなったのか、そして何があって、どう向かうのか。
それでも生きていく。
そんな素敵な話です。
私がこの本を手にとるときは、ぽわ〜んとぼんやりしているとき。
ふと読みたくなるのです。
今回もそんなときに手にして読んで、何やら胸には、せまるような、でも温かく、そんな感じが充満しました。
読書の秋にオススメの作品かと。
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吉田戦車著『吉田電車』― 野澤爽子
tag:www.kakuta.tv,2013:/fumikura/report//18.1430
2013-10-20T15:48:17Z
2013-10-20T17:33:47Z
車・船・バス・バイク・自転車・飛行機…世の中にはいろいろな乗り物があり、どれも...
車・船・バス・バイク・自転車・飛行機…世の中にはいろいろな乗り物があり、どれもそれぞれの利便性や快適さ、面白みがあると思うが乗り物酔いしてしまう私は実は苦手なものが多い。
しかし電車だけはこれまで乗り物酔いしたためしがなく、乗るというそのものの行為にとてもワクワクする大好きな乗り物である。
そんな片寄った好き者の私の懐にこの一冊が飛び込んできた。
「吉田電車」
著者は漫画家の吉田戦車氏。
ジャケ買いという言葉があるが本屋で目にした途端、擬人化された椎茸が電車の上に勇ましく仁王立ちしている絵とタイトルに心を奪われてしまったのである。
内容は実際に戦車氏が電車とのあれこれを綴った連作エッセイで、私鉄・地下鉄・市電・新幹線など様々な電車が登場するのだがそれらの電車について熱っぽく書かれているというよりかは、電車に乗って行った先でのことが主になっている。
どこぞへとふらりと出掛けていき、地味で些細だが面白げな出来事に出くわしていく様子が戦車氏の独特な語り口と合間って実に心地良い。
そうして読み進めていくうちに、私も無性に電車に乗りたくなってしまったのでエッセイに登場する実際の場所へ出掛けることにした。
「吉田電車」―【レール! 歳三うどんはミルク入り】の回に登場する高幡不動駅と多摩動物公園線。
多摩動物公園線は空中レール上を走るモノレールだ。
著書の中でも触れられているが、普段あまり乗る機会のないモノレールに乗り空を飛んでいるような感覚に襲われながら動物園に向かうというのは妙なおかしみがありワクワクした。
そうして小雨がパラつく中あまり快活には動こうとしない動物たちを愛で歩いたのち、再びモノレールに乗って高幡不動駅に戻ってきた。
「せっかくだからお不動さんも見て行こうか!」
そう勇んで行ってみるも、こちらの閑散とした様子にはあまり心踊らなかった。
しかし、それもまた「吉田電車」的電車旅の楽しみ方であるような気がして満足していると、お不動さんの目の前に鯛焼き屋ののぼりがあるのを発見した。
あんことクリームチーズの2つの味があり、迷ったあげく私はクリームチーズを注文した。
鯛のシッポの先まで熱々のクリームチーズが詰まったそれは大変美味しく、お店の軒先にしつられられた小さな休憩処で温かいほうじ茶をふうふうやりながらいただいた。
地味で些細だが楽しいひとときであった。 ]]>
作・絵/佐野洋子『100万回生きたねこ』-ヨウラマキ
tag:www.kakuta.tv,2013:/fumikura/report//18.1429
2013-10-16T21:02:04Z
2013-10-17T22:28:34Z
絵本が好きです。 ながいのをいじいじと読むのもすきですが、せっかちな私は先に結末...
この本は、佐野洋子さんが描いた絵本です。
私は佐野洋子さんのエッセイも好きです。ざくざくざくと書かれる文章が好きです。嘘がつけない人間の嘘が混じったエッセイ。
エッセイを書いていることを知ったのはつい最近のことでした。
この本は、100万回生きたねこのはなしです。
実は、小さい頃この本が嫌いでした。ふてぶてしくて意地悪なねこが、どうにも好きになれなかったからです。こっちを睨みつける緑色の目。シマシマのでっぷりしたねこ。いかにも性格が悪そう。
だから、友人が22歳の誕生日プレゼントにこの本をくれた時、友人には悪いけど、これ、好きじゃないんだよね、と、魔女の宅急便に出てくる、ニシンのパイのお孫さんのような気持ちになりました。
読む気も起きなかったので、本棚にこっそり、片付けてしまいました。ほんとにひどいことしたな。
だって何より、十数年ぶりに再会したねこが、緑色の目でこっちを睨んでくるように見えたから。
しかし、去年の10月、ひっそり本棚中にしまっていたこの本を、たまたま、ほんとにたまたま、なんとなしに開いたのです。
本が本棚に放置されているのがいたたまれなくなったことってありませんか?ほんの気まぐれで見てやりました。
すると、ページを進めるごとに、今まで感じたことのない感覚がやってきました。何処か懐かしいけれど新しい感覚。緑色の目をしたねこはただの意地悪なねこでなく、寂しさと孤独をかかえた、悲しいねこでした。
ねこはただただ100万回死んでは生き返るを繰り返していました。周りの人たちが理解できず、自分自身もまわりのひとから理解されない。でもそれでいいんだってつっぱねて、生きながら死んでるねこ。
小さい頃に感じた意地悪さは、きっと彼が強がっているだけだったのだなと、感じました。
彼は寂しくて寂しくて仕方ないねこだったんです。
白い美しいねこと出会って、恋に落ちる瞬間の文章がとてもロマンチックだし、おしまいもとても素敵。
愛を知ったねこは生き返らなくなるんです。
そしてねこの目の色が、白い美しい猫と出会ってから、緑色の鋭い目から白い美しいねことおそろいの青色に変わるんです。
なぜだかおいおいと、泣いてしまいました。ほんを読んでおいいなくなんて、あまりない経験でした。
そしてなにより、嫌い嫌いと思ってた本が、こんなにかけがえのない本になるなんて!
この作品に再び出会うきっかけをくれた友達に、ありがとうって、心からいいたくなったのでした。
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「新潮45」編集部編『凶悪-ある死刑囚の告発』―若狭勝也
tag:www.kakuta.tv,2013:/fumikura/report//18.1427
2013-10-14T09:26:58Z
2013-10-14T10:05:38Z
ある本が気になってた。 次回KAKUTA朗読公演の作品探し中、本屋に何度も通っ...
でも、まだ朗読公演の作品が決まっていなくて読む時間もなかったので、買わずにすっかり忘れてしまっていた。
それからKAKUTA12月公演の作品も決まり、時間が出来てまたフラッと本屋に入った。
最近、映画化になっている本は、本屋でその映像を流したりしている。
画面に映っていたのは、
映画『凶悪』
山田孝之さんと、ピエール瀧さん、リリー・フランキーさん。
今まで、ノンフィクション小説はあまり読んだ事がなかったので迷っていたが、その映像を見て買うのを決めた。
(本屋の策略にはまった。)
映像化された本があったら、先に小説を読むか映像を見るか、よく話になるけど、僕は先に小説かな。
映像を先に見ると、それから小説を読む事はあまりない。
小説が先だと、その映像が見たくなる。
今回良かったのは、
映像と言っても予告編だったので、詳しく内容は知らないまま小説を読み始めたけど、
読んでて登場人物の顔を思い浮かべる時に、山田孝之さんと、ピエール瀧さん、リリー・フランキーさんの顔を思い浮かべてたので、イメージしながら読めた。
東京拘置所に収監中の死刑囚から、新潮社に手紙が届く。
その手紙の内容は、警察も知らないその死刑囚の余罪、多数の殺人事件の告発だった。
死刑囚が余罪を告発したところで、死刑は変わらないのに告発する異例の出来事。
そしてそれらの事件の首謀者である「先生」と呼ばれる男の存在が書いてあった。
その先生と呼ばれる男は、いまだに野に放たれ、社会を闊歩している。その先生を追いつめたいので記事にして欲しいという死刑囚の告白に、当初は半信半疑だった担当記者。
新たな事件を告発する事で、死刑の期を先延ばししたいだけなのか。
しかし、取材を進めるうちに、その告発に信憑性があることを知り、真相を探るべく没頭してく。
保険金、不動産目当ての殺人事件で、とてつもなく恐ろしく非道で、
まさに『凶悪』の“数々”だった。
果たしてその結末は、、、。
恐ろしい事に、これはフィクションではなく、実際に起こった話。
なんだか頭がグラグラします。
面白い本なんですが、なんというか「面白いです。」とは言えないというか、
好きな本になったんですが「好きです。」とは言えないというか、
でも、読んでホントに良かった。
命の尊さを考え、この事件の首謀者達に憤りを感じます。
現実の世の中にはいろんな事があって、いろんな人が居て、酷い人がもし居たとしたら、何故そういう人間になってしまったのか、なってしまうのか、というのも考えたり、
ホントに世の中の一部のやっと明るみに出た一つの少数の事件なのかもしれないけど、
生まれ育った環境や教育、人との付き合いの中で、そういう境遇に万が一巻き込まれる人間になってしまっていたとしたら、どうなってしまうのか。
人間とはどういう性質の生き物なのか、分からなくなってしまうけど、僕はこの事件に関わった人たちの性質が分からない。
僕がそう思えて生きていられる事に、なんというか、今まで育ててくれた両親、兄弟、親戚、友人、恋人、いろんなに出会えたお蔭で幸せに生きていられる事に感謝します。
でも、それはごく僕の個人的な感想であって、分かっていたつもりではいたけど、いろんな人が居る事を再認識した。
そして俳優という職業をしている以上、いろんな人間の感情、気持ちを知りたいという欲望もあって、研究心からこの本を読んでいたのかもしれない。
こういう事件がなくなる事を祈ります。
まだまだ世の中に出てきていない、酷い事があるんじゃないかと思うとゾッとしますが、
もしあったなら、こういう風に明るみに出して一つ一つ暴き出して欲しい。
被害に合われた方には、お悔やみ申し上げます。
この本を4分の3くらい読んだあと、
次回KAKUTA12月の朗読公演にも出演する、
原扶貴子がこの作品の映画に俳優として出演していると知り、以降はフキちゃんの役であろう人物が登場する時に、フキちゃんの顔も思い浮かべて読んだ。
たまたま手に取った本の映画に、友人が出演している。
映画が楽しみでしかたない。
フキちゃんの俳優としての活躍を楽しみに。
ご興味ある方は是非。
でも、知らなくてもいいかもしれない、、、。
ノンフィクション小説は、当事者の手記が多い。その場合、真実かもしれないけど、当事者側の意見が反映されるものが多いと知ったが、
これはあくまで、第三者である宮本さんが双方の意見を聞きながら、分析、取材したものなので読み手にとっても誰かに肩入れすることなく、事件を客観的に知る事が出来て、尚且つ読み物、小説として読み応えがある。
最後に、著者として表紙にはハッキリと記載されてないですが、
記者であり、今回の取材を重ねた「新潮45」編集長、
作者の宮本太一さん、本当にお疲れ様でした。]]>
東山彰良著『イッツ・オンリー・ロックンロール 』―佐賀野雅和
tag:www.kakuta.tv,2013:/fumikura/report//18.1425
2013-10-10T15:05:47Z
2013-10-10T15:36:39Z
只今読書中、そしてお先にロック中。 この日記を書いている現在、物語はまさに佳境...
早く先を読みたいが、終わりたくない。
いまのところ結末が全く予想できない。
いまのところと言っても残りはあと20ページ程だ。
何だかもうすごい、なんだろうこの本。
わかんないです、みんながみんな面白いと思うかはわかんないです。
とにかく、好み。ただただそれだけ。
電車で読めふければ一瞬で目的地、ホームに降りても思わずベンチに座って読んでしまうからタチが悪い、夜の帰り道も本を読みながら歩く。必然的に明るめの道を選ぶ。安全。最高。
そんな最高なモノをどうやら僕は飲み屋に忘れてきたらしい。
今、まさに今、店主からメールが届く。正確にはメールではないが。
昨晩は飲み屋から帰って来て泥の様に寝てしまったから全く気づいていなかった。
なんたる不確!
取りに行けるとしたら夜中、でも行ってしまえば飲んでしまう、飲んでしまったらやらなきゃいけない事が色々とできなくなる。だからと言って本だけ取りに行って一杯も飲まないで帰るなんてことはできない、どうしよう。
よし。
飲んで、読んで、やる。
そうしよう。
飲みは軽く、そして早めに帰宅しよう。飲んで読んでやることをやろう。
もしくは、飲んでやることをやって読もう。
時と場合によっては、飲んでやって寝て起きて読もう。
とにかく、飲もう。
そんなことを考えていると玄関のチャイムが鳴った。
ドアを開けると宅配便の若者が立っている。
メール便だ。
そうだ、思い出した。
この本を読み出したすぐ後に東山彰良氏の次の作品を注文していたのだ。
「路傍」
今夜は飲まずにまっすぐ帰ることに決めた。]]>
角田光代著『それもまたひとつの光』―大枝佳織
tag:www.kakuta.tv,2013:/fumikura/report//18.1428
2013-10-06T15:43:57Z
2013-10-06T15:49:25Z
大分前に読んだ本だが、読後ガツンときて目の前が少し開けた気がした。 角田光代...
大分前に読んだ本だが、読後ガツンときて目の前が少し開けた気がした。
角田光代さんの本はほぼ読んでおり大体が面白いが、好きな本が登山ものだったり人間ものだったりするので恋愛を扱う角田さんの作品は面白いどまりだった。
その中で、この本はちょうどその時の自分に沁み入った。
恐らく数年前に読んでもここまで思うことはなく、今のこの時期に読んだからこそ感じることができたことが多かったのだろう。
本はそういうところが面白いワンと改めて思う。
話は主人公を中心に三人の女の恋愛、幸せになれないと分かりながらも大好きな人と一緒にいることを選ぶ先輩や、傷つけられながらも大好きな人を追う友人、そんな2人を見ながら主人公が結婚を決める。
誰もが大好きな人と結婚したいと思うだろうが、情熱的な恋はそれに伴う悲しみも大きく辛いことも多い。
その分喜びも大きいが、主人公は自分らしく生きるために情熱的ではないが穏やかな温かさを感じることの出来る幼なじみと結婚を決める。
私もどちらかというと情熱派で身が滅んでも、と行きがちだが日々の暮らしの中で小さな楽しみを見つけながら穏やかに生きていくのも素敵なことだなあと思った。
穏やかな気持ちでいると、大きな喜びや悲しみの中だと気づかない小さなことに目を向けることができる。
主人公は小さな日常のことを沢山感じながら日々を送りたいと言った。
邪道だと無視していたわらび餅の抹茶味が意外にも美味しかったとか、楽しみにしていた花の蕾が咲いたらとても変な色だったとか、見かけた虫が人面だったとか、そんなことは情熱的な恋の中では気づかなかったのだろうなあと思った。
どちらにせよ自分が選べる状況にあることは幸せなことだ。
結婚するのなら大好きな人だと自分が無意識で思っていたことに気付き、穏やかに好きな人でも良いのかと新しい選択肢が増えた。
とはいっても、やはり身滅ぼし系くらい好きな相手と結婚したいなあなんて思ってしまい、とりあえず三国志風に流れに身を任せ天意を待つことにする。
どちらにしても、友人でも先輩でも主人公でも誰が正しいということはなく、その人が覚悟を持って決めたことならば何が起きても受け入れることが出来るだろう。
また、それぞれに素晴らしい時間があるのだから自分で決めたことに腹を括って受け止めることが大事なのだろうとしみじみ考えた。
とりあえずどちらもまだ選択に迫られていない私は今流行りのカステラでも食べながらワインを飲みじっとしていよう。
美味しすぎてしばらく息が出来なかったレモンかすてら、夏季限定で来年までどうやっても売ってくれないらしい。]]>
吉田修一著『さよなら渓谷』―異儀田夏葉
tag:www.kakuta.tv,2013:/fumikura/report//18.1426
2013-10-03T15:01:47Z
2013-10-03T15:21:40Z
最近映画化され、真木よう子さん主演で話題にもなりましたこの作品。 わたしは未...
最近映画化され、真木よう子さん主演で話題にもなりましたこの作品。
わたしは未見ですが、吉田修一さんの作品てよく映画化されていますよね。悪人、横道世之介、などなど。
吉田修一さんは、自分が恋愛作家だとおっしゃってるようで、ふむふむ、なるほどなぁ…と唸りました。
この『さよなら渓谷』も、あるちいさな町で起こったある事件から、その事件からは無縁で、ただの隣人であるはずの若夫婦の抱える秘密、謎が浮かび上がり、ともすればサスペンスっぽくもあるストーリーなのだけど、最後にはその夫婦ふたりの屈折した愛情、なんだけど、純愛、みたいなものがじんわりしみだしてきます。
“行間を読め!!”などと、国語の授業や、演劇の稽古のダメだしなどでも言われますけども、吉田修一さんは“間”というか“空白”の表現が巧みというか。はげしいラブシーンがあるとか、あまーい会話のやりとりがあるわけではまったくなく、第三者が、今回は記者ですけど、事件の真相を追う中でふたりの切っても切れない関係性や激しい感情が垣間見えてきます。
書きたいのは事件のことではなくて、この二人の寂しく激しい恋愛だったのだなぁ…と、お子ちゃまなわたしは、そんな恋愛してみたいわ、などと思いました。
しかし、ふたりの秘密は重たいよ…。 ]]>
重松清著『ビタミンF』ー佐賀野雅和
tag:www.kakuta.tv,2011:/fumikura/report//18.1422
2011-07-22T06:53:29Z
2013-09-09T18:29:30Z
『ビタミンF』 重松清著 こちら全7話からなる短編集 短編集を小出しに読む試み...
『ビタミンF』 重松清著
こちら全7話からなる短編集
短編集を小出しに読む試み
もったいないからつまみ読み
全作品2~3ページ読んでみて
あとはちょいちょい読んでいく
気になるところで強制変更
そんな読書をしてみよう
てな訳で、『ビタミンF』
家族の話し、多し
知り合いに訊くと、そんな感じ
読み終えたのは、まだ1話
全作じんわりラストへ向かう
ゆっくり読もう
そうしよう
今年の夏は長いから
じんわりビタミン摂取中
高校野球も熱戦中]]>
岡本敏子著『いま、生きる力』/岡本太郎著『自分の中に毒を持て』-高山奈央子
tag:www.kakuta.tv,2011:/fumikura/report//18.1421
2011-07-08T09:00:32Z
2011-07-08T13:25:44Z
最近、もっぱら映画化されてる本を網羅してましたミーハー高山です! 読んでから...
最近、もっぱら映画化されてる本を網羅してましたミーハー高山です!
読んでから見るか、見てから読むか。
私は見てから読むのはダメでしたねぇ。完全に映像が頭を支配してしまい…映像って強いなぁ。。。花より男子はドラマが先でハマったのになぁ。あ、漫画だからですかね(^_^;)
さて。そんな中、小説じゃないこちらに感銘。
『いま、生きる力』岡本敏子著。
芸術家・岡本太郎氏のパートナーである岡本敏子さんのエッセイです。
これを読むきっかけは、岡本太郎氏の『自分の中に毒を持て』でした。これは数年前勧められ読み始めたんですが、なぜかその時は挫折して読まず終いだったんです(笑)が、最近、たまたま読み本がなかったからと、ふと手に取り読み始めたら、、、
な、なんて面白いの!?え!?私はなぜ読み止めちゃったの!?と、数年前の自分を疑いたくなるくらい面白かったのです。
たぶん最初に読んだ時は「芸術家は違うから」とか「あ、天才はそうなんだ」みたいな、いやらしい斜に構えた気持ちがあったんでしょうかねぇ。
今回読んだ時には岡本太郎氏という、破天荒ながら、人間愛に満ち、人間が好きで、人間と向き合い、己れを貫く強さを素直に素敵だと感じ、しびれました。
そして、気になるとすぐWikipediaなミーハーです。人生のパートナーであった敏子さんの本がある!と飛び付きました。単純ミーハーすいません。
『いま、生きる力』敏子さんの太郎氏への愛。ここまで信頼し合い、尊敬し合い、励まし合える人間同士が同時期に生まれて、一緒に生きたことは奇跡かと感じます。そして、それを通して生きていく事の奇跡を私たちに伝えてくれてます。自分が女でよかったなぁ、と感じさせてくれます。女性としての品位がカッコいいんです、岡本敏子さん。敏子さんは強い、だけどこんな大和撫子いないよなぁ。と、自分が男なら惚れますね(^-^ゞ
なんとなく元気ない方!なんとなくぼんやりしてる方!オススメですよ(^-^)/
と、また読むタイミングでこうも違うのか本って。と、あらためて痛感。太郎氏の本に感銘しなければ、敏子さんの本も読むことは無かったでしょうし。いやぁ。タイミングってすごいけど、恐いわぁ。
他にも挫折した本や映画や芝居もタイミングが合わなかったものもあるかもしれませんしね。また、いろいろ挑戦してみましょっと( ̄∇+ ̄)]]>