吐露始め 2005/06/29 水曜日

「こ」 今昔の感(こんじゃくの・かん)その2

恥ずかしながら私にとってまるで予想の範囲外だったのだが、今回は160名という方々が応募をしてくださった。数を聞いて、そりゃあもう、ひっくり返ってしまった。大々的に応募してるんだから予想しておけよバカってなもんなんだが、何せKAKUTAは初期の頃5人とかでワークショップをしていたのだ。友達やらバイト仲間やらをかき集めてワークショップしていたのだ。5人しかいないワークショップって、ともかく誰もかれも出ずっぱで、やりっ放しなのだ。誰も休む人とか見る人とかいなくて、タダひたすら時間のある限りワークショップしっぱなしで、くたびれて汗かいて寝っ転がっても稽古場はがらんとしているのだ。今昔の感というか、あまりの違いである。
今KAKUTAにいる面々は、ほとんどがそんな時代にワークショップをしていた人たちであり、かつて居酒屋とかで入団が決まった劇団員たちがこのオーディションを催しているのだから、結局出会いなんてタイミングでしかないのかもしれない。互いの出会いが必然だったと感じるのは、しばらく経ってからのことなんだろう。
劇団員たちは今回、まるで自分たちのオーディションと言わんばかりに緊張して臨んでいたようだ。緊張のあまり胃を痛めた者もいたようで、ワークショップ期間も半ばを過ぎた頃、開始前に参加メンバーたちが打ち解けて和気あいあいとお喋りしているのに対し、劇団員たちがその横で必死に発声とか柔軟とかをやっているのが可笑しかった。そこまで君らが緊張しなくてもとも思うが、この様子は昔から変わらない。ふんぞり返っている劇団員がいるよりはよっぽど嬉しいのだけど、同じくワークショップ前には毎度眠れず、ガタガタ震えて挨拶をし、ワークショップが終わる頃には泥のように疲れ果てるほど緊張している自分については、そろそろ何とかしたいと本気で思う。

吐露終わり
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「こ」 今昔の感(こんじゃくの・かん)その1

それにしても仰天したのだ。
午後1時。いつも使っている稽古場に、40人の若人が集結した。ふんでもって、夜には更にまた40人が集結するのである。
わかってはいたが、仰天したのだ。
あ、言い忘れたけど、これは先日まで行われていたKAKUTAのワークショップの話だ。久しぶりに戻ってきて前置きもなく本題を始めようとしてみたよ。みんな、久しぶり!
久しぶり過ぎて言い訳する気も起きないので、早速本題に戻ろう。
5日間に渡るワークショップ。書類選考含め4度の選考があり、最終的に9月のキャストが決定する。コレを書いている今、実はっつうか時期的に当たり前っつうかもうキャストは決定している。
なかなかどうして個性的で、強力なキャストたちが参加してくれることになった。客演陣、そしてオーディションメンバーと、KAKUTAの元へ強豪たちが日に日に集結してくる様子はさながらRPGの様で、その都度タタタターンと経験値が上がったような気になるのだけど、その分プレッシャーもノシノシとかかってきて足が震えている勇者1の主宰ちゃんである。
とは言え今回のワークショップ、残念ながら一緒にやることが出来なかったメンバーの中にも、魅力的な人がかなりいて大変迷った。この80名が集まっていただいた一次選考でもクウ!あの人、気になるう!!と思いながら二次に呼べなかった人もいるし、泣く泣く書類選考の時点でゴメンナサイした人の中にも、お会いしたい名という方がたくさんいらっしゃった。
嗚呼、叫びたい。あなた、あなた、そしてあなた!!きっとまた会いましょうぞ!!

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吐露始め 2005/03/17 木曜日

「こ」 声なきに聴き形なきに視る(こえなきにきき・かたちなきにみる)その3

そんなわけで声の魔力にやられっぱなしだった今回。ムーンリバーの余韻に浸りながら、PS2のスイッチを押し、関さんに頂いたゲーム『アンジェリークエトワール』をプレイしてみた。(仕事しろ)
このゲームをご存じない方に一応説明しておくが、これはとある宇宙を守ったりなんだりしながら宇宙の美男子守護星様方とイチャイチャしたりなんだりする、豪華声優陣で美声だらけの育成大会ってな壮大なファンタジックラブシミュレーションで、私はこれをシリーズ第一作目のスーファミ時代から熱っぽくプレイしておるのだ。
いつものようにキャアキャアと独り言全開の危ない時間が始まり、いよいよお待ちかねのルヴァ様登場。私は黄色い声をスタンバッた。…のだけど。
「あ、関さんだ」
…素に帰ってしまう。ルヴァ様と待望のデートへこぎつけても、
「関さんありがとう」
…どうしても関さんの顔が出てきてしまうのだ。関さんが鏡前で丁寧に髭を剃る様が浮かぶのだ。
そういえば、楽屋で鈴置さんに因幡君の声で「ラムちゃんが好きなんだ!」と叫んでもらった時も、酒好きで陽気なおじ様がはしゃいでいるようにしか見えず、ひっくり返って爆笑してしまったのだった。例えブライト艦長をやってもらったとしても、艦長の片手には氏の大好きな焼酎「氷結」が見えてしまうに違いない。
南無…。
オタク娘の夢に溢れた公演だったが、終えてひとつ、別の夢は失われたようである。

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「こ」 声なきに聴き形なきに視る(こえなきにきき・かたちなきにみる)その2

嗚呼!こんなことその筋に全く興味のない方にはいっそも共感出来ぬ話かもしれないが書かせてほしい。
25年前!誰が『サザエさん』のふねさん(麻生美代子様)と共演できると考えただろう。
20年前!誰が『赤毛のアン』のダイアナ(高島雅羅様)と共演出来ると想像しただろう。
15年前!誰が『うる星やつら』のウサギの因幡君(鈴置洋孝様)と…10年前!誰が『アンジェリーク』のルヴァ様(関俊彦様)と…グウ。
いちいちタイムスリップしてあの頃の私に知らせてやりたい気分だ。タイムスリップした先の私が「また来たのかよ」とうんざりするほどに、足繁く通って知らせたいほどである。
稽古初日は夢の中、溢れる声の泉にいちいちアイムカミングともだえていたわけだが、本番が始まり皆と楽屋でダベれるまでになると、図々しさも開き直ってご本人にアニメの台詞を言ってもらうようにまでなった。ルヴァ様の声で「今日もよろしくお願いしますね」なんつって言ってもらってみなさいよあーた!何ですか。萌えーっていうんですかこういうときは!ええ、どうなんですか?!
よし!読者のみんな(少数)!ここで引くな!
興味のない人にはなんのこっちゃな話だけど、全国アンジェファンにはボコられますよ。萌えボコですよ。よくわかんないけど。(でもボコらないでくださいお願いします)。

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「こ」 声なきに聴き形なきに視る(こえなきにきき・かたちなきにみる)その1

このエッセイ、長いこと続いているはずなのに何で未だに「こ」なんだろう。このペースでは連載終了時には40代に突入しているのではないか。っていうかその頃KAKUTAはあるのだろうか。KAKUTAなきあとも、このコーナーだけ漂流教室みたいにポツネンと連載が続いてたらどうしよう。そうして誰もいなくなった離れの掲示板にヒッソリ書き込むのだ。「SOS…SOS…トロベヤコウシンシマシタ…」
怖い!!
そんな恐れを抱きながらも律儀に「こ」のことわざで今日も始まりだ。んで、始まりだと書いたそばからムーンリバーは公演終了である。
人を愛する自由人・鈴置洋孝氏によるプロデュース公演。日頃の身なりすらも気にしなくて良いようなアットホームな現場にまるで娘のような図々しさですっかり浸りきり、トロピカルフルーツ色のあり得ない派手衣装で踊って騒いで羽を伸ばして参りました。
演劇というひとつのジャンルにおいて様々な見解がある中で、ただ純粋にひたすらに、嗚呼お芝居って素敵だなあと思わせてくれるこのカンパニーでの経験は私にとって忘れ得ぬ大切な宝物となったわけで、今日はそんな良い話で押し進めようかとも思ったのだが、ここは吐露部屋らしくミーハーで下世話なよしなしごとを相も変わらずの調子で書き綴りたいと思う。

いったん話がそれるが、この吐露部屋ご愛読の方はよくよくご存じの通り、私はゲームっ子でありマンガッ子であり古き良き時代にテレビにかじりついていたアニメッ子である。
よって、カラオケで『サクラ大戦』のテーマソングを歌い周囲にゲンナリされてもヘッチャラピーのこんこんちきだし、1980円のTシャツ購入に迷っても漫画喫茶で2500円は平気で使い、『アルプスの少女ハイジ』で登場するヤギの首に掛かっているベル音声は本場スイスから収録したモノだとかそんな豆知識を無駄にインプットしている、要するに、要するにも何もオタクッ子である。
よって今回のムーンリバーが、どれだけ私にとってヨダレものの日々だったかは充分おわかりいただけるだろう。

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吐露始め 2005/02/17 木曜日

「こ」 後生畏るべし(こうせい・おそるべし)その3

同い年の友・クリーミークレイジー女優、近藤美月が自らのユニット「みかん」で公演をすると聞き、チラシをもらった時のことだ。キャスト欄に不思議な名の役者を見つけた。
私「誰…?この中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)って…?」
美月「うん、うちの看板俳優なんだ…」
私「へえ…ずいぶん思い切った名前を付けたもんだね…」
美月「まあね…」
そんな役者は、どこにもいないのであった。
そして、スタッフ欄にも気になる名を見つけてしまった。
私「舞台監督、樅木団栗(もみのきどんぐり)さんって、あんたが考えた名じゃないだろうね?」
美月「うん、彼は働き者だよ…」
私「かわいそうじゃん、こんな芸名つけたら」
美月「まあね…」
そんなスタッフは、どこにもいないのであった。全て近藤先輩の創作であった。
私より強者がいた、と思った。私は彼女に聞いた。
私「ねえ、スタッフはわかるけどさ、なんで役者まで架空の人を書いたわけ?」
美月「だってうちに出たがる役者が多いって思わせたいじゃん…」
だからって歴史上の人物を足してどうするのだろうか。それも一人だけ…。私は更に聞いた。
私「え、え、でもさ、この中大兄皇子って、本当はいないんだよね?」
美月「いないよ…?」
私「え、じゃあ本番はさ、一人役者が出てないってことになるじゃん。『ナカノさんって人いないね』ってお客さんに言われるんじゃない?」
美月「だから、当日パンフレットの隅に、『中大兄皇子は諸事情により降板しました』って書こうと思うの…」
私「…あのさ、役者が一人多く美月の芝居に出たがってるってことよりも、ナカノさんって人が何かの事情で芝居を降りたんだなって思われる方が印象悪いんじゃない…?」
美月「……ああ…そうだね…」
その後どうしたのか、私は知らない。その後もチラシを渡すたび何人かに「中大兄皇子って?!」と驚かれていたが、彼女は「うちの看板だ」と言い張っていた。
皆さんも芝居のチラシをもらったら、裏面のクレジットを熟読してみてはいかがでしょう。
見たことのない突飛な名前のスタッフさんや、歴史上の人物がいるかもしれません。

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「こ」 後生畏るべし(こうせい・おそるべし)その2

というわけで、私はとりあえず、KAKUTAのノンセンスという芝居で演じた女の子の役名をスタッフ欄にあてがうことにした。
「音響:真生」
斯くして、私が劇団を辞めない限り決していなくなることのない、忠実なスタッフ・真生は誕生した。島貫氏が音響としてKAKUTAに来てくれるようになってからは、「選曲:真生」と名を変えたが、あれから現在まで、チラシの裏の選曲欄には一貫して彼女の名が表記されている。
何ともばかばかしい話であるが、真生は私なのだった。
一度、いい加減自分の名前に戻そうかと思ったことがあったが、「選曲の真生さんに変わって桑原が選曲するようになったら音楽の質が下がった」とか言われたらシャクなのでやめた。また、「選曲」の表記自体なくそうかという話になったこともあったが、これも「長年在籍していた劇団員がやめたようだ」と思われたらそれもシャクなのでしないことにした(まるで昔から進歩しない発想)。
いつの間にか真生はキャラ立ちし、一人歩きしはじめていたのだった。
長くKAKUTAを見続けてくれているお客さんから「真生さんて人はいったい…?」と聞かれたりすることもたまにあり、そんな時は「ああ、あれはね」と真相を答えたりしてきてたのだが、たまに「真生さんて人に感謝しなさいよ」などと言われたりすると、何とも微妙な気分になったりしたものだ。
さて、いつか吐露部屋にでも書こうと思っていたが、書いたところでおそらく真生はいなくなりはしないだろう。しょうもない見栄から生まれた人物ではあるが、私も真生に愛着がわいてしまっているのだ。
「じゃ、今回も真生さん、よろしくお願いしますよ」てな感じで、これからも選曲・真生とは仲良くやっていくことと思う。

ところで。人が足りないからいない人の名前を書くなどと言うしょうもないことをしている奴は、私らだけかと思っていたのだが。

吐露終わり
吐露始め

「こ」 後生畏るべし(こうせい・おそるべし)その1

ちょっとした昔話をしよう。打ち明け話という方が良いか。
ご存じの方も多いが、KAKUTAは3人で結成した劇団である。脚本家の金井と、演出の田村、役者の私、三本柱というシ目で立ち上げ、まんま頭文字を撮ってKAKUTAとなった。
今では何か色々変わったが、とりあえずそんな始まりだったのだ。
その後すぐに照明家と役者一名が加わり、KAKUTAはすぐに3人ではなくなったわけだが、それでもあらゆる面で人が足らなかった。
KAKUTAは大学などの母体がないので、教えてくれる先輩もいなかったからして、当時はどうやってスタッフさんを捜したらいいのか、どうしたらKAKUTAに出てくれる役者に会えるのか、とにかく何もしらんかった。スタッフは皆友達がやるものだと思っていたし、役者は皆ぴあの枠外募集欄で募るものかと思っていたのだ。
トラックで舞台装置を搬入するなんてことも大分先になるまで知らず、小屋入りの日はみんなで荷物を小分けにし手持ちで持ち込みしていたほどだった。
そんな無知きわまりない状態・極端に人手不足な状態でも何とか公演が打てるのが小劇場の不思議と言えば不思議であるが、例えばチラシを作る時に毎回困ることがあった。
いろんなチラシを見よう見まねでチラシ作りに励み、裏面には脚本、演出、出演、照明などとクレジット名を連ねてみるのだが、どうしたってクレジットに書く人の名前が足りない。キャストと作・演出、照明までは違う人間の名前が書けるのだが、舞台、音響、宣伝美術、衣装…、どれも自分たちしかいないので、同じ名前しか書けないのだ。
出演、桑原裕子。音響、桑原裕子。スタッフクレジットにも自分たちの名前を書くということが、スタイルとして成立している集団もあると言うことを知るのはこれまた大分先の話で、当時の私たちは、同じ名前が紙面にいくつも羅列されるのはなんとも格好悪いと思っていた。
だからといって、音響などのクレジット自体をなくすのも、チラシの裏に書くことがなくなってスカスカになってしまうからいやだった。
どうするべえと考えた末、私と田村は、しょうもない案に行き着いた。
「スタッフをする時の芸名を作ってさ、それを書けばいっぱい人がいるように見えるんじゃん?」

吐露終わり
もくじ
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