吐露始め 2007/01/14 日曜日

「へ」 減らず口をたたく(へらずぐちを・たたく)

まもなくブラジル『恋人たち』の本番である。(観に来てねん!面白いぜ!)
恋人たちが恥も外聞も捨て汗まみれで愛し合い、汗まみれで罵りあい、汗まみれでぶつかり合い…まあつまるところ、汗まみれ、ということなのであるが。
そんな汗まみれになるのは主に彼、ブラジル看板俳優・辰巳君(DEBU☆)である。
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『恋人たち』のラブ・トライアングル。
左はそのたっちゃん、右はMCR主宰・櫻井氏@貧乏時代よそんちの新聞紙を食った男。
真ん中で調子に乗っている私@ドリカム状態であるが、その実、蛇に睨まれたカエルの心持ち。
たっちゃんの汗は無臭だ。無臭なのは彼への神様からの贈り物といっていい。
シーン序盤からすっかり汗だくの彼は、櫻井氏からピチョンくん(エアコンの湿気クン)とあだ名されたりしているが、私たちに返り血ならぬ帰り汗を浴びせながらピチョンピチョンしている彼は、なんだかむしろカワイイ。
私は可愛くない汗っかきを知っている。
それは彼↓
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横山真二さん@宴会にて
この人の場合、汗だけじゃなく「ヨダレ」ももれなくついてくる。これは危険だ。
また彼の場合、「汗の量=テンションのキープ」と勘違いしているふしがある。

とはいえワタクシ、テメエも汗っかきなので、本当は人のことなど言えないのだ。
いつもいつも、「今回はいかにして舞台上で汗をかかないようにするか」真剣に悩む私である。
キラリ汗光る様もライブだからこそ観れるもの。そういってしまうのは良いが、私の場合ひどいときは汗がにじむどころか、「お風呂上がりですか?」という体にまで濡れそぼる。
男はまだしも、女優としてこれはどうだ?悩んでしまうのである。
小さめの劇場では天井が低いため照明が近く、汗っかきでなくとも汗をかいてしまうもの。
だから、夏に冬の設定で芝居をやるとかの場合は、注意が必要である。
小劇場の舞台で、“たった今雪のそぼ降る町から帰ってきた”という設定なのに、全身汗びっしょりという俳優たちの光景を目にしたことが、皆さん1度ならずあるのではないだろうか。
『ムーンライトコースター』では開園前から汗だくだった。アレは仕方ない。初夏の湿った季節にあんな広大な敷地を走り回る企画を考えた奴が悪いのだ(私だが)。
そんな環境でウサギのぬいぐるみを着せられ全力疾走していた川本は、「初夏に走り回る演劇」という悲劇の産物としかいいようのない有様であった。花火消火用の隠しバケツにTシャツを絞ってみたならばグンと水かさが増えるほどの汗量。自分の汗で着ぐるみが更に重くなるというめくるめく惨事であった。

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↑汗だく芝居・代表例
毎日脱水症状寸前の彼が本当に気の毒だったが、ビチョビチョのぬいぐるみと抱き合う私も、なかなかにかわいそうだったように思う。

さてしかし、そんな悩みを抱える私にも、同じく身体状況の似た同志がいる。
ジャンボビューティー・高山さんである。
緊張すると便秘じゃなくて腹下り、男優陣に負けない汗、そういった哀しい身体条件が何かと共通している私と高山。
2002年の『北極星から十七つ先』初演は、劇場のエアコンを舞台装置がふさいでしまい、キャストどころかお客さんも全員汗だくという大変な舞台であったが(ホントすいませんでした)、長く絡むシーンがある私と高山は、衣裳が変色するほど汗をかきあい、それこそ二人して風呂にでも入りながら芝居をしているような姿だった。
どちらかがタオルでぬぐう仕草を勝手に導入しては「あんただけずるい」と小競り合い、逆にどちらかの眉毛が消えていたら「アンタ、これ使いな」とアイブローのトップコートを貸しあい、トランプをするシーンでは、「どちらかが汗でカードを滑らし落っことしたとしても、必ずアドリブで持たせるからね!」と心をひとつにして、密かに汗で繋がる友情を育んできたのである。

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↑汗友・高山。この舞台(ムーンライトコースター)では風呂上がりという設定が、彼女を救った。

そんな汗友である私たちは、自分が汗をかかない(つまりはハードに動かない舞台)の時は、「へーん!私今回汗かかないもんねー!」と高みに立ち合い些細なステータスを競い合ったりするのだが、そんな私たちの横には、どんな舞台でも汗ひとつかかない女優というのがいて、それは私たちにとって最も妬むべき対象である。

例えばこの人。KAKUTAでもお馴染み・水野美穂嬢。

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こちらが劇中、隙間を塗って指先で必死に額の水分をぬぐい取っているときに、いつでも前髪をサラサラ揺らしていて、ホント羨ましく、憎らしい。

汗なし女優を見たとき、私と高山は、大きな敗北感にうちひしがれる。
「アノコと私たち…同じ空間にいるんだよネ…?」
「そのはずなんだけど…ネ…」
トップコートでガチガチに固めた眉も、汗で虚しく“まろ化”した私たち。
思わず楽屋の隅で、しょんぼりと頭を垂れそうになる。
しかし!ここで引いてはいけないのだ。
「でも汗っかきってつまりは、代謝が良いってことだもんね!」
「そうそう、おかげで肌がみずみずしいワー!」
「ついでにメイク落とす時間も省けるし一石二鳥ってやつう?」
暗黙の了解で、私たちは口々に励まし合う。汗を許し、汗を讃える。

「アー、今日も汗書いて、体が軽いワー!」

減らず口とはこういうことか。

吐露終わり
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