吐露始め 2009/05/03 日曜日

「帰れない夜」フォトギャラリー2

続いていってみましょ、「帰れない夜」フォトギャラリー!

朱川湊人作 「昨日公園・前編」
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小学生の息子、翔一と地元の公園へバトミントンをしにやってきた遠藤は、子供の頃、かつてこの公園で体験した出来事を思い出していた。

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小学時代の親友・マチ。
あの日も赤々とした夕日の中、マチと遠藤は遅くまでキャッチボールをして遊んでいた。

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ひとしきり遊んだ二人は、いつものように明日も遊ぶ約束をして別れた。
しかし。

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その夜、家にかかってきた電話で、マチが交通事故で死んだという話を聞かされる。
心配する両親の前で、遠藤はその事実を信じることが出来ない。

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しかし、父と共にマチの事故現場まで足を向けた遠藤は、やはりマチがこの世を去ったことを実感する。
その日、遠藤はマチのことを思い、眠れない夜を過ごした。


翌日の夕方。昨日マチと別れた公園へ再び足を向けた遠藤は、公園から自分のボールが飛び出してきたのを拾う。このボールは自分の家に置いてあるはずなのに、どうしてここに?
不思議に思いながら公園へ足を運び入れると。

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辺りの景色は、雨模様から赤々としたゆうやけに変わる。

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そして、死んだはずの親友が再び遠藤の前に現れる。
遠藤は昨日の公園に戻っていたのだった。

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遠藤はこの後事故に遭うはずのマチを助けようと考える。
二人で見る二度目のゆうやけは、昨日よりも遠藤の心に染みいった。

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これでマチを助けることが出来た。
そう思った遠藤だったが、しかしその日の夜もまた、マチが別の場所で事故にあって死亡した知らせを聞くことになる。
「もう一度時間を戻してください」
遠藤は祈りながら夜を過ごすのだった。

***

「帰れない夜4」
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男は、かつてこの部屋で一緒に過ごした昔の恋人のことを思い出していた。
恋人に心を奪われた男は、この家にずっといたい、と願ったことがあった。
その願いは今聞き入れられ、しかし恋人はもういない。

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新しい恋人となった女が部屋を訪ねてくる。
「もうこの家に来ない方がいいよ」
男はつい、そんなことを口走る。
戸惑う女は、男の抱える寂しさがそういわせたのだと理解し、男を励ます。
「大丈夫、私がいるから」

***

「昨日公園/後編」
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それから遠藤は、マチを助けようと何度も昨日へと戻り、同じ夕方を繰り返す。

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マチの帰り道を尾行をして助けにいったり、マチに全てを告白し、気をつけるよう呼びかけたりと、様々に手を尽くす。

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しかしどんなことをして助けようとしてもマチに死は訪れる。
更に、遠藤が助けようとすればするほど、その後マチに訪れる死は悲惨なものになっていく。

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やがて遠藤は悟る。この運命を変えることは出来ないと。
遠藤は、努めていつも通りの夕方を過ごす。
二人はいつものように笑い合って別れた。
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「ずっと友達でいてくれよな」
大事な言葉だけをマチに告げて。

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遠藤はあの公園のボールを拾うことはなく、二度とマチと出会うことはなかった。

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大人になった遠藤は、当時のことを思い出していた。
二度とあんな想いはしたくない。
その時、バトミントンの羽根を買いに行っていた息子の翔一が帰ってくる。

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帰ってきた翔一は、どこか疲れた顔をしていた。
そして遠藤は、自分があの時のマチと同じ状況にあることを、息子の様子から知るのだった。

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***

「帰れない夜5」

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男にも男の住む家にもすっかり慣れた女は、男の部屋へ来たある日、正直な想いを伝える。
「帰りたくない」

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男はその言葉を待ち侘びていたと喜び、女の手を取った。そして女に告げる。
「じゃあ、さよなら」
女は言葉の意味が掴めない。
「今日からここは君の家だよ」

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男は女に自分の昔の頃の話を聞かせた。
自分もかつては同じように、ある女性に魅せられてこの部屋にいることを切望したこと。
やがてこの部屋は自分のものになり、恋人だと思っていた女は去っていったこと。
女は恋人だったのではなく、「次の人」が来るのを待っていたのだと知ったこと。

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この部屋に魅せられて帰りたくないと思ったら、もうここから出ることは出来ない。

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次に誰かがここにいたいと思うまでずっと…閉じ込められたまま。

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男は歓喜の声を上げて部屋を飛び出していく。
女は部屋を出ることが出来ず、一人で帰れない夜に閉じ込められた。

「帰れない夜」
2009年4月3日~12日@下北沢ザ・スズナリ

吐露終わり
吐露始め 2009/05/02 土曜日

「帰れない夜」フォトギャラリー

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おこんち。バラです。
んではでは、そろそろ「帰れない夜」のフォトギャラリー行ってみましょう!
(しつこいですけど、写真はクリックすると大きいのが見られます)
こちらもあらすじを加えてご紹介しますが、是非各作品の結末は小説をお読みくださいませ。

「オリジナル/帰れない夜」
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ある男の家へ女がやってくる。
女はこの家の近くに引っ越したばかりで、引っ越しの挨拶の際、男と知り合い、ひょんなことから本の貸し借りをする仲になったのだった。

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お互いのことをまだよく知らないまま、趣味の読書から会話が弾み、二人は急速に親しくなっていく。

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「怖い話が良いです」という女のリクエストに応え、男は様々な小説を紹介する。
例えば、「あなたを離さない」というある男女の物語だった。

***

井上夢人作 「あなたを離さない」
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別れを目前にした恋人同士。
別れ際、「僕」は恋人の美代子に両手を差し出され、思わずその手を握り返す。

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しかし美代子の左手はその瞬間から、美代子が密かに手の平に塗っていた瞬間接着剤によって、「僕」の右手にぴったり吸い付いてしまった。

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「僕」はなんとか手を剥がそうと、手を洗ったり友人に電話をして相談したりするが、良い方法は見つからず。

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「あなたの右手と私の左手をあわせれば何でも出来るわ」
美代子は「僕」の疲弊をよそに、まくし立てる。

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「これでお終いだ。顔を見るのも嫌だね」
離れない手と反対に、「僕」と美代子の仲はますます遠く、険悪になっていき…。

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やがて思いもかけない結末が男を待ち構える。

***

「帰れない夜」2
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何度目かの本の貸し借りですっかり仲良くなった二人は、互いの仕事やプライベートに興味を持ち始める。
「君が時々ここへ遊びに来てくれることが今の楽しみ」
そういう男に、女は惹かれていく。

***

小池真理子作 「生きがい」
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飛行機事故で夫と子供を亡くした「私」は、夫の残したアパートの管理人で細々と暮らしている。
事故の知らせをニュース速報で見たときから、当時の記憶はぷっつりと途絶えたまま。

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アパートに住んでいるのは現在、大学生の青年・真島ノボルの一人だけ。
「管理人が変わり者だから店子が居着かないのだ」と近所の人々からは噂されている。

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ある日、その真島ノボルが風邪を引いて寝込んでいることを知った「私」は、ノボルの部屋に押しかけ、かいがいしく世話をする。

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戸惑いを見せながらも世話を任せるノボルに、「私」は失いかけていた生きがいを見いだすのだが。

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やがて世話の甲斐あってノボルは完治。
しかし、今までの満たされた数日間の終わりが見えたとき、生きがいを失いかけた「私」は思わず取り乱し、激高する。

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我に返った「私」は自分の振る舞いを恥じ、ノボルに謝罪した。
そして、ここにいる間だけでも自分をお母さんだと思ってくれないかという、ささやかな願いをノボルに伝える。

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しかし、ノボルはその申し出を断り、言いにくそうに…。

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ある真実を「私」に告げた。

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「生きがい」をなくした者が同時に見失っていたその真実とは…。

***

「帰れない夜」3
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あの部屋の男と出会い、女はこれまでの付き合ってきた不倫相手の男との別れを決意する。
「私、恋人の部屋へ堂々と行きたいの」

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「あなたの元へは帰らない」と告げ、女はかつての恋人を送り出した。
そして今日も男に借りた本を読む。

***

「縁切り神社」
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恋人と別れて京都へ一人旅にやってきた「私」は、ふらりと立ち寄った神社に、縁切り祈願ばかりを書き綴った絵馬がズラリと並んでいる場所を見つけた。

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怨念の渦巻く絵馬の棚に薄気味悪さを憶えながらも、一つ一つ見て回る「私」はしかし、ある絵馬の前で足を止める。
「水野季実子と深田拓也の悪縁が切れますように」
そこに書いてあったのは、まさしく自分と、別れたばかりの恋人の名前だった。
誰がこんなことを…。

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「私」は、拓也との思い出を振り返る。
拓也とは燃え上がるような恋愛ではなかったこと。
しかし別れた後、自分がどことなく気持ちが沈んでいること。

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付き合っていた頃から拓也に対し、別の女の影を感じていたこと。
そして拓也と寝た夜、その女に「勝った」という密かな優越感を感じていたことも。

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「水野季実子と深田拓也の悪縁が切れますように」

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「私」は神社から拓也に電話をかけた。
なぜ他の女がいるのに私と付き合ったの?その人に京都で偶然会ったわ。
しかし拓也は思いがけない顛末を「私」に告げたのだった。

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「会うわけがない。あいつは死んだんだ」

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自分の名が書かれた縁切りの絵馬をきっかけに、再び会話を交わしたかつての恋人。
拓也から当時の想いを聞いた「私」は、初めて自分の中に隠れていた傲慢な心を知るのだった。

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フォトギャラリー、続きます。

吐露終わり
吐露始め 2009/04/28 火曜日

「さとがえり」フォトギャラリー

ではではさっそく、あらすじ解説を交えてご紹介していきましょう、「さとがえり」の巻。
(写真はクリックすると大きくなります)

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舞台は先述の通り、長野県にある合宿所「大門」。
実はここ、かつて実際に松原湖にあった合宿所そのままです。名前もそのまんま。
なにをかくそう(隠しちゃいないが)、私も子供の頃、父に連れられて、この合宿所によく泊まりに来ていたんです。処女作品だけに、大好きだった場所を舞台にチョイスしたんですね。
合宿所の見た目もかなり、このまんまです。つまり、普通の民家のような宿。

子供の頃、夏休みで何が楽しいって、この大門で過ごす数日間。
ここに来て、テニスをする父と父の友達。近くにテニスコートがあったんですね。
んで、私はその父の友人の子供たちと遊ぶわけです。
テニスボールを盗んだり、探検をしたり。夜はボートに乗って大人に混じっておつまみを食べ、ファンタを飲みます。
そんなエピソードも本編の中にかなり反映されています。

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ほれ、こんな風に。
うちの父もまさにこんなテニスウェアでキメておりました。

では、そろそろあらすじを簡単に。
これはある夏の盆休み。
お父さんの三回忌のため、父方の田舎にやって来た、ある家族。
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母、長女、次女、末っ子の長男。
見たところ全員同世代に見えます。が、実はこの中にいる若い娘はお母さん。
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お父さんがこの世を去って以来、なぜかお母さんはどんどこ若返りしてしまったという、奇妙なお話でございます。

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宿を切り盛りするのはこの家族・田端家の親戚で、長女たちの従姉妹。
叔母にあたる母・みずえの急激な変化に戸惑いを隠せないのは当たり前。
もちろん、家族たち以外に普通のお客さんもやってきます。
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例えば一人旅でふらりと宿に訪れた青年や…。

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合宿でやって来たサークル「オカルト研究部」の大学生。たった三人だけの、怪しい部活。
でも遊んでばかりの陽気な三人組。

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長女の婿も三回忌のためにやって来ますが、当然若返ったお母さんを見てびっくり。

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民宿だけにアットホーム。
お客さん同士で談笑する中、だけどここにいる若い娘がお母さんだと言うことに気づく人はいません。

お母さんはなぜ若返ったんだろう?これからどうなっていくのだろう?
そんな不安を子供たちがそれぞれに抱えつつ、まずは目先の三回忌を、親戚に怪しまれず、滞りなく行えるだろうか?という問題に家族一同、頭を抱え、奮闘するのです。

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こんなベールで顔を隠してみたりして。

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また物語は、三回忌を挟む三日間の話と平行して、お母さんがこの宿でかつてお父さんと過ごした若かりし頃の思い出がフラッシュバックして描かれます。

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思い出の中のお父さんもやはり若く、青春時代を謳歌していた頃。

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お母さんが当時仲の良かった女友達もお母さんの思い出の中に登場します。
しかし…。

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時が経ち、お父さんの三回忌を迎えたとき、なんとあの頃の女友達が若いときのまま登場します。
友人との再会を大喜びするお母さんですが、周りの人々は困惑顔。

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実はこの女性は、お母さんと仲が良かった友人の、娘なのでした。
つまりは、長女と同世代。
かつてこの合宿所でお父さんとお母さんが過ごした夏、子供時代に遊んだ者同士。
お母さんの友達だった思い出の中の女性は既にこの世におらず、お母さんはますます、取り残された気持ちになってゆくのです。

賑やかで、短い二日間は過ぎてゆき…。
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宿を立つ朝。様々な人が宿を去っていくその日。
お母さんはある一大決心をして、子供たちの前に立つのでした。
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「さとがえり」
2009年4月3日~12日@下北沢ザ・スズナリ

吐露終わり
吐露始め 2009/04/26 日曜日

「さとがえり&帰れない夜」フォトギャラリー#1

おこんばんちは。バラです。
改めまして、先日無事終了しました「帰れない夜」「さとがえり」。
皆様、ご来場いただきありがとうございました!
お待ちかね(?)、カメラマン相川博昭氏によるフォトギャラリーでござんす。
今回は二作品同時上演、ということで写真も二倍…にするとすごい大変だから、相変わらず割と自分勝手なペースでご紹介していきたいと思います。

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二作だけに、どちらか一方しかご覧になってない方もたくさんいらっしゃるでしょう。
そんな皆様に二つの違いなんかを楽しんでもらえたらと思いますよ。

《写真をクリックすると大きい写真をご覧になれます。》

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朗読とストレートプレイ。
これだけでも大きく違うようですが、朗読とはいえほとんど動くわ喋るわ走るわの演劇なので、実際は演劇×演劇といっても良い感じでした。
でもね、雰囲気はもう、だいーーぶ違ったのですよ。

たとえば舞台美術。
「さとがえり」はこんな舞台。
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昭和を感じさせる古い和室。長野県は松原湖にある合宿所という設定です。

対してこちらは「帰れない夜」。
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ホーラだいぶ違うでしょう。
「帰れない夜」はオムニバスなので、舞台はいろんな空間に見えるよう、やや抽象舞台になっています。
あの竹はどこに?砂壁はどこに?
竹はこっそり見えていますけど。砂壁などのパネルは、忍者屋敷のように、あるいはパズルのようにチェンジするのです。
コレだけの大がかりな装置替え。昼夜二公演ある日なんかはキャストスタッフ総出で、30分とかで大急ぎで転換します。
いやはや!この舞台を考えた美術さんといい、そしてチェンジする舞台監督&演出部のみなさん、スタッフ陣(キャスト陣も)に頭が上がりません。

まあ見るからに、二作品のトーンが違いますね。
だって一応、「帰れない夜」はホラーテイストがウリだもんで。
例えば、開演時間までの雰囲気もこんなに違う。

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朗読の夜シリーズでは、開場中キャストが本を読んでいます。
なんつうか、インテリな感じ(?)。
実際読んでいる本が面白いかどうかで、キャストの開場中の過ごし方にも変化が。
つまりは、面白くない本をチョイスしてしまうと、この開場時間が眠くて仕方ないのですよ。

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「さとがえり」では女の子が一人、怖い話の入った(全然怖くないけど)テープレコーダーを聞いている夏の夜。
こちらの女子はざしきわらしではありません。客演のヨウラマキ嬢。
オカルト研究部に入っている大学生の役。
「さとがえり」でもホラーなテイストがちょいちょい話題として出てくるんです。にもかかわらず、全く怖くなく、終始のどかなムードが漂っているのがこちらの話。

洋服だってだいぶカラフル。
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「帰れない夜」は基本的に暗めのアースカラー。
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こうした各作品の違いは、意識的に出してみました。
だから、「帰れない夜」を見たお客さんは「さとがえり」を見てその賑やかさと怖くなさに拍子抜けしたでしょうし、「さとがえり」を見て「帰れない夜」を見たお客さんは、ダークなムードにギョッとしたことでしょう。

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ちょっと気味の悪いシーンもあったりします。
「縁切り神社」という作品で、縁切りを願う人々の怨念をビジュアル化してみたワンシーン。
お客様から思った以上に「怖かった!」という声をいただいたこのシーンですが、実際は狭い場所にキャスト陣がギュウギュウでおさまり、無理な姿勢を取ってるので、裏から見ると相当面白いことになっています。
嗚呼、その写真も取っておけば良かった。

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というわけで、次回はこちら「さとがえり」から、ご紹介してゆきますね。
相川さん(昨日の日記で言うところの伯爵)の素敵な写真集をお楽しみくださいませ。

吐露終わり
吐露始め 2008/10/13 月曜日

STARMANフォトギャラリー! ☆その3/ど・ん・だ・け☆青春の巻

さあ、ドンドン参りましょうフォトギャラリー。

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物語の主軸に立つのは、ある夏の日にキャンプ場へ訪れた二人の旅行客、早由利と慧生。

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そして、キャンプ場で出会ったもうひと組の男女・旬子と星次が歩む4年間の出来事が、メインで描かれます。

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彼らを迎えるのは、キャンプ場を経営するおしどり夫婦や、

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未亡人の旬子を励まし、支える妹、

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そんな旬子が恋し、やがて思わぬ運命により罪作りな結末を迎える男。
こんな面々が、キャンプ場での様々な人間関係を展開していきます。

ところが。

その一方で、主軸のストーリーとは全く関連しない一同が、キャンプ場で描かれる4年間の夏を暑苦しく満喫しておりました。

それがこいつら。
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いつでも青春真っ盛り、エンジョイ・オブ・サマーな四人組。
川で泳ぎ、花火で戯れ、肝試しで盛り上がり…とキャンプレジャーを謳歌しつつ、その中でくっついたり離れたりのビバヒル的恋愛模様を「あいのり」よろしく繰り広げておりました。
その様子はまさしく、時代に取り残されたトレンディ・ドラマ風味…。
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その浮き具合たるや、ついにはお客さんに「茶番カルテット」と名付けられたりする始末。
主軸の面々に、リアルな気持ちを掘り下げる稽古を展開する傍らで、彼ら4人には「もっと浅野温子のように!」だの、「反町ならそんな顔しない!」などというある種かけ離れた次元での稽古を行っておりました。
おかげさまで……。

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トレンディ!(そうか?)

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ど・ん・だ・け☆青春。

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ど・ん・だ・け☆ラブ。(目むいてるYO!)

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あ・つ・す・ぎ☆友情。

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や・り・す・ぎ☆ファイト。

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・・・・・・・・・・・・・・・・。

このように、
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年を重ねるごとに、カップルの組み合わせも変わります。

まあもう、写真だけ見てても暑苦しさが伝わってきますが。
この4人、台本を渡されてすぐ、青春を実体験するべくわざわざ稽古休みに遊園地デートしに行ったとか。(頼んでないZO☆)
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主軸のお話が中盤以降重々しい展開になっていくので、明るい面はこの4人が担当。
その暑苦しさに腰を砕かれながらも、賑々しいムードに助けられておりました。

円形劇場で最初にやったKAKUTAの舞台は『南国プールの熱い砂』という、ビーチリゾートを舞台にした青春群像劇。
この4人とは熱さこそ違えど、まさに恋だ友情だの若々しい青春ドラマを繰り広げていたわけで。
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今回も川遊びということで水着ではしゃぐシーンがありますが、つまりこれ、『南国~』のセルフパロディだったんですね。
そう考えると、時は移ろい、私たちも歳を取っていくのね…となんだか遠い目になりますが。

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ともあれ、4人の友情よ、永遠に!(…と案ずるまでもないであろう)

吐露終わり
吐露始め 2008/10/11 土曜日

STARMANフォトギャラリー! ☆その2/小道具は欠かせないの巻

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今、声を大にして感謝したいことは。

「ありがとう、伊藤園さん!」

嗚呼、伊藤園さん。ありがとう。その懐深き飲料会社よ。
今回舞台に初登場したのが、この自動販売機という代物。
町中を歩けば見かけない日はないというこのあまりにも日常に定着している機会ですが、実はこれ、舞台で使用するのは結構大変なんです。
なぜって、大道具屋さんにもガッチリ使える自販機というのはなかなか置いていないから。
道具さんが木箱をそれらしく見えるように作ったりして、誤魔化すことも多いんです。
今回は、円形劇場さんのお心づかいと、伊藤園さんのご協力により、ホンモノを使わせていただくことに!

この自販機、今回の物語の中では、さり気なくも非常に重要な役割として登場します。

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自販機のお茶のボタンを押すと、中からサイダーが出てきた!というエピソードがあり、キャストたちは劇中で、何度か間違えてサイダーを出してしまうことに。
この間違いが、ある小さな、しかし全ての始まりとなる出会いを生み出すのです。

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「お茶買ったのにサイダーが…どうですか?私飲まないんで」

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こうして、ある孤独な男と女は出会います。
間違えてサイダーを出さなければ、この物語は始まらなかったのですね。

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お茶はもちろん「お~いお茶」。サイダーももちろん、伊藤園さんの「天然水サイダー」。

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出会いのきっかけに、御飯をご馳走になったお礼に、眠気覚ましにと、様々な場面で伊藤園ドリンクが大活躍!
値段設定は「200円」。ちゃんと山の値段だったりします。

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高山が飲んでいるのは、アップルティー。これも伊藤園さんの定番ドリンク。
どれも本当の自販機から出てくるので、キンキンに冷えていて、美味しかった!!

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それに自販機って、あの蛍光灯が照らしだす独特の雰囲気が、文明の明かりとでも申しましょうか、日常のムードをすごく醸し出してくれるんです。
人工的な明かりが寂しく映るときもあり、逆にあの明かりに励まされることってありませんか。
だから特に夜のシーンでは、物語と一緒に自販機も、賑やかになったり寂しげになったりと、その顔を変えていたのでした。

☆★小道具/キエモノ編☆★

食べたら消えてなくなるものという意味で、「キエモノ」と呼ばれるのが食べ物の小道具。
今回も伊藤園さんのお茶をはじめ、様々なキエモノが登場しました。
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若者たちが食べているのがお馴染みアイス、ガリガリ君。安いしうまいしどこにでも売ってる。
若者=ガリガリ君ってイメージがあるのは私だけですかね?
「“ガマガエルを手づかみディスコでうたた寝ガリガリ君”…電グルにそんな歌あったね」
という台詞が劇中あったのですが、本当に電気グルーブの歌に「ガリガリ君」の歌はあります。

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こちらは、劇中何度も登場するキュウリ。姉妹の会話により生活感をかもしたナイスアイテム。
稽古中何度も客演・青木岳美は囓りすぎて台詞が喋れなくなっていましたが、本番中は舞台上が乾くので「キュウリで水分補給していた」とか。

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この野菜を運んでくれるのが津川ファームという農園を経営しているバツイチの色男・津川。
このダンボールらは、なんと!津川を演じた客演・内田健介氏と、青木岳美嬢が探してきてくれた物。客演さんにもかかわらず、ダンボール隊長と名付けられ、最初から最後までダンボールの管理を手掛けてくれました(笑)。

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このダンボールには「有機野菜」と記載してあるのですが、劇中有機野菜だと言うことを口走るシーンがあるため、わざわざダンボール隊長が有機野菜のお店まで行き、探してきてくれたもの。
このダンボール、よく見て!
ちゃあんと「津川」というサインがしてあります(笑)。細かさがいい!

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結婚式の引き出物と言えばバームクーヘン。
とはいえ、こんな風にバームクーヘンを食う奴を見たことがありませんけど。
舞台にある丸太の年輪を模した丸ベンチにバームクーヘンを置いて重ねるという小ネタは、地味にお気に入りでした。

私は本当にキエモノを登場させるのが大好きなんです。
近年KAKUTAの舞台でキエモノが出てこなかったことって、あったかしら?

今年1月のこれなんてキエモノだらけだったし。

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毎日用意する小道具さんは本当に大変です!!

あまりに量が必要で、予算がかさむものの場合、偽物を作る場合もあります。
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これなんかは『北極星から十七つ先』という舞台で作った偽のお弁当。
なんとこれ!原さん手作りの紙粘土で作ったお弁当だし!!

とにかく、舞台上で飲んだり食べたりすることの多いKAKUTA。
なぜだろうかと考えるに、やはりそれは私の中で、「食べること」と「生きること」が、非常に近く深く、結びついているからなんじゃないかと思うのです。

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吐露終わり
吐露始め

STARMANフォトギャラリー! ☆その1

皆さんこんにちは。
そして、「STARMAN」にご来場いただき誠にありがとうございました!
今年最後のKAKUTA、お楽しみいただけましたでしょうか。
次の公演は来年の春。
それまでの間、どうぞ忘れずKAKUTAに遊びに来てくださいませ。

さて!!今回もやって参りました。桑原が独断と偏見でもってお気に入りの舞台写真をチョイスし、裏話、四方山話を織り交ぜつつご紹介していくコーナー。

☆☆☆STARMANフォトギャラリー☆☆☆

写真家・相川博昭さんによる素敵フォトをご覧になり、舞台をご覧になった人も、慣れなかった人もノンビリとお楽しみくださいませ。

まずはちょっと!!これみて、これっ!!!
「青山円形劇場」といえば、当たり前ですが「円形劇場」。
その特性を生かし、「せっかく円形なんだから…」と相川さんのアイディアでやってみたのがこちら。
もう、なにはともあれちょっとお願い!

下の舞台写真をクリックしてみてチョウダイ!!

面白いですよ-!
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どうです?ご覧になれましたか?
最近Googleで、「ストリートビュー」ってやつ、やってますよね。
自分の家の周辺写真が360度グルッと見渡せるというもの。
こちらは、まさにそんな360度パノラミックビューを円形劇場の舞台から体験していただける「グーグルアース」ならぬ、「グルグルSTARMAN」。

写真の上でマウスを動かして360度見渡してみてください。
なんと!!!横だけでなく、上も!下も!まるっと全部見ることが出来ちゃいます!!

円形劇場ど真ん中の床面を見る機会なんて、なかなかないですよね?

天井につられた照明を舞台のど真ん中からバチッと見上げる機会も、あまりないですよね?

それがまさに、出来ちゃいます!

まるでキャストの一人になったかのような気分で、スタッフ陣の手掛けた素晴らしい舞台美術や照明、そしてあちこちで賑やかに立っているキャスト達をお楽しみください。
客席にはこっそり今回出演していない劇団員やスタッフ陣も紛れ込んでいます。
ま・さ・に!円形劇場ーーーっ!!!!!

というわけで、円形をご堪能いただいたところで、フォトギャラリーをご紹介してゆきましょう!

☆★☆STARMAN/スタッフワーク編☆★☆

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(※写真は全てクリックすると拡大します)
最初にご紹介するのはまさに舞台の裏側、スタッフワーク特集。
上は、場当たり(リハーサル)前の様子。癒し系・舞台監督、横尾さんの説明を聞いているところです。
みんな真剣な様子ですね。当たり前。リハーサルではしゃいでいる奴は怪我します。
私はこの場当たりは観ている方なので、衣装を着替えていません。

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今回大好評だったのがこの舞台セット。
森の中のキャンプ場を美術・田中敏恵さんに手掛けていただきました。
円形舞台を二分割して、キャンプ場の経営主がいるプレハブ小屋がある「事務所エリア」と、シルバニアファミリーのような木造のバンガローが建つ「バンガローエリア」の二箇所を設置。
上はそのバンガロー。
本当にキャンプ場に来たような気持ちにさせられる風情がありますよね。

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でもってこっちは事務所エリア。反対側にあるバンガローとは裏腹に、生活臭が丸出し。このバランスがとっても好きだった私。この台本を書く前に、実際私もキャンプ場に行ったのですが、まさにこのままのような場所が、キャンプ場の受付だったりするんです。この辺が、ザ・日本!ってところ。成清さんも私も生活臭ある感じで馴染んでおります。

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あらっ!!これは知らぬ間に相川さんが撮った私の演出家ショット。
ちょっとお!なんかカッコイイじゃない!演出家って感じじゃない!カリスマって感じ!!
…と、思いきや…。

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人が芝居している後ろを通り過ぎる。邪魔!!(私が)

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いきなり交ざっちゃったり。あんた誰!!(答え:桑原)

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足!!!(舞台奥の客席に注目)
何これ!?女の子の座り方あ!?(涙)
写真家さんは、良いところばかり納めている訳じゃございません……。
というより、私が明らかに邪魔なところに入り込んでいますね。

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こちらは、場当たりの間に一人で自主稽古をしている若狭君。
わ、我が劇団員ながら、えらい!
台本をまだ持ち歩いているのが、誠実さを現しているようでもあり、まだ不安なのか?!と心配になったりもします。

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場当たりでキャストのみんなが舞台に立つ前に、舞台スタッフ、照明スタッフは、様々な調整を行います。真ん中にいるのは照明さんのアヤパン。舞台の真ん中で携帯を見ていますが(笑)、遊んでいる訳じゃありません。これは、「人形」といって、役者の代わりに照明の中に入り、プランナーさんが明かりの当たりを確認しているので、長い間、ジッと照明の中にいなくてはならないのです。

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段取りで怪我をしそうなところは何度もチェックします。例えば自転車に乗るシーン。日常ではなんでもないことですが、舞台のスロープから落ちようモンなら大変です。舞台監督さんがちゃんと安全を確認しているですね。
そんでもって、今自転車に乗っているのは私の代役で今回も参加してくれたハルテン!

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今回も大活躍です。
彼女は人柄が滲むようなあったかい芝居をするんで、役者さんとしても素敵なんです。
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初日までは私の代役、そして公演中はなんと!映像オペレーターをしてくれました。初めてなのに、ミスもなく!
こうしたスタッフ陣の尽力あって、舞台は出来上がっていくのですな。


吐露終わり
吐露始め 2008/07/08 火曜日

「Root Beers-ルートビアーズ」フォトギャラリー 最終回

というわけで、いよいよラストです。
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こちら、リハーサル前の様子。
手前右にいるのは、演助のタムタムタムちゃん。今は俳優業を引退し、敏腕演出助手で活躍中の彼女。
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この頃が懐かしい気すらします。ハハハ。ジャグリングも敏腕。

というわけで、面白げな写真ばかり目がいってしまいましたが、この勢いのまま、お気に入り写真たちを一挙に公開して終わりたいと思います。
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ご来場くださった皆さん、ありがとうございましたー!

吐露終わり
吐露始め

「Root Beers-ルートビアーズ」フォトギャラリー #4

まだまだいきます。イーカオ出してる特集。
(クリックすると大きい画像でご覧になれます)

どの写真を見ても、面白げな顔が揃ってるのがこの人。↓
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アユミさん。この肩の外れ具合、この髪型(アラーキーと呼ばれていた)、特に私が指示したわけじゃないんですが、素晴らしくグダグダなことになっています。
そしてしばしば台詞もグダグダです。初日、登場第一声目の台詞からヘンテコなことを言っていました。
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二人ともなんて嬉しそうな顔をしているのか。
「年末、忘年会で行った老舗キャバレーにて」って感じですね。
とにかく稽古場を和ませ、癒してくれたのがこのおじさま(?)でした。愛されキャラというヤツですね。
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こちらもいい顔ですが、
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こちらの方も負けていません。
尻山くんこと凪沢渋次氏は、自身の主宰するコントユニット・ナギプロの代表。(8月ライブがあるらしいので是非、と宣伝もしておく)
アドリブが非常に効く彼。本編のパーティーシーンで、ほんの一瞬だけ台詞はなく皆が自由に話していい場面があるのですが、そこでは皆、彼が今日は何を言うかに釘付け。毎回素で笑えたので、私はこのシーンが楽しみでなりませんでしたよ。
みながチークダンスを踊るシーンで彼は、
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こんなの(骸骨ちゃん)と踊ってるんですが、そこでもほとんどお客さんに見えるか見えないかの場所で、この骸骨との恋物語をもの凄い細かく演じてたりして、なにげに目が離せない人(いろんな意味で)でした。

面白い顔と言えば、叫んでいるこの人。
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相川氏の撮ってくれた写真をチェックしたらば、こんな表情の写真がわんさか出てきました。

こんなのや、
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こんなのや。
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男のビビリ顔に萌えるS女にはたまらない顔ばかり。(そうか?)
だけどわたしが個人的に一番好きなのはこの顔。
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ぼやっとしすぎ。

***

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「窓の向こうの悲喜こもごも編」


舞台正面にある窓。そこには様々な人間模様がありました。ハイ。
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窓越しの談笑や、

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夢の相手との会話。

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騒動の見物。

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パーティーの喧噪に、

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姉弟喧嘩。

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淡い恋の始まりや、

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恋人達の別れ。

時々それらが一枚の絵のように見える瞬間が、好きでした。

吐露終わり
吐露始め

「Root Beers-ルートビアーズ」フォトギャラリー #3


はてさて。
本来なら、ストーリーの順にアップしていってみているうちに内容もわかる…というのがいいのでしょうが、そうなると膨大な量になるのでやめた。
これまでの調子で、好きなショットばかりアップしていきます。
そんなわけでお次は、「いー表情(カオ)出してる!」っつう感じのを挙げてみます。

まずは主人公・欽次役の青山さん特集。
写真家・相川氏は連射に近い形でバンバン写真を撮ってくださいます。なので、表情が細かく移り変わる様もしっかり抑えてある。

例えばこれ。
記憶をなくしたヤクザ・欽次が、枕の下の拳銃を見つける瞬間も・・・。
(※クリックすると大きい画像でご覧になれます)
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4コマ漫画風に、楽しめます。
こんな写真ばかりじゃなんですから、カックイイのもちゃんと載せておこう。

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↑記憶をなくす前の欽次。
「Root Beers-ルートビアーズ」は、記憶をなくしたヤクザ・欽次の物語。
なので、記憶をなくす前、無くした後、再び戻った時…と、青山さんの顔つきも様々に変化します。

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↑記憶を無くした後。
ちょっとこの表情、本当に可笑しい!!青山さん、なんて良いカオしてるの!!迫っている原も原で!!

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↑そして、記憶を取り戻した後の欽次。↓
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いやはや、声色や演技トーンをそれほど変えているわけでもないのに、全くの別人に変わっていく様子が、稽古場で見ていても思わずドキッとするほど見えました。

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そんな欽次が監禁した二人の男…尾灯(成清正紀)と、慎一(若狭勝也)と、三人はやがて奇妙な友情のような物で結ばれていく…という、そんなお話なわけですが。
今回、成清と若狭の両人は、芝居の中だけでなく稽古場でも青山さんを憧れ、尊敬し、飲みに行ったりアドバイスを聞きに行ったりしていた様子。芝居の話になると、「青山さんはねえ」「青山さんの演技は」「青山さんが教えてくれて」と二人の口から絶えず青山さんの名がこぼれ出ていました。
素敵な先輩役者に出会うことは、役者にとって最も大きい勉強なのでしょう。

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ヨカッタネご両人。

吐露終わり
吐露始め 2008/07/05 土曜日

「Root Beers-ルートビアーズ」フォトギャラリー #2

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オープニング映像。
(クリックすると大きい画像でご覧になれます)
「シン・シティ」的なアメコミ風のイメージで映像作家・メリケンサック氏(すごい名前)にお願いしました。
KAKUTAの本公演で映像を使うことはあまりないのでドキドキしていたんですが、OP曲のマーヴィン・ゲイと良い感じにマッチして、ちょっと劇画タッチなアメコミ漫画っぽくて、お気に入りです。

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ヤクザの欽次が記憶をなくすきっかけになる、ルートビアを飲むシーン。
照明と映像のコラボな感じが、好きだった1コマ。

スケキヨ原さん、先ほどのラフなスタイルと一転、ちょっと不二子的なボディコンシャスなファッションです。
普段はあまり着ないような格好が出来たのも今作品の面白かったところ。

というわけで、ここでちょっと、ファッションチェックしてみましょうか。

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見た目のインパクト大なのがやはり、小津朝雄役の川本。
スキンヘッドにサングラス、ダブルのスーツというところで、典型的なギャングスタイルです。
同じスキンヘッドでも今年の1月は、

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お坊さんでした。
使い勝手が良い頭ですね。
全員今回の舞台とイメージが違いすぎてて、並べてみるとちょっと面白い。

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同じくインパクト大といえば瀬戸湯太郎役・馬場のこの眉なし。
こないだ劇団のミーティングであったときも、やっぱり眉なしでした(当たり前)。
だけど今、注目してもらいたいのはこのTシャツ。
もともとはジャスミン(原扶貴子)用にと、衣装・るり子と連れだって買い物に出かけ、新宿は三平にて購入した物ながら、湯太郎さんの方にジャストフィット。
当KAKUTAでは気に入った衣装を半額買い取りして良いコトになっていますが、馬場君はこれ、いらないそうです。(普段も着なよ!)
今はKAKUTAの倉庫に眠っています…南無三。

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この作品の一番人気キャラといえば、謎の便利屋・CHILL(奥田洋平)。
「レザボア・ドッグス」のティム・ロスみたい~!とかってイメージでお願いしつつも、個人的に奥田氏は「ザ・コミットメンツ」という映画の主人公にクリソツだと思うんです。
あ~誰か共感してくれる人、いないかなー。
ラストシーンはクールに決めている洋平ですが、個人的には、
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こっちも好き。パーティーシーンで、一番馬鹿馬鹿しい格好をしているのが彼。天使の羽をつけています。窓枠のキラキラ飾りが妙にはまっててカワイイ。

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クラッカーにビックリ。かわいいね。

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ペーティーといえば、これもひどい。(ひどいって言い方もなんだが)
彼女はモヘアの羽をつけています。後ろ暗そうなキャラたちに限って羽がついているという、よくわからん共通点。
原生林にいそうな蝶のようですね。

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そんでもってこれ。「あれ?コリアンモーテルじゃないの?チャイナ?え?」と無駄に混乱させた琶子(桑原)の場違いなチャイナ服。
右手に拳銃、網タイツ、髪には花を飾って。別名を「峰不二子になれなかった女」という。

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後に身内内で「売春チーム」と不本意な呼び名でまとめて呼ばれることになる三人。
売春斡旋業者の富吉役・鈴木歩己氏と、尻山君役・凪沢渋次氏にお願いしたイメージといえば、「ゲゲゲの鬼太郎」に出てくる日本人サラリーマンのイメージ。結構そんな感じ出ていますネ。
歩己さんの髪には白髪メイクが施されています。
尻山君がサラリーマンなのにスポーツバッグというのも、新人ぽくていいですね。
韓国人・ヒバリ役の大枝は、少しわかりやすく韓流的な印象の赤紫ワンピ。髪を結ぶシュシュが雰囲気出してます。

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韓国人・ゼグン(松田昌樹)のファッションは、韓国人っぽくこういうファッション、というよりは、韓国人なのに日本のアニメ好きというところに密かなポイントあり。このTシャツ、よく見ると日本の野球少年のイラスト。野球のユニフォームには「MEISEI」と書いています。
ファンならおわかりでしょうか。そう、「タッチ」のたっちゃんです。
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ちなみに別の場面では、コロコロコミックのロゴになっているドラゴンのイラストTシャツを着ていたりします。
この写真じゃわかりづらいけど。
っていうかなんだこのシーン。(笑)

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食いだおれ人形?(笑)
かわいいでしょ。

吐露終わり
吐露始め

「Root Beers-ルートビアーズ」フォトギャラリー #1

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皆様、「Root Beers-ルートビアーズ」にご来場いただき誠にありがとうございました!

こちらでは、お気に入り舞台写真を、ワタクシ桑原の独断と偏見でチョイスし、語られなかった裏話・四方山話を加えつつ、公開したいと思います。
本編をご覧になった方も、なられてない方も、どうぞお楽しみくださいませ。
撮影はお馴染み、KAKUTAのチラシ写真なども担当されてます、別名SEX話の神・相川博昭さんです。

どうぞ、お楽しみくださいませ!
(※写真はクリックすると大きい画像がご覧になれます)

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開演前の一コマ。
ジャスミン(原扶貴子)がベッドで寝ている二堂欽次(青山勝)を看病しながらテレビを見ている…。
というのが開演前の設定。
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原さん、なかなか美しいんじゃないかと思うんですが、楽屋の鏡前では、自分でメイクしながら、

「ねえ私、スケキヨみたいじゃない?」

としきりにいっていました。

このテレビ、「KKTアフタヌーンニュース」という偽の番組。この番組で、「携帯電話はお切りください…」などの開演前アナウンスを流しました。
こんなちっちゃな1シーンのためのものですが、実は結構作り込んであります。
まず、開演15分前にテレビに映っているのは、
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雪山素子です。
え、誰??って感じですか?私からすれば、あなた、雪山知らないの?!って感じです。
ご存じない方は、是非次回、KAKUTAの先行チケットをお買い求め頂き、この雪山素子の出演しているオマケCDをゲットしてくださいませ。

そして、開演5分前のアナウンス時になると、別のキャラクターが登場。
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ニュースの中では、「レポーターのトム・ジョンソンです」と言っています。…が。

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実はこの人でした。

外人のつけっ鼻をつけて、喋っています。(是非とも写真をクリックし、大きな写真でご覧ください)
実際このアナウンスは、カリフォルニアのヨセミテ国立公園からのレポート、と言う設定で英語音声と同時通訳の日本語音声の二つでアナウンスがされています。
日本語吹き替えをしたのは、演助の田村友佳嬢。同時吹き替えらしく、平坦に演じてもらいました。
そして、実際に英語版で流暢な吹き替えをしているのは、なんと山田蔵助役の客演ゲスト、神保良介君でした。
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↑え、この人が!?
このヤクザメイクの良介君、芝居本編でも「育ちが良いから語学が堪能」という設定で英語を喋るシーンがありましたが、実際に彼はれっきとした帰国子女。ねいてぃぶすぴーきんぐですわ。
英語訳は全て彼がチェックしてくれていました。

さてちなみに。
開演前、ベッドで眠っている欽次さん。
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本編で欽次を演じているのは道学先生・青山勝さんですが…。
ここに寝ているのは、

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やっぱりこの人でした。ハハハハハ。

よく見ると、欽次にしちゃ、お腹がぽっこりしていませんか。
この公演の直前に、私が脚本を書かせてもらった舞台、鈴舟「想い出のグリーングラス」に出演していた横山君は、今回のルートビアーズは残念ながら出演せず…と言うことだったんですが、実は実は、こんなところに出演してたんですね。
会場から開演までの30分間、汗だくで、毎回本気で爆睡していました。

さて、今度は舞台スタッフ達の手掛けた美術装置にちょっと目を向けてみましょう。
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舞台美術・袴田氏によって作られた今回の舞台。
舞台はロサンゼルスのコリアンモーテルですが、モーテルがあるのはチャイナタウンの路地裏のような場所…というイメージでお願いしました。なので、こんな看板が建物の裏に覗いています。

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袴田氏は、九龍城の資料集を参考に、舞台を手掛けられてました。その中でもよく見かけたのが、この「福」の張り紙。家庭でも、会社らしき建物の中にも、この「福」がベタベタと張ってあるらしいのですが、時々こうして逆さに張ってあるらしいんです。
「福が降りてくるように」という意味なのか、とか、「福が逃げないように」という意味なのかしらね?と話し合いました。

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韓国娘のオルゴールと並んで、アメリカンなスロットのオモチャが並んでいるところに、このモーテルの雑多感が出ています。
このスロット、実際に遊べるのですが、今回横山と同じく外部への客演で出演しておらず、スタッフとして裏についてくれた佐藤滋が、本番前毎日のようにこのスロットをガチャガチャいじって遊んでいました。
「お、おい、今日のステージの運試しをしているのか?」
と内心ドキドキしていた私です。
滋さんよ、当たったのでしょうか。
ちなみにこの棚には本編にも出てくるエロ本が置いてあるのですが、このエロ本も佐藤君の物です。
私がずいぶん昔にハワイのお土産にと佐藤君のために密輸した無修正エロ本です。初演でも使われています。
大事に保管していたのでしょう…。

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テーブルの上には、アメリカンなビールボトルが。
これは、当劇団員の小道具班・野澤爽子が、メーカーやボトルの色味バランスもこだわって集めてきてくれたもの。
何気ないようでいて、スタッフのこういう細かいこだわりが舞台の色を作っているんですね。

さて、そんな感じで舞台に触れたところで、お次は本編に参ります。

吐露終わり
吐露始め 2007/08/22 水曜日

「神様の夜」フォトギャラリー/プログラムD NO.1

世の中もうすぐ夏休みも終わりですな。そんな中で終われない、このフォトギャラリー。
お待たせしました(待ってないか?)、遅ればせながらいよいよ最終プログラム、Dでございます。
夏休みの宿題を片付けるように、ドドドと行きますよ!

《プログラムD さようなら》IMG_1720.jpg
※おおきい写真を見たい方はクリックしてください。

「オリジナルストーリー・さようなら・1」
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ある日の昼下がり。リョウの引っ越しの手伝いをしている祖母は、部屋の片付けをしている最中、ある本を見つける。そこには手紙が挟まれていた。
宛名は、「まだ見ぬあなたへ」。
思わず手にとって懐かしそうに眺めながら、祖母は手紙を読み上げる。

まだ見ぬあなた、さようなら
出会う前から別れを告げます 
会えば必ず わたしはあなたを好きになるから

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「それ、自分で書いたの?」
いつの間にかその様子を眺めていたリョウが、祖母に向かって話しかけた。
祖母「さあ」
リョウ「そうなんでしょ?」
祖母「忘れた」
リョウ「嘘ばっか」
祖母「……いつだろうなあ、ずいぶん前のような、昨日のような…」

手紙を書いた頃に思いを馳せ、微笑む祖母。

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「それ、リョウにあげる」
手紙を手に取り、読み始めたリョウに向かって祖母は言った。
「いいの?手紙も?」
リョウが聞くと、祖母はニッコリ笑って頷いた。

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祖母が書いたというその手紙をリョウは一人で読み上げる。

さようなら
あなたに会えば その時私は 
神様がいるのかもしれないと 思ってしまうかもしれないから

縁側でひとり、ふと空を見上げるリョウ。
「リョウー!」
玄関から恋人・はるおの呼ぶ声が聞こえ、リョウは部屋の奥へ走っていく。


************************

「花野」
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すすきやかるかやの繁る秋の野原を歩いていると、背中から声をかけられた。
この時刻でこの場所ならばたぶんそうだと思っていたが、振り向くとやはり、叔父が立っていた。
五年前に死んだ、叔父である。《本文より》

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花野を歩く「私」の前に、時々現れる、叔父。
話し合うのは、相撲のことや、最近の政治のこと、そしてときどき、「私」について。
だけど一番の関心事は、叔父が残してしまった家族のこと。

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叔父は交通事故で死んだのである。
トラックとタクシーの衝突事故。それぞれの運転手、叔父、接待先の会社員2人、全員が死亡した。
「誰も残らなくてかえってよかった」
叔父は言うのだった。
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「残された家族?じきに忘れるさ」
叔父は朗らかにそういった。
「忘れてくれた方が、ありがたい」
だが叔父がそういった途端…。
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叔父の姿は薄くなり、やがてプツンと消えた。
どうやら、嘘をつくとあちらの世界に帰るらしい。
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ある時、叔父が泣いた。
「生き返りたいね」
そういって、鼻をかんだ。
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************************

「オリジナルストーリー・さようなら・2」

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はるお 「何買うって?」
リョウ 「牛乳1パックに、たまごでしょ、そら豆」

祖母に頼まれ、恋人・はるおと一緒に買い物に出かけるリョウ。
縁側で靴を履きながら、買い物メモの確認。
リョウ 「おばあちゃん曰くね、食はロマンだってさ」
はるお 「じゃあ、俺のロマンも買っていい?まあ、ビールですけどね」

二人は仲良く出かけていく。


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吐露終わり
吐露始め 2007/08/09 木曜日

「神様の夜」フォトギャラリー/プログラムC NO.3

「離さない・中編」

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「お願いだから預かってほしい」
そう頼まれて人魚を引き受けてしまう「私」。
人魚を連れてきたエノモトさんは、「私」の部屋の浴室に人魚を放したものの、なかなか人魚から離れられない。
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やがて「私」も、人魚に魅せられていく……。
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人魚を預かってから一週間。すっかり人魚の虜になってしまった「私」の元へ、正気に返ったエノモトさんがやって来た。
「どうしたの?」
「海に帰す」

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抵抗する「私」にかまわず、人魚を袋に入れて連れ出すエノモトさん。
そのまま二人は、海へ向かった…。


************************


「オリジナルストーリー・魅せられる・5」
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リョウを迎えて3人の時間を過ごし、カズとミチは帰ることに。
部屋の奥にいるミチを呼ぶと、ミチはあの手紙が挟まった本を手に持っていた。
カズ「ミチ何やってんの、帰るよ?」
ミチ「この本借りても良い?」
リョウ「それは…ダメ」
ミチ「預かっておこうかと思って」

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「リョウ、あんまり捕らわれないで良いんだよ」
リョウに本を返しながら、ミチがいう。
「まだ見ぬあなたはホントに、まだ見ぬあなたかもしれないじゃん?」
状況がつかめないカズをよそに、うなずくミチとリョウ。
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リョウも笑顔を見せ、帰りかけたところで奥の部屋で電話の鳴る音が。
カズ「……出れば?彼かもよ」
ためらい、電話を出ることが出来ないリョウに、カズは言う。
「リョウ。逃げるのも追いかけるのも、弱さじゃないよ」
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二人を見送り、意を決したリョウは電話の方へ向かった。

************************


「離さない・後編」
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海に到着した二人。エノモトさんは「私」が呼び止めるのも聞かず、波打ち際へ歩いていく。
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「やめようよ」
誘うような口調で引き留める「私」の言葉に、エノモトさんは人魚を放すことをためらい始める。
「……返す」
絞り出すような声でそういったエノモトさんにしたがい、二人は人魚を海に帰した。
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「返したね」
人魚を海に放し、エノモトさんに向かって「私」がそういった途端…。
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人魚が水面から顔を出した。
「私」を見つめると、人魚は言った。

「離さない」

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「魅せられたね」
人魚を放して数日後、コーヒーを飲みながらエノモトさんが言った。


************************


「オリジナルストーリー・魅せられる・6」
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「寒くないか」
晴れた日の公園でひなたぼっこをする親子。リョウを気遣いながら父は、近況を聞く。
父「お母さんも心配してたぞ」
リョウ「お母さんにも連絡したの?大げさすぎ」
あきれながら笑うリョウ。
リョウ「私ダシにして連絡するのやめてよ」
父「人聞きの悪いこと言うな」

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リョウ「だったら別れなきゃ良かったのに」
リョウはムキになる父親に笑いながらも、冗談交じりで聞いてみた。
リョウ「ホントに…どうして別れたの?」
大きな失恋を体験したばかりのリョウが、今、いちばん知りたいこと。
父「……どうしてかなあ」
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リョウ「神様の思し召し?」
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そろそろ帰るという父。別れ際、憎まれ口をたたくリョウ。
リョウ「娘の別れ話くらいで駆けつけないでいいよ」
父「おおごとだろう」
リョウ「おおげさなの」

言いながらも、あの手紙が挟まった本を手に抱き、想い深げに眺めるリョウに向かって父は言葉を探した。
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「まあ、なんだ…そういった“情熱”は、また…芽生えるものだから」
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短い沈黙のあと、公園に響くリョウの笑い声。
「情熱って!」
お腹を抱えて笑う。哀しい顔のリョウはもういない。
「よしなさい、女の子が大口開けて!」
父は、照れたように頭をかきながら、帰って行った。

そして再び、リョウは本を開き、あの手紙を取り出す。
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「まだ見ぬあなた、さようなら…」
リョウは、手紙を小さく声を出して読みはじめた。
「今頃あなたが誰かと抱き合い、笑い合い、その時私が別の誰かと笑っているとしても」
失った恋に、改めて思いを馳せるリョウ。
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どこか別の場所、別の時間に、誰かが同じ手紙を読んでいたことを知らぬままに。
いつか先の未来、またどこか別の場所で、その相手と出会うであろうことを知らぬままに。

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そしてリョウは、その公園に本を置き、去っていく。
近い将来、ハジメという青年が、その本を拾うことになる…。
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プログラムC 「魅せられる」

************************

さて、いよいよ次回はラスト、プログラムDです!
最後までお楽しみくださいませー!

吐露終わり
吐露始め 2007/08/07 火曜日

「神様の夜」フォトギャラリー/プログラムC NO.2

「春立つ・後編」

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翌年も雪の降る季節になるとカナエさんは男の元へ行った。
その翌年も、翌年も、翌年も。
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カナエさんは「好き」という言葉のかわりに、「幸せです」と男に伝える。
満足げにそれを聞きながらも、男はやはり自由に暮らし、何日も家に帰らなくなる。
カナエさんが「寂しい」と思う頃にはやはり、カナエさんは自分の家に帰されてしまうのだった。
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「その男、ちょっとずるくないですか」
カナエさんに言う私に、「ずるいってのとはちょっと違う」とカナエさんは返す。
「だけどね、だんだん荒れてきたよ」
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雪の降る季節になるたびにその男の元へ行くカナエさん。
だが、「寂しい」と思えばまた家に帰されてしまう。そう思ったカナエさんは、男を見ず、男をさわらず、男を何とも思わぬように努めるのだった。
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カナエさんは男に言う。
「もう来ない」
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やがて男を何とも思わなくなったカナエさんは、何とも思わないのならばここにいる意味はないと、自分で帰って行く。
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「それひどい話なんじゃないですか」
私がそういうと、カナエさんは可笑しそうに笑う。
もう一度会ってみたいと思いませんか?今なら違うように出来るかも…「私」がそういうと、カナエさんは「それ良い考えかもしれないわね」と答えた。

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そして4月も半ばを過ぎた頃、猫屋を訪れると、店はなくなっていた。
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猫屋の閉店を知らせるカナエさんからの張り紙には、雪の降る地方でこれからは過ごすつもりだと書かれてあった。その張り紙の終わりには…。
“ちがうように出来るような気になりましたので”
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「波瀾万丈なんだか地道なんだか、カナエさんたらもう」
そう呟き、「私」は桜のつぼみをいつまでも眺めていた。

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「オリジナルストーリー・魅せられる・3」
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相手のない留守番電話に向かい、話しかけ続けるリョウ。

「ねえ、前に一緒に読んだ手紙憶えてる?
会えば魅せられて自分を失い、右も左もわからなくなってみっともなくへばりつくって。
3ヶ月も300年も同じことのようにあなたを待ちわびてしまうって書いてあったやつ…。
私今、そうだよ」

リョウはまだ、はるおへの想いから離れられずにいた。


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「離さない・前編」
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旅先で妙なものを手に入れた、とエノモトさんが言ってきたのが、二ヶ月ほど前だった。《本編より》

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同じマンションに住むエノモトさんの家で、時々コーヒーをご馳走になる「私」。
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「相談に乗ってもらえないか」
そう言われ、「私」がエノモトさんの家を訪れて聞かされたのは、海岸で拾ってきてしまったという「妙なもの」の話。

それを家に連れて帰って以来、エノモトさんはそのものの近くにいたいあまり、家から外に出たくなくなってしまったという。
「このままではいけない」

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エノモトさんに言われるまま浴室に案内され、そこで見たのは、
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“人間の体の三分の一ほどの大きさ”の、人魚だった…。

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「オリジナルストーリー・魅せられる・4」
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ミチ「勝手に入って平気?」
カズ「鍵もかけてないんだから、すぐ戻ってくるでしょ」

落ちこんでいるリョウを案じて遊びに来た女友達、ミチとカズ。が、リョウは外出中。
ミチ「近所に出られるくらいは復活したのかな」
カズ「みたいね」
ミチ「良きこと。良きこと」

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カズ「意外に片づいてるね。もっと荒れてるかと思った。
ミチ「…物が減ったからだよ」
カズ「…ああ」

同棲していた部屋を、リョウを置いてひとり出て行ってしまったはるお。
はるおという男は、匂いや声や気配は強いが、実態がつかめない印象だったと語り合う二人。
ミチ「そういう人に惹かれちゃうのはわかるけどね、少し」
カズ「まあねえ…いや、でも許せん」
ミチ「うん、許せん」

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玄関の方から人の気配が。リョウが帰ってきたらしい。隠れて驚かそうと企むカズ。
何で隠れるのよ、とつっこむミチにカズはそのミチの顔を指さして…、
カズ「そんな顔見たらないちゃうかもよ?」
二人は部屋の奥に隠れ、リョウの帰りを待つことに…。


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吐露終わり
吐露始め

「神様の夜」フォトギャラリー/プログラムC NO.1

さて、いよいよ『神様の夜』も後半戦へ。
一つの手紙を巡って展開されるオリジナルストーリーも、男の子・ハジメが主人公のABから、女の子・リョウを中心に進むCDと変化し、ABでは語られなかった秘密やリンクが徐々に明らかになっていきます。そのあたりも気にしつつ、お楽しみくださいませ。
ではまず、今回の4プログラムの中でも最も異色な匂いを放つプログラムCをご紹介します。

《プログラムC 魅せられる》
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※おおきい写真を見たい方はクリックしてください。

「オリジナルストーリー・魅せられる・1」
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「リョウ、入るぞ」
リョウの部屋に、父が訪れた。
「おばあちゃんから聞いたよ。お前が随分しょげてるって……どうした?」
沈黙。
「はるお君と、何かあったのか」
沈黙。
「いないのか……」
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誰もいない部屋で、父は部屋に散らかっていたその辺のものを片づける。
と、一冊の本を見つけ、パラパラとめくる。そこから一枚の手紙が落ちてきて、辺りを見回すと、父はその手紙を拾い、読みあげる。
宛先は「まだ見ぬあなたへ」

まだ見ぬあなた、さようなら
出会う前から別れを告げます
会えば必ず
私はあなたを好きになるから
会えば
魅せられて自分を失い…

「やめてよ」
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そこには、暗い表情のリョウが立っていた。
「勝手に読まないで」

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恋人と別れたリョウを心配してやって来た父。だがリョウは明るく答えることが出来ない。
リョウ「どうしたの?お父さん」
父「おばあちゃんから聞いてな、お前が随分…、」
リョウ「(さえぎり)平気」
父「ああ」
リョウ「別に元気」
父「うん…」

ポツポツと会話を交わし、なすすべもなく父は帰っていく。
父「少し何か、食べなさいよ」
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部屋に一人たたずむリョウは、父から取り返した手紙を見つめ、暗い声で読み上げる。

まだ見ぬあなた、さようなら
私と違う生き物 違う気持ち 
わかっているのに情熱で追わせる君 
そしていつかは いなくなるあなた…

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「春立つ」
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猫屋に久しぶりに来ている。《本編より》

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「ごめんください」
行きつけのバー『猫屋』に一人で飲みに行く「私」。

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猫屋の女主人・カナエさんは、「私」に向かって、あれこれとひっきりなしに話しかける。
草色ののど飴のこと、カナエさんの飼うたくさんの猫のこと、柑橘類と風邪の咳について。
「春だからさ、たまにはまあ、話してみるかね」
そして立春。
カナエさんが語ってくれたのは、若い頃、雪の降る町で魅せられた、ある男との恋物語だった。

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若い頃のカナエさんは、雪の降る町で、夕暮れ時に外を歩くことを好んだ。
ある年の立春、いつもと違う道を歩いていると、不思議な目眩にとらわれる。
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どこからともなく聞こえた鈴の音にしたがい、目眩に身を任せていると、カナエさんは丘陵の斜面を滑り落ちた。
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落ちる。
落ちている。
まだ落ちている。
落ち続けている。

やがて地面につき、再び聞こえた鈴の音に耳を澄ますと、人の気配がした。

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振り返るとそこには、若い男が立っていた。
「カナエ、こっちにおいで」
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カナエさんはなぜだかわからぬまま男につきしたがい、男の家へ行き、男に寄り添う。
そのまま、男と一緒に暮らした。
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男は家に帰りたいときは帰り、そうでないときは帰らず、自由気ままに暮らす。
そんな男に寂しさをおぼえるカナエさんだったが、男に丸められるのはいつも気持ちが良かった。
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だがある日、男は何日たっても帰らなくなった。どこを探しても男はいない。
あちこち探して回り、カナエさんが諦めたとき、天から男の声が降ってきた。
「カナエ、カナエ、また会おうぞ。雪がくる頃に迎えにこようぞ」
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「好きだったのよねえ」
あのころを振り返り、カナエさんは語った。
「雪の降る頃に現れる、そういう存在のものをね」

存在…。カナエさん話を聞き、「私」は家に帰って伝承にまつわる本を読む。
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「オリジナルストーリー・魅せられる・2」
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「もしもし、はるちゃん?リョウだよ。
…どうしてる?ご飯ちゃんと食べていますか」

リョウは家を出て行ってしまった恋人・はるおの留守番電話に話しかける。
「声が聞きたいよ。会いたいですよ。帰ってきてよ」
リョウの叫びにも似た声は、留守番電話のアナウンスにかき消された。


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吐露終わり
吐露始め 2007/08/02 木曜日

「神様の夜」フォトギャラリー/プログラムB NO.3

「オリジナルストーリー/ひとりじゃない・4」

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一人でハジメの拾ってきた手紙を読む友人。

会えば 魅せられて自分を失い、右も左もわからなくなって
みっともなくへばりつき、3ヶ月も300年も同じことのように
あなたを待ちわびてしまうから
会えば それまで当たり前だったふつうの時間
居心地の良かったひとりの休日も、あなたといるときに比べ
心細く色褪せたものに、見えてしまうかもしれないから

ふとどこかに思いを馳せる友人。


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「星の光は昔の光・後編」


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正月が過ぎたある日、夕方の町を歩いていると、えび男君に声をかけられた。
「ひさしぶり…」
呟くようにそう言う「私」に、えび男君は近づき、
「たき火の匂いだよ」
言ってみようよと「私」の手を取って歩き出す。
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広場ではどんど焼きが行われていた。
たき火を見ながら、「私」の前に姿を見せなかった間のことえび男君は話す。

「僕ね、ちょっとの間、ニンゲンフシンになってみてたんだ」

二人は黙ってたき火を見つめる。
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「ねえ、暖かいって何を形にしたものだと思う?」
たき火を眺めながら、なぞなぞのような会話。
「僕はね、暖かいって言うのは空に向かって手を広げる太ったおじいさんのような形だと思う」
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「こんなところじゃ餅は回ってこないだろう」
「私」とえび男君の元にたき火をしていた人がやってきて、ミカンをくれた。
えび男君と「私」の手に、ミカンを握らせる。
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「ありがとう」
えび男君は礼を言った。深く、何とも言えない声だった。


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「オリジナルストーリー/ひとりじゃない・エンディング」
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再び夜になった。
酔っぱらった兄は眠り、ハジメは友人に帰ることを告げる。
友人はハジメに読んでいた本と手紙を帰した。
友人「はいこれ」
ハジメ「ああ…どうしよっかな、これ」
友人「返してあげた方が良いんじゃない?」

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落とし主は、この本を捨てたんじゃないかと考えるハジメに、もしかしたら誰かが拾ってくれるのを待って置いてったのかもよと話す友人。
「こわいな」と笑うハジメに友人は、
「こわくないよ」いつになく真面目な顔で友人は答える。
「わかるよ。この手紙に書いてあること」
ハジメは友人に頼まれ、もう一度この手紙を読み上げてみた。

まだ見ぬあなた、さようなら。
私に悪くない休日をくれるあなた。私はひとりじゃないと気づかせる君
私をいつまでも離さないあなた。私と違ういきもの、違う気持ち、
わかっているのに、情熱で追わせる君
そしていつかはいなくなるあなた
さようなら
あなたに会えば その時私は
神様がいるのかもしれないと思ってしまうかもしれないから

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「やっぱり少し…こわいか」
重いか、と手紙を読み終えたハジメに笑う友人。
ハジメはずっと気になっていた質問を友人に投げかける。
「兄貴のこと、好きですか?」
唐突な質問。だが友人はその意味を察し、深い沈黙が訪れる。
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友人「……好きだよ」
ハジメ「この本みたいに?」
友人「………」
ハジメ「無理だと、思いますよ。たぶん。……絶対」
友人「……知ってるよ」

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「だけど、今一緒にいられたらいいって…そういうことも…あるよ」
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「探してみたら、その手紙の人」
友人はそういってハジメに笑いかける。
「そうですね」
ハジメも笑顔で返した。そこに、寝ぼけた兄が呼ぶ声が。笑う二人。
友人は小さな声で呟いた。

「神様は、いるのかねえ」

ピアノからラヴェルのソナタが流れ出す。
ハジメは手紙と本を鞄の中にしまい、兄とその友人の家を去っていった。

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引き続きお楽しみいただけましたでしょうか。
オリジナルストーリーのハジメ編はここで終了。時間軸はB→Aという流れで進んでいます。
後半は、女の子が主人公のリョウ編。
ウン、もうすっかりわかっていますけど、この全プログラムアップするの、うん、もっすごく大変です。
ですがC・Dと、ドンドン更新していきますのでお見逃しなく!

吐露終わり
吐露始め

「神様の夜」フォトギャラリー/プログラムB NO.2

「クリスマス・後編」

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「クリスマスの町に出たいなあ…」
クリスマスが近づき、町に出たいというコスミスミコを連れ出すことに。大喜びするコスミスミコ。
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町に出ると、多くの人が振り返った。中には、
「お茶でもいかが」
声をかけてくる男性も。
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イタリアンレストランで食事をする二人。かいがいしく給仕がワインを注ぐ中で、コスミスミコは「私」に自分の恋の話をするのだった。
「色々大変なのね、人生」
「いろいろよぉ」

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そしてクリスマスイブ。出張から帰ったウテナさんが、ワインを土産に「私」のうちへ遊びに来た。
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3人で乾杯!
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「生きるってさあ、あれよねえ、本当にねえ、まったくねえ」
酔っぱらって盛り上がり、いつしかうたた寝をしてしまう「私」とウテナさん。
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目を覚ますと、コスミスミコがツボに向かって語りかけていた。
「私はあなただけがいれば良かったのに。残念よぉ、本当に」
昔の恋人に向かい語りかけるコスミスミコの涙が、真珠色に光った。
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「オリジナルストーリー/ひとりじゃない・3」

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「まだ見ぬあなた、さようなら…」
ワインを飲みながら、夕べ拾ってきた手紙を読むハジメと兄、そして友人。
熱烈な手紙の内容に、男たちはコメントする。
兄  「これ書いたの絶対ブスだね」
ハジメ「ブスかな、やっぱ」
友人 「そういうこと言うなよ」

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手紙の話から、ハジメが夕べフラれた女の子の話に。
酔っぱらいながら励ます兄に、ハジメはもういいんだ、と言う。
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ハジメ「その子のこと、そんなに好きじゃなかったのかなーって気がして」
兄  「つよがり」

ハジメ「ホントに。だって俺こういう感覚、よくわかんないもん」
そういって手紙を指さすハジメ。
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兄  「寂しいなあ、お前は」
ハジメ「なんだよいちいち!」
兄  「寂しい人生~」
ハジメをからかう兄。自分はどうなんだよと聞くハジメに兄は、
「お前と違って楽しい人生~」

と、返す。
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兄  「楽しいよなあ?」
笑いかけ友人に問う兄に、笑って頷く友人。だがハジメと兄が去っていったその後、友人はふと真面目な顔で手紙に目を落とした。


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「星の光は昔の光・前編」
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チャイムが鳴った。えび男君かなと思ったら、やはりそうだった。《本編より》


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あまりツボから出たがらなくなったコスミスミコに代わり、家に遊びに来るようになった小学生のえび男君。
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あまり家に帰らない父親、それで「ニンゲンフシン」になってしまった母親との間で揺れる少年・えび男君と、一人暮らしの「私」が過ごす、寂しくも優しい温もりに満ちた、冬の日々。

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えび男君は「私」の目をあまり見ないで話す。話ながら丁寧に皮をひろげたミカンをチュウ、と吸う。
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「学校で作ったの。あげる」
えび男君がくれたのは、手作りの牛や豚が乗った箱庭。箱庭を眺める「私」を、長いまつげの影を頬に落とし、熱心にのぞき込む。

だけど、そんなえび男君が姿を見せなくなった…。

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吐露終わり
吐露始め

「神様の夜」フォトギャラリー/プログラムB NO.1

《プログラムB ひとりじゃない》
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「オリジナルストーリー/ひとりじゃない・1」
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オープニング。高戸渉氏によるピアノの生演奏が始まる。

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「ハジメ、ハジメ……起きろって」
ある日の朝。兄の声で目を覚ますハジメ。
昨晩、大学のガールフレンドにデートをすっぽかされたハジメは、一人酒に酔っぱらい、兄の住む家に転がり込んだのだった。
「うちにはルームメイトもいるんだからな。夜中に押しかけたら迷惑だろ」
寝ぼけまなこのハジメに、仕事へ行く準備をしながら兄が叱る。

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「俺は別にいいけどね」
兄と同じ会社に勤めている友人のルームメイトは優しくハジメに言った。

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「ねえ、何これ?この本」
ハジメは自分が持っている本に気づき、問いかける。
兄   「自分で持ってきたんだろ?」
ハジメ「え?」
友人 「公園で拾ったって言ってたじゃない、夕べ」

ハジメは酔っぱらった勢いで、公園に置いてあった本を拾ってきてしまったらしい。
その本の中には、手紙が差し込まれていた。
宛先は、「まだ見ぬあなたへ」。
友人「何、ラブレター?」

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しょげんなよフラれたからって、とハジメをからかいながら、兄と友人は仕事へ出かけていく。
一人家に残ったハジメは、改めてその手紙を読んだ。
「まだ見ぬあなた、さようなら。私はひとりじゃないと気づかせるあなた…」

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「なんだこれ、気持ち悪ぃ」
ハジメは手紙を気にする出もなく、無造作に鞄に放り込んだ。
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「クリスマス・前編」
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「ちょっとしたもんでしょ」
そういって、ウテナさんが壺をくれた。《本編より》

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冬のある日。一人暮らしの「私」に友人のウテナさんがくれた不思議なツボ。
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そこから現れた、愛らしくちょっととぼけた女幽霊・コスミスミコとの、奇妙で楽しい共同生活。
ワインと女友達と恋の話。ソリの走る鈴の音にのって、切なくも賑やかに迎える不思議なクリスマス。

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ウテナさんのくれたツボを、ある日何となくこすってみると、そこから一人の女幽霊が現れた。
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彼女の名前は「コスミスミコ」。なにやら、男女間の「チジョウノモツレ」によって幽霊になってしまったんだという。
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最初は驚いていた「私」も、無邪気で愛らしいコスミスミコと会話を交わすうちに心を許し、やがてすっかりこの不思議な同居人は「私」の家に馴染んでしまうのだった。

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「オリジナルストーリー/ひとりじゃない・2」
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夕方になり兄が仕事から帰ってきても、まだ家に居座っていたハジメは、昨日フラれたガールフレンドに電話をかけていた。
「まだいんのかよ?」
あきれてハジメを小突く兄。
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「じゃあ仕切り直しと言うことで!」
再びデートの申し込みをしようとするハジメだが…。
「大学?ああ…じゃあ、授業でまた」
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フラれて消沈するハジメに、友人がさり気なく励ます。
友人「今晩なに食べたい?」
ハジメ「じゃあ、ハンバーグ」
友人「ほい」
ハジメ「すいません…」


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吐露終わり
吐露始め 2007/08/01 水曜日

「神様の夜」フォトギャラリー/プログラムA NO.2

「神様」
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くまに誘われて散歩に出る。河原へ行くのである。《本文より》

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同じマンションに先日引っ越してきた大きな雄の成熟した“くま”。
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そのくまに散歩に誘われ、ハイキングに出かけた「私」。
夏のはじめ。律儀で紳士なくまと「私」の、ほのぼのと可笑しく、うららかな河原のひととき。
魚を捕り、木陰で弁当を食べ、昼寝をし、抱擁をして別れる。
それは、悪くない休日だった。

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名前もわからないくまに、「なんと呼べばいいの?」と問いかけるが…。

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「呼びかけの言葉としては“貴方”が好きですが。どうぞご自由に、なんとでもお呼びください」
とにこやかに答えるくまだった。

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くまを見て驚く河原の人々。子供は「お父さんくまだよ!」と騒ぎ立てる。

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食後のデザートは、各自オレンジを一個ずつ。食べ終わるとくまは…、
「よろしければオレンジの皮をいただけますか」

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「オリジナルストーリー/悪くない休日・3」
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散歩していたハジメは、通りかかった女性(女3)が落とした梨を拾う。
返そうとすると女3は、よかったらどうぞといって去っていった。
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遅れてやって来た女2に事情を説明すると、食べましょうよ、と言う。
ハジメ 「だっていいの、変なもらい方したやつだよ」
女2 「大丈夫でしょ、いい匂いだし」
ハジメ 「そう?」

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女2 「…それにね、変なものとか、不思議なこととかは、時々受け入れるのもいいものですよ」
ハジメ 「変なこと?」
女2 「今日みたいに」
ハジメ 「ああ。僕」
女2 「その本みたいに」

女2はハジメの持っている本を指さしてそう言うと、「でも、時々ですけどね」とつけたした。


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「河童玉」
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ウテナさんと精進料理を食べに行った。《本文より》

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秋。寺へ精進料理を食べに来た「私」と友人のウテナさんは、突如現れた河童によって池の底の宴に誘われる。何でもその河童は女河童との性生活がうまくいかず、近頃「人間界で最も奥の深い失恋をした」というウテナさんに、なぜかご教授いただきたいというのだが…。
のんきで陽気な河童たちとの、賑やかで愉快で少し猥褻な、宴の一夜の物語。

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寺で出す精進料理を食べ終え、本道の広間でうたた寝をしていた「私」と友人のウテナさんは、池の底から聞こえる声に耳を澄ます。するとそこから現れ出でたのは、絵で見たとおりの、河童だった。
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河童に案内され、池の水底に潜る「私」とウテナさん。水は少し冷たいが、息は苦しくならない。
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河童は人間界で言うところの「閨(ねや)」は盛んで飽くことがないが、最近私の「男ぢから」がどうもうまくいかないのですと、ウテナさんに切々と訴える男河童。
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気がつけばたくさんの河童たちが集まって、卓にはご馳走が並べられていた。
河童たちに崇められたウテナさんは、愛や恋に於ける説教を始めるのだった。
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「オリジナルストーリー/悪くない休日・エンディング」
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夕方になり、ハジメと女2との散歩の時間は終わろうとしていた。
ハジメ 「今日は、ありがとう」
女2 「なかなか楽しかったですね」
ハジメ 「はい」

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女2「その手紙の人、もし見つけたらどうするんですか」
そう質問し、好きになるのかな?と冷やかす女2に、ハジメ少し恥ずかしそうに答えた。
ハジメ「正直ね、わからないんです。僕はその、今までちゃんと人を好きになったことが、ないような気がして。だからこの手紙の言いたいこととか、ホントはまだあまりピンとこない」
だから、この手紙を書いた人と話してみたい気がする、とハジメは語った。
女2「そうか…なら、逢えたらいいですね」
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良いお休みでした、と礼を告げ、帰って行こうとする女2に、ハジメは思い切って声をかけた。
ハジメ 「また、その…会ったりとか、出来ますか」
女2 「え?」
ハジメ 「こうやって散歩したりとか、そんなのでいいので」

少し驚きながら、でも私その手紙の人じゃないけど、という女2。ハジメはしばらく考えて、答えた。
ハジメ 「……わからないですよ?」
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女2 「…いいですよ。また会いましょ」

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じゃあまた、といって別れる二人。去り際、女2は振り返ってハジメに聞く。
女2 「そういえばその本、なんて言う本?」
ハジメ 「『神様』です」

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夕暮れ時、一人公園に残ったハジメは、改めて本を開き、手紙を読む。
「まだ見ぬあなた、さようなら。私に悪くない休日をくれるあなた…」
今日の出会いを思い返しながら手紙を読み上げるハジメ。

さようなら
あなたに会えば その時私は
神様がいるのかもしれないと 
思ってしまうかもしれないから

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どこか別の場所、別の時間に、誰かが同じ手紙を読んでいたことを知らぬままに。
いつか先の未来、またどこか別の場所で、その相手と出会うであろうことを知らぬままに。

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プログラムA 「悪くない休日」
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いかがでしたでしょうか。小説『神様』と照らし合わせてお楽しみくださいませね。
次回はプログラムBをお送りいたしマース。

吐露終わり
吐露始め

「神様の夜」フォトギャラリー/プログラムA NO.1

《プログラムA 悪くない休日》IMG_6775.jpg

※大きい写真を見たい場合はクリックしてください。

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「オリジナルストーリー/悪くない休日・1」

どこかの公園。
一人の女が、本を拾う。
あたりを見渡して落とし主を探しながらその本を開くと、手紙が差し込まれていた。
宛先は「まだみぬあなたへ」。
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女は手紙を読み上げる。
「まだ見ぬあなた、さようなら…」
すると、そこにやってきた、一人の青年・ハジメ
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ハジメ 「あ、それ…」
女1   「ああ、あなたの?」

本を返し、去ろうとする女に、ハジメはこの本を自分もこの公園で拾ったんだと話す。
ハジメ 「(落としたのは)あなたじゃないですよね?」
女1 「え?私じゃないです」

笑いながら答える女。
ハジメ 「いや、だったらいいなあと思って」
女1 「?」

ハジメの言葉を不思議に思いつつ、女は去りかけるが…。
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女1 「ナンパですか?」
ハジメ 「え?いや…あ、ハイ。」
女1 「ああ。」

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「見つかると良いですね、その手紙の人」と女に励まされるもやんわりナンパを断られ、ハジメはまたも公園をうろつくのであった。

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「夏休み」
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原田さんの畑で梨をもいでいると、足下を小さなものが走り回った。《本文より》

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原田さんの梨畑で働きはじめた「私」が出会った、白く小さな3匹の生き物。
梨を食べ、甲高い声で喋り、走り回る。
梨がとれる季節になると現れ、夏の終わりに消えていくというその生き物たちを、
「私」は家に連れて帰った。
生き物たちとの奇妙な触れあいを通じて自身と向き合う「私」の、
少し不思議でほんのり怖く、どこか切ない、夏休み。

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「私」が梨を与えると、3匹の生き物たちは、勢いよく梨を食べ、部屋の中に落ち着く。

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生き物たちはすっかり「私」に馴染んでしまった。
「今日はもう置いていったら?」そう言う原田さんに、生き物たちは「家で眠る!」と反抗する。

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「オリジナルストーリー/悪くない休日・2」
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同じ手段で、別の女性をナンパしたハジメ。
女2 「会えば、空に浮かぶ意志が星だと気づく……これが私だって言うんですか?」
ハジメ 「あ、はい」
女2 「(あっさり)違うよ」

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この本の持ち主を捜していると伝えるハジメだが、「ま、じゃあ頑張ってください」とあっさり切り替えされて意気消沈。ところが、

女2 「そんな運命的なものにとらわれずとも、お茶しませんかとか、普通に誘ったら良いんじゃないですか?」
と返す。

ハジメ 「誘っても良いですか?」
女2 「日曜日だし、天気も良いし…散歩くらいなら」
ハジメ 「じゃあ、それで!」

いいですよ、と笑っていう女2と共に、喜び勇んで散歩に出かけるハジメだった。

吐露終わり
吐露始め

「神様の夜」フォトギャラリー/はじめに

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※大きい画像をご覧になりたい方は写真をクリックしてください。


どうもどうも、久々の吐露部屋です。桑原です。
デエトブログにばかりかまけていたので久々の更新です。
とはいえこちらは「神様の夜」フォトギャラリーです。
デエトブログでさんざん女子たちをご紹介したわけですが、「あれ?男の子はないがしろですか?」みたいな、「ていうか本来はどんな公演なんですか?」みたいな、神様の夜にちゃんとふれておりませんでした。ええ、なんか浮かれたことばかり書いておりますね、デエトブログ。

なので、AプログラムからDプログラムまでをご紹介してみることにします。
4プログラム計10作品(オリジナル含む)だったこの公演。
長丁場なため、どれか一つのプログラムしか観ていないという方も多いのではないでしょうか?
他のプログラムがどんなんだったか知りたい!オリジナルストーリーのリンクを知りたい!
…と、そんな方に向け、A~Dまでザザっとストーリー説明をしつつアップすることにいたしましょう。(別に頼まれてもないわけですけれども

《神様の夜》

オリジナルストーリーは、ある一つの手紙を巡って展開される、男女の物語。
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まだ見ぬあなたへ

まだ見ぬあなた、さようなら
出会う前から別れを告げます
会えば必ず
私はあなたを好きになるから

会えば
魅せられて自分を失い
右も左もわからなくなって
みっともなくへばりつき
3ヶ月も300年も同じことのように
あなたを待ちわびてしまうから

会えば
それまで当たり前だったふつうの時間
居心地の良かったひとりの休日も
あなたといるときに比べ
心細く色褪せたものに
見えてしまうかもしれないから

今頃あなたは誰かと抱き合い、笑いあい
その時私も、別の誰かと笑っているとしても

会えば
空に浮かぶ石が星だと気づく
四季に色や匂いがあることを知る
雨が冷たくやさしいことを知る
時が想いを消さないことを知る

まだ見ぬあなた、さようなら
私に悪くない休日をくれるあなた
私はひとりじゃないと気づかせる君
私をいつまでも離さないあなた
私と違ういきもの 違う気持ち
わかっているのに 情熱で追わせる君
そしていつかはいなくなるあなた

さようなら
あなたに会えば その時私は
神様がいるのかもしれないと
思ってしまうかもしれないから

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今回も、相川博昭氏撮影による舞台写真でお楽しみくださいませ。

吐露終わり
もくじ
か行 (8)
さ行 (18)
た行 (20)
な行 (10)
は行 (1)
ま行 (12)
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日記 (19)

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