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2007年03月 アーカイブ

2007年03月07日

サーバー飛んじゃった記念 KAKUTAワークショップドップリ浸かろう一週間日記!その1

WS開始初日、出かける準備をしていると制作・裕ちゃんから緊急ムード漂うメールが届いた。

「サーバーが飛んじゃいました。」

いまだ「サーバー」とか「ブラウザ」とかがなんなのであるかわからない私であるが、ともかくHPのデータが消失したとのこと。見てみたら…本当に消えてやんのな!
どうやらサーバー会社側のトラブルらしい。どこのボタンをクリックしても、のんきな顔のコロボックルが微笑んでる!(ロリポサーバーのエラーページのイラストだ。こののんきさが苛立ちに拍車をかける)
オイ!ロリポ!!あたしの長々書き綴った吐露部屋はいずこに…。
データはかろうじて残っているが、もう一度再アップしなければならないその地道な作業を思うとクラッと来る。
まったく笑ってる場合じゃないよ、おっさん(コロボックル)。
しかし私は今からWSだ。PCを閉じて出かけなければ。
そんなわけで、KAKUTAのワークショップ2007『ドップリ浸かろう一週間』はのっけからやる気に水を差された幸先不安な感じで始まったのだった。

3月4日に最終日を迎えた、この変なタイトルのWSは、普段なら一ヶ月くらいかけてやる内容を、たった一週間でやってみようという企画だった。
限られた期間でどんなことが出来るのか。またどの程度人と人は結びつきをもてるものなのか。そんなことをWSを通じ、試してみたかった。
というわけで、先週6日間は毎日4時間、ドップリみっちり昼夜2チームで12時から22時までWS漬け。
執筆の仕事は溜まってるわ、KAKUTAのHPはなんだかたいへんなことになってるわというなかで、なんだってこんなキツイ企画を立てたんだろうと、自分で考えておきながら、始まった当初は密かに後悔したものだった。

だけど…。
全ての日程が終了した今。本当にやってよかったと思う。
充実した思いと、別れの寂しさ。まるでひと公演終えたかのような感慨の中にいる。
そんなドップリミッチリの6日間を、サーバーが飛んじゃった記念に、ことわざ抜きで、ほんの少し、振り返ってみたいと思いやす。
それにしても…コロボックルめ…!(しつこいな)

●WS一日目は、人見知り全開で良しということで。
初日。時間が近づくに連れ、続々と参加メンバーが集まってきた。
今回の参加者は、劇団員含め総勢54人!昼夜2チームに分かれているとはいえ、相当な人数。稽古場がミチミチと、狭い。
ゲームをしながら必死にメンバーの名前を覚える。最終日までに全員覚えられるだろうか…つと不安になった。
昼のチームは、若い子たちが多いのもあってフレッシュなムードを発しつつも、やはり緊張が漂っていた。ゲームが始まればワイワイと盛り上がるのだが、休憩中誰と喋ればいいのやら戸惑っている様子。終了したらみな早々に稽古場からいなくなった。
そりゃそうだ。昼の1時から27人の名前覚えて、いきなり楽しんでいきましょ-なんて強引な話である。私はというと、まるで人見知りなんて知りませんといわんばかりのつもりで振舞いつつも、やはり皆と同様に、戸惑っていたのだった。
夜のチームはやや年齢層が高く、また演劇経験がある人が多いのか休憩時間も割と賑やかに過ぎ、帰りは飲みに行っていた。私は一日目を終えた脱力感と、2日目へのプレッシャー、人見知りの臆病者ぶりが相まって、その日は早々に家路に。
あの初日に、今抱いている感慨やメンバーへの愛着なぞ、想像できただろうか。


サーバー飛んじゃった記念 KAKUTAワークショップドップリ浸かろう一週間日記!その2

昨年話題になった邦画『リンダリンダリンダ』は、学園祭までの数日間を通じ、急速に近づき合っていく女の子達の青春ドラマ。好きな映画だ。
学園祭でライブをするというイベントを控え、寝る間も惜しみ練習に励む女の子達は、日に日に呼び名がさんづけからちゃんづけになり、呼び捨てになり。それは一時的な熱かもしれないけれど、確かに結びつきあい、力を持っていく。
それは、学園祭のもつ汗臭い熱気、独特な疾走感の影響なのかもしれない。
このWSに、そんな学園祭の熱気と似たにおいを感じた。

●WS2日目は、少々の不安と共に。
昼のメンバーが一人、急遽稽古が入ったため辞退することになった。誰かしらそうしてやめることがあるだろうと予測していたものの、やはり少し、残念。今回かなりの方を人数オーバーでお断りしているだけに、申し訳ない思いがした。それにもしかしたら、このWSが面白くないと次々に人が減っていくのではないかと、少しばかり不安になる。
この日やったのは、KAKUTAでもよくやっている体を動かす内容で、体で様々なポーズを取り、彫刻になったり絵の一部になったりするやつ(なんていい加減な説明だ)。もうずいぶん長いことやりつづけてきたカリキュラムなので、そろそろやめてもいいかと思うのだけど、やってみるとやはり、勉強になる。
最終日に創作発表会を行う予定になっており、5~6人のチームを作った。まだよく知ってはいないけれど、なかなかよいバランスで組めた気がする。

●WS3日目、浮上。
初日から印象深い人、というのがいる。また数人ではあるが、前から知っている役者さんも参加している。そういう人たちに最初はつい視線がいきがちになるのは当然といえば当然なのかもしれない。だけど3日目。ここらに来て、グンとそれぞれの個性が浮かびあがってきた。これだからオーディションって当てにならんのだ。
この日は音楽を使って遊んだ。体を使って色んな音を出してみたり、音楽に乗せてエチュードしたり。夜に比べ大人しい印象だった昼チームが、この日のエチュードはノリノリのアゲアゲな大盛り上がり。訳分らんことを言って騒いで終わったという感じなのだが、それが相当に面白く、おなかを抱えて笑った。夜のチームは、少々悩みながらやっていた様子。だけど、体でリズムを作って遊ぶ内容では、夜チームがストンプかドラムジカかという見事なオーケストラを作ってて唸る。
同じことを昼と夜でやっているはずなのに、ここまで盛り上がる場所が違うのが不思議だ。
同じテーマで創作発表をしても、雰囲気が分かれる。例えば、昼のチームはすぐに動いてみることから始める。なので、体を使って見せるのが面白い。夜のチームは話し合いが長い分、台詞や展開が凝っている。
それぞれに味わいを見出してきた私のなかにも、少し浮上を感じる。

●WS4日目、ようやく芝居らしきこと。
初日に渡した台本を、この日までいっそもやらずに過ごして来たので、「いったいいつやるのか?」とみんなもやや不思議な顔をし始めた4日目、ようやく戯曲の稽古に。ひとつの共通する台本を全員でやってみる。ここでもやはり、3日目まではまだ静かだった人たちが突然目立ったりして面白い。読解力のある人が、台詞を様々な読み取りで演じてそんな読み方もあるのかと皆を驚かせたし、エチュードは苦手だけど台詞は得意と言う人が、丁寧に言葉を発して急に大人びた印象を与えた。
面白かったのが(いや面白がってる場合じゃないんだが)、ここで劇団員が大苦戦していたこと。一応、曲がりなりにも会話劇をやってるはずのKAKUTAの皆さんなんだが、逆にそんなプレッシャーを感じたのかもしれない。先頭切ってダメだしを受けしょっぱい顔をしている。
「オイ、大丈夫かKAKUTA?!」と叫んだら、素で落ち込んでいる原の顔が見えた。

サーバー飛んじゃった記念 KAKUTAワークショップドップリ浸かろう一週間日記!その3

●WS5日目、仲間としての意識。
WS3日目にやった「天下」というゲームが思いのほか白熱するんで、以来毎日やることに。皆筋肉痛になったり擦り傷をこさえたりしているのに、毎回盛り上がる。
WS発表会で組むチームメンバーで仲間になって闘ったりもするのだが、日に日にチームメイツたちが仲良くなっているのが見てとれる。
それは、このところ皆、発表会に向け朝早く集まったりWS後に連日深夜まで話し合いを行ったりしているからなのだ。最終日を明日に控えたこの日は、「これからお泊りなんです」というチームもいて、過酷な企画を立ててごめんと思いつつ、なんだか嬉しい。私もWS後は毎日ヘトヘトなのだが、4時間ぶっ続けで動き回っている皆はなおさら疲労が溜まっているはず。だけど、消耗する体力と反比例するように皆の結束が強まっているように思える。
この日も台本を使った発表を行ったが、各チームの発表を観るみんなの様子が変わってきた。自分たちが上手くやることだけじゃなく、それぞれの良いところを見つけようと、まるで応援するように、観ている。終わった後は口々にどんなところが面白かったかを私が催促せずとも発言しあっていて、それで稽古が長くなったりした。
決して偽善的ではない、仲間としての意識が、そこにあるような気がした。

●そして6日目最終日、私は大いに驚いた。
エチュードや台本稽古のあと、最後はいよいよ発表会である。
テーマは「一冊の童話をモチーフに5分から10分のショートドラマを作る」というもの。
モチーフとなる小説は、KAKUTAが朗読公演でもやった工藤直子さんの名作童話『ねこはしる』。初日に渡して読んできてもらい、2日目から創作を開始した。
つまり、たった5日間で創作してもらったのだけど。

驚いた。
本当に驚いた。

「一週間ならこの程度かな」と私が予測していたことを軽く飛び越えて、どのチームもとても完成度の高いショートドラマを作っていた。
なめてました。本当に。
5日という時間を。俳優という存在を。

「ねこはしる」は、落ちこぼれの子猫ランと孤独な魚が出会い、互いに成長しながら友情を育んでいくという物語。だけどそこには食う食われるというその動物たち本来の本能や宿命、性(さが)があり、そうしたことを受け止め、乗り越え、自立していくという、ただの友情物語ではない奥深さがある。
そこにある強い心の絆に着目するもよし、出会いと別れの連鎖を抜き取るもよし、一言に「モチーフ」といっても、様々な捉え方が出来る話だ。
それを、各チームとも読み込んで作っていた。
あるチームでは、死刑囚の男と、その男の死刑を執行する青年の物語を描いた。
あるチームでは、引きこもりの青年が自分の中に作り出した「心の友人」と別れ、そこから自立していくドラマを作った。
またあるチームでは、戦乱の時代に背景を設定し、はかなく散る命と消えない絆を描いたし、あるチームは町中に溢れる様々な出会いと別れの連鎖を彷彿とさせるスタイリッシュなアンソロジーで見せた。
全部説明したいくらい、どのチームも驚くほど見ごたえがあった。
何組かの作品は、本当に涙をこらえてみてしまう瞬間があった。それは金八先生のように「君たちすっかり大人になったなあ」という成長を感じての涙ではなく、純粋に、見せられたドラマに感動してしまったのだ。
これは、凄いことだなと思うのだ。
正直なところこの発表を見るまでは、短期間では短期間なりのものしか出来ないのじゃないかという推測の下にいた。だけど、自分でも予想外なほど胸を打たれ、演劇の持つ可能性を、まさに「教わった」という気がした。
発表会は拍手喝采で盛り上がり、なかには泣いている子達もいた。
バカバカしいと思う人がいるかもしれないが、その場に来て観てほしい。
私だって、無駄に感動するのはこっぱずかしいということくらい心得ている。
だけど。すべてのWSが終了した時、そこには一本の公演を終えたような、満たされた空気があったのだ。
それを証拠にというべきなのか、昼夜チーム合同で行った打ち上げは体調不良のメンバー1人を除き全員が参加し、40名以上朝まで残って騒いでいた。別れが名残惜しく、帰ってからも余韻に浸った。
あの名前を覚えるのに必死だった初日がずいぶんと昔のように思える。あれはつい先週のことなのだ。

時間が人と人の関係を築くことはある。逆に、ほんの一瞬、刹那的に人が結ばれることもある。でもそのどちらでもない、なにか別なもの…密度や本質的な人の力が関係しているもの…今はまだうまく言えない、不思議なものを感じたような気がした。

……と。
こんなことを長々書いてると、「ネ?KAKUTAのワークショップって面白そうでしょ?」とでも言ってるかのようですが。
でもマ、そうなんです。
否定しないでおきますわね。いつか会うかもしれぬあなたに向けて。ハイ。

とはいえまだしばらくは、次のことを考えたくないのだけれど。

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