2007/03/07 水曜日
●WS5日目、仲間としての意識。
WS3日目にやった「天下」というゲームが思いのほか白熱するんで、以来毎日やることに。皆筋肉痛になったり擦り傷をこさえたりしているのに、毎回盛り上がる。
WS発表会で組むチームメンバーで仲間になって闘ったりもするのだが、日に日にチームメイツたちが仲良くなっているのが見てとれる。
それは、このところ皆、発表会に向け朝早く集まったりWS後に連日深夜まで話し合いを行ったりしているからなのだ。最終日を明日に控えたこの日は、「これからお泊りなんです」というチームもいて、過酷な企画を立ててごめんと思いつつ、なんだか嬉しい。私もWS後は毎日ヘトヘトなのだが、4時間ぶっ続けで動き回っている皆はなおさら疲労が溜まっているはず。だけど、消耗する体力と反比例するように皆の結束が強まっているように思える。
この日も台本を使った発表を行ったが、各チームの発表を観るみんなの様子が変わってきた。自分たちが上手くやることだけじゃなく、それぞれの良いところを見つけようと、まるで応援するように、観ている。終わった後は口々にどんなところが面白かったかを私が催促せずとも発言しあっていて、それで稽古が長くなったりした。
決して偽善的ではない、仲間としての意識が、そこにあるような気がした。
●そして6日目最終日、私は大いに驚いた。
エチュードや台本稽古のあと、最後はいよいよ発表会である。
テーマは「一冊の童話をモチーフに5分から10分のショートドラマを作る」というもの。
モチーフとなる小説は、KAKUTAが朗読公演でもやった工藤直子さんの名作童話『ねこはしる』。初日に渡して読んできてもらい、2日目から創作を開始した。
つまり、たった5日間で創作してもらったのだけど。
驚いた。
本当に驚いた。
「一週間ならこの程度かな」と私が予測していたことを軽く飛び越えて、どのチームもとても完成度の高いショートドラマを作っていた。
なめてました。本当に。
5日という時間を。俳優という存在を。
「ねこはしる」は、落ちこぼれの子猫ランと孤独な魚が出会い、互いに成長しながら友情を育んでいくという物語。だけどそこには食う食われるというその動物たち本来の本能や宿命、性(さが)があり、そうしたことを受け止め、乗り越え、自立していくという、ただの友情物語ではない奥深さがある。
そこにある強い心の絆に着目するもよし、出会いと別れの連鎖を抜き取るもよし、一言に「モチーフ」といっても、様々な捉え方が出来る話だ。
それを、各チームとも読み込んで作っていた。
あるチームでは、死刑囚の男と、その男の死刑を執行する青年の物語を描いた。
あるチームでは、引きこもりの青年が自分の中に作り出した「心の友人」と別れ、そこから自立していくドラマを作った。
またあるチームでは、戦乱の時代に背景を設定し、はかなく散る命と消えない絆を描いたし、あるチームは町中に溢れる様々な出会いと別れの連鎖を彷彿とさせるスタイリッシュなアンソロジーで見せた。
全部説明したいくらい、どのチームも驚くほど見ごたえがあった。
何組かの作品は、本当に涙をこらえてみてしまう瞬間があった。それは金八先生のように「君たちすっかり大人になったなあ」という成長を感じての涙ではなく、純粋に、見せられたドラマに感動してしまったのだ。
これは、凄いことだなと思うのだ。
正直なところこの発表を見るまでは、短期間では短期間なりのものしか出来ないのじゃないかという推測の下にいた。だけど、自分でも予想外なほど胸を打たれ、演劇の持つ可能性を、まさに「教わった」という気がした。
発表会は拍手喝采で盛り上がり、なかには泣いている子達もいた。
バカバカしいと思う人がいるかもしれないが、その場に来て観てほしい。
私だって、無駄に感動するのはこっぱずかしいということくらい心得ている。
だけど。すべてのWSが終了した時、そこには一本の公演を終えたような、満たされた空気があったのだ。
それを証拠にというべきなのか、昼夜チーム合同で行った打ち上げは体調不良のメンバー1人を除き全員が参加し、40名以上朝まで残って騒いでいた。別れが名残惜しく、帰ってからも余韻に浸った。
あの名前を覚えるのに必死だった初日がずいぶんと昔のように思える。あれはつい先週のことなのだ。
時間が人と人の関係を築くことはある。逆に、ほんの一瞬、刹那的に人が結ばれることもある。でもそのどちらでもない、なにか別なもの…密度や本質的な人の力が関係しているもの…今はまだうまく言えない、不思議なものを感じたような気がした。
……と。
こんなことを長々書いてると、「ネ?KAKUTAのワークショップって面白そうでしょ?」とでも言ってるかのようですが。
でもマ、そうなんです。
否定しないでおきますわね。いつか会うかもしれぬあなたに向けて。ハイ。
とはいえまだしばらくは、次のことを考えたくないのだけれど。