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2006年02月 アーカイブ

2006年02月02日

大敵と見て恐れず小敵と見て侮らず(たいてきとみて・おそれず・しょうてきとみて・あなどらず)その1

ヒギャア!!

叫ぶのも無理ございやせん。今年もKAKUTAについに来てしまいました、タミフルの恐怖(よくわからんが)・大敵インフル菌。
一番来ちゃいけない時期に、恐れていたものが、嗚呼。
思えば昨年は「南国プールの熱い砂」のチラシ撮影時にカメラマン・相川さんも含め全員が(但し高山と横山以外。何か納得の除外者たち)風邪とインフルエンザに冒され、平均体温38度ななか水着&半袖で撮影する羽目になった。
吹きすさぶ二月の北風の中、ガチガチと歯をならし鼻水を垂らし恐ろしげな咳を吐き出しながら楽しい常夏をイメージするのは至難の業だ。風邪薬でハイテンションになっていたので気づかなかったが、皆ちょっとやばい顔をしていたように思う。
私はと言うとその後更に人に自慢したくなるほどの高熱が出て、起きあがれないわ関節がメリメリ痛むわ解熱剤で湿疹が出て体中ポッツポツになるわで、嗚呼、風邪って泣けるものなんだと思うようなしまつだった。
そんなこっぴどい目にあったというのにそれでも予防接種を怠ったのはなんでなのか。今更考えても遅い話ではあるが、今どうしても考えてしまうことである。
とは言え、今回はみんながなったというわけではない。と言うか、どうかうつっていませんように…と祈るような気持ちで今これを書いている。と言うのはまさしく今日、KAKUTAで今年初のインフルエンザ発病者が現れたからであった。
只今、目下インフル中なのは若狭勝也クン。つい先日客演を終えて戻ってきたばかりで、帰って早々の出来事である。さあやるぞと言う時期にこんなことになるとは全くもって気の毒だなと思うのだが、それでも今日は早退させてあげなかった。
あげなかったというと何とも傲慢な響きだけれど、そんなに具合が悪いとは思わなかったのだ。
いや、本当はわからなかったというよりか、見るからに具合が悪そうだったのだが「どうせ大したことないだろ」と軽んじてしまったのである。ひどい奴だと思われるだろうが、言い訳させて欲しい。

大敵と見て恐れず小敵と見て侮らず(たいてきとみて・おそれず・しょうてきとみて・あなどらず)その2

若狭は普段から身体的苦痛を感じたときには真っ先に口に出さずにおれない奴とKAKUTA内では定評のある男だ。具合が悪い、お腹がすいた、眠い、寒い…本人無意識なのだろうが、言ってどうにかなるものでも、言ってどうにもならんことでもともかく言わずにおれない男。偉そうに言ってるが、実は私もそうだ(と言うことを最近友人に指摘されて知った)。なのでお互いに体調不良の際にはきっと、

若狭「あー寒い…」
バラ「寒くて何か具合も悪いよね」
若狭「お腹も減ってるし」
バラ「眠いよね」

と言った不毛な会話が繰り広げられるに違いないのだが、自分もそうだと思うと、それがいかに無意識に口を出てしまうのかと言うこともよく知っている。しかし同族に厳しい私なので、若狭のそう言う場面に遭遇するごとに「腹が減ってる?我慢しろい!」と歯をむいてきたのである。
更には自分の体調に不安を抱きやすいたちなのか、若狭はしょっちゅう「風邪っぽい」と言っているので、今回も「気のせいじゃ!ボケ!」くらいの乱暴な気持ちで見守っていた。

大敵と見て恐れず小敵と見て侮らず(たいてきとみて・おそれず・しょうてきとみて・あなどらず)その3

今日は衣装合わせで、皆で山盛りになった衣装をとっかえひっかえ着替えては似合う似合わない横山はさえない(いじめか?)とやいのやいの盛り上がっていた。
いつだって衣装合わせはちょっと心が躍るもので、ちょっとその服でしばらくいたいなくらいに思ったりするのだが、そんな盛り上がりをよそに若狭が一人、マスクにダウンコートを羽織って震えている。頭はボッサボサ、顔が熱に浮かされてボンヤリしているので、どんな服を着てもキマらない。おかげで何度も着替えさせられる羽目になり、その度に頭がでかいだの何だのとゲラゲラみんなに笑われていたのだけど、今思うとインフルエンザの人相手に気の毒な話だ。そして普段なら若狭もヘラヘラと返してくるのが、さすがに今日は何を言われても先ほどまで寝てた子供のように鈍い反応だった。
他の人の衣装を合わせていても、すみっちょで若狭が「さむい〜〜〜さむいいいい」と小声で言っているのがこちらの耳に届いてくる。やかましい!とほったらかして(非情)衣装選びを続け、またしばらくして若狭の方を見てみると、悪化したのか「アウアウアウアウアフ…」とか言っている。
さすがにちょっと尋常じゃない寒がり方なので、大丈夫?と聞けば、若狭は今日に限って「ハイ、大丈夫です!」などと健気にも返してくる。客演していて一人稽古が遅れていることを思っての行動なのだろう。口に出さずにおれない男でもあるが、人一倍真面目な男でもあるのだ。
それで衣装選びが終わり稽古を再開したのだが、もはやその時には明らかに顔つきもやばいことになっていて、朗読しているのに(※朗読公演だからさ)舌が回らずろれろれで、ダメ出しを確認すれば、

若狭「えーと、頭がゴチンで…はい」

などと訳のわからぬ返答が帰ってくる。申し訳ないがちょっとだけ面白かった。
そうして稽古から帰ってくれば、39°9発熱中との知らせ。なんたるちーやのさんたるちーや。(古いか)
インフルエンザと聞いてとたんに震撼した私たちだが、その前に若狭の「ウー寒い寒い」の発言を侮るべからず。
ごめんな若狭、そしてこれからはお互いに寒い腹減った眠い痛い具合悪い、チョコチョコ言い過ぎないようにしよう。
嗚呼、どうかうつっていませんように…。

2006年02月14日

「ち」 知行合一(ちこうごういつ)その1

はじめて行った人間ドッグの結果診断書に「胃ポリープ」とあり、ブルーになった。
予想外の結果にガーンとなる。
私は本来、緊張やストレスが溜まっても胃ではなく腸に来るタイプ。緊張でキリキリ胃が痛む…ということはめったになく、大抵は胃を通り抜けギュルルと下っ腹が鳴ってしまう方だ。
「このところ人間関係に悩まされることが多くて胃が痛くなったわ」…とか言う会話はよく聞くものの、自分が体感しない方なので舞台の戯曲でも書いたことがないように思う。自分の感覚で言えば、「人間関係に悩まされてお腹が下った」というのが自然だが、それも何だか恥ずかしいから、結果的に「悩んでも体には影響なし」となってしまうことが多いのだ。
ストレスで胃が痛いと言っている人は繊細な感じがする。私のように腹が下ると言っている人は胃をストレスがボンヤリ通り越しているようながさつなイメージ。
故に、そう言うことを言う人を身近に見ると、ほんの少し憧れる部分があった。
実際になってみたらきっと嫌なはずだけど、女には女独特の視点で“憧れる体の症状”というのがいくつかあるように思う。
その代表は、胃下垂だ。「私って胃下垂で…」という人は大抵、細い。胃下垂というのが実際体にとって良いのか悪いのかイマイチわからないのだけど、女にとっては「胃下垂=太りにくい」と言うイメージが直結しているので、一度言ってみたい台詞だったりする。
次に、便秘。腹下りに比べ、うかつに便の出ない繊細さが漂い、外出先ではおトイレに行けない…というお嬢なイメージがあるからだ。
かつて学生時代の頃は「生理痛が重い」というのも憧れのひとつであったように思う。これは、「女だから、ゴメンナサイ…」と言う、何がゴメンナサイなんだかわからないがその痛みを知らぬモノにとって抗えない力があるように思えたからだ。生理痛を訴えて体育を休めたりした日にゃ、立派な免罪符を持っていることを自覚する。ある年下の友人に「泡吹いてエビのようにのたうって倒れたことがあります…」と聞いたときはさすがにそこまでは嫌だと思ったものだが、だから女は自分が生理が重いことを語りたがるし、私全然痛くないと言っている子に対し、勝手にずぼらな印象を抱いたりするのだ。

「ち」 知行合一(ちこうごういつ)その2

男女共通だとなにがあるだろうか?例えば「頭痛持ち」と言うと、ちょっとインテリチックだったりナイーブだったりという印象を受けたりはしまいか。あるいは、思春期の折りにいかにもモテそうな奴が「腰が痛くてサー」などと言おうものなら、それは嫌味か?!と噛み付きたくなった男子諸君もいるのではないか。あ、これは主題とずれてるか?
ともあれ、やだけどちょっと憧れの症状のひとつであった胃の痛み。だからといって胃ポリープなんかにはまるでなりたくない。大体、胃が痛くなることなんて滅多にない私にとって、そんな診断結果は寝耳に水という感じだった。
しかしこの診断結果に、まったく心当たりがないわけでもなかった。そう言えば胃がむかついたような…ということではない。実は、人間ドッグの前日19時以降は何も食べちゃいけないという一般常識を知らずに夜中までチョコチョコおやつをつまんでいたのだ。
「あなたご飯食べちゃダメって知ってるわよね?」と母から電話がかかってきたのはその日の深夜。今更遅いよと言いながら、実はその後も少しだけつまんだ。
そうして迎えた人間ドッグ。ゲフゲフしながらバリウムを飲んで胃の検査をした直後に、検査員の人にしっかり「夕べなにか食べました?」と聞かれてしまった。
そんなわけで、胃ポリープのように見えて実はビスケットという可能性大でありながら、ビスケットだと思いますと検査を流すわけにもいかず、知行合一、真に知るためには実行も伴わなければならぬよと、胃カメラを飲む羽目になってしまった。本当に胃ポリープがあったらどうしようかという心配もあったが、あの噂に聞く小型カメラの、オエッとなる体験をせねばならぬことがブルーだった。

「ち」 知行合一(ちこうごういつ)その3

その日の朝、原扶貴子の応援メールに励まされつつも、同時に原が以前胃カメラを飲んでえづきまくったと言う恐怖体験談を思い出してナーバスになりながら病院に向かう。
最近では胃カメラを飲む前に痛みを和らげるため、まずは液状の麻酔薬を飲み、安定剤の注射をして、更には喉の奥にゼリー状の局部麻酔を流し込んで5分間待ち、仕上げにスプレー式の麻酔を口内にふりかけるという徹底した処置を行ってくれるのだが、そのゼリー状の麻酔薬というのがこれまたおもっくそ苦くてまずい。
「出来るだけ飲み込まないようにして5分間そのまま待ってください」と言われるのだけど、それだけで既に一苦労である。まんべんなく喉に浸した方が良いのだろうなと思って頭をちょっと揺らしゼリーを口の中で動かしてみれば、そのたびに苦みが喉の奥にほとばしり、起きあがってすぐさま吐き出したい衝動に駆られた。
しかも5分待った後ようやく吐けると思ったら「麻酔が喉の奥まで効くようになるんで、出来ればソレを飲んでください」と言うのだ。これがはあ大変だった。飲もうと思っても飲み込めない。舌先には触れていないから実際の味はわからないはずなのに、体が拒否するのだ。その感覚は何というか…こんな例えを出して良いのかどうか悩むところではあるが、男性の体から排出されるアレに近いのではないかと思う。(実際のところはわからないけど、などとカマトトぶって言っておきます)

「ち」 知行合一(ちこうごういつ)その4

さあ、そんな諸々あっていよいよ胃カメラタイムがやってきた。あのゼリー麻酔のおかげで既に疲労困憊ではあったが、やっぱりカメラが目の前に来ると身がすくむ。看護婦さんと先生が、続けざまに二度「胃カメラを飲む際の諸注意」を言ってくるのがなお怖く、「唾は飲み込まない」「絶対喋らない」「息は鼻から吸って口で吐くこと」と言った注意事項にアワアワと頷いてベッドに横たわる。
眠くなる薬を注射しますと言うので少し安心したのもつかの間「でもあんま眠くならないかも」胃カメラ検査を担当する先生に軽く言われ、いよいよとりすがるものがなくなってしまった。
口にプラスチックの挿入口をはめられ、じゃあいきますよとついに胃カメラが入ってきた。

ギャア!!!!!!

く、苦しい。全然苦しいじゃないか、母よ!!
うちの母はうつらうつら眠っている間に入ってた、などと言ってたけど、全然意識があるじゃないか。幼き頃CMを見て恐怖におののいたあの映画「帝都大戦」の、口からなんかの虫がニョゴニョゴしてる映像をしっかり想像してしまう程に、意識がハッキリじゃないか。(バカ、そんなこと考えちゃダメだ!)

ガフォ!!

えづいて私は恐ろしい声を漏らした。あのね、女の子だってえづいたらガフォって言うよ。ウ、ウン…なんて言わないよ。ガフォ!これだよ。私だからじゃなくて、どんな可愛い子だってガフォって言うね。ざまみろ。誰に言ってるんだか。
とは言え、お医者さんの名誉のためにも今後胃カメラを飲むかも知れない人のためにも言っておくなら、きっと昔に比べたらこれでもだいぶん楽な方なのだとは思う。看護婦さんに言われるとおり、余計なことを考えずに呼吸に集中するとそこまで騒ぐほどじゃない。時折ガフォとなってしまうが、テンパらないようにしようという自分の心がけ次第のようにも思う。看護婦さんがとても優しくて、「大丈夫、うまくできてますよ」と何度も言ってくれるので、どんなことでもおだてられれば嬉しくなる私は、その声に乗せられて何とか順調にすますことが出来た。

「ち」 知行合一(ちこうごういつ)その5

が、ようやく少し落ち着いた頃、先生がカメラで見ながら「アー。」と声を漏らしたので大変。今度は途端に胃ポリープが心配になる。
先生、「アー。」って何?「アー」の意味は?!
聞きたくてしょうがないけど、絶対喋るなと言われているので黙ってガフォとかやっているしかない。確か胃ポリープがあった場合には、その場でちょんと切ってしまうとか何とか…その場合胃の麻酔はどうするのか。ちょんと切ったら痛いだろう普通は。そんなことを思い巡らせ、焦燥に駆られる。と、しばしの間があって…、

「なんにもないね。胃ポリープもないし、荒れてもいませんよ。」

先生があっさり言った。まるでそれは、「ストレスとか胃に影響しないでしょ君は」とでも言われたようにさっくりと。
胃が痛いの…という“やだけど一度言ってみたい台詞”はまたしても遠のいたし、「アー、結局夜中にビスケットを食べたがために胃カメラまで飲む羽目になったんだ」と言うことを自覚したが、それでもとても嬉しかった。横たわったまま看護婦さんに手をさしのべると、ギュッと握りかえしてくれた。
それでちょっと、出産したときの気分(いや、全然違うだろうけど)を味わったりした。

体が健康なのは本当にありがたいことだ。ニュルニュルと胃カメラが体から引き出されていくのを感じながらしみじみ思った。
しかし、ここで学んだ一番大きなことは。
「検査の前日は食べちゃダメ!!」

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