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2009年05月 アーカイブ

2009年05月01日

よしもとばなながあわないのは、

よしもとばななの「はじめてのことがいっぱい」を駅のキオスクで買って読む。
ネットにアップしている日記を文庫にしたものみたいで、私は同じシリーズの物を前も買って読んだのだけど、やはりどうもよしもとばななは合わないなと思う。

じゃあ何で買うんだ、と言われてしまうだろうけれど、合わないと思ったのは気のせいかも知れない、と毎回、思うからで。私は普段から大して本を読む人間ではないだけに、合う作家、合わない作家というのがあまりよくわからない。
「キッチン」も「TUGUMI」も昔読んだし(古いね)、特に「TUGUMI」は感動して読んだから、合うはずだと思っていた。
でもそういえば、友達に勧められてもあまり熱中して読めたことがない。
そんで、今回決定的に、そうか、相性というものがあるんだなと思った次第。
でも、読んで嫌な気持ちになった、とかは全然まったくなく、「この感覚、あの時感じた私の気持ちと全く一緒だ!」とか思った箇所もあったし、なるほどなるほど、と学ぶような思いもあったし、私もばななさんもハワイが大好きだし。
ただ合わないと言うだけ。

よしもとばななが合わないなんて言いたくないという気持ちがどこかにあったのかもしれん。
桐野夏生が好きなタイプです、と言えば、なるほど、じゃあだいぶタイプが違うもんねと思われるかも知れないが、川上弘美は好きな私だ。
合わないと思いたくなかったのは多分、私の心の姉・美穂がよしもとばななを好きだからで、よしもとばななが大好きな美穂を私が大好きだからなんだけど、でも、私の好きな人が私と違うものを好きだって好きなんだという、当たり前のことに逆に気づいた次第。
私は桐野夏生が好きな女だけど、たとえ美穂が桐野夏生の小説が合わずとも、私を好きでいてくれるんだろうと思うわけで、なんだかそれって素敵だねとよくわからない結論が出た。
いやっ、すげえ当たり前のこと書いてるか。書いてるな。
でもさ。

美穂はよしもとばななが好き。
扶貴子は岡本太郎が好き。
佐藤滋は銀色夏生が好き。
馬場はヤンキー漫画が好き。
大枝はチューブ前田が好き。
横山はマラソンが好き。
私はどれも好きじゃないけど、その人たちが好き。
そうか、そういうものか。

なんか、いいわね。

2009年05月02日

「帰れない夜」フォトギャラリー

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おこんち。バラです。
んではでは、そろそろ「帰れない夜」のフォトギャラリー行ってみましょう!
(しつこいですけど、写真はクリックすると大きいのが見られます)
こちらもあらすじを加えてご紹介しますが、是非各作品の結末は小説をお読みくださいませ。

「オリジナル/帰れない夜」
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ある男の家へ女がやってくる。
女はこの家の近くに引っ越したばかりで、引っ越しの挨拶の際、男と知り合い、ひょんなことから本の貸し借りをする仲になったのだった。

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お互いのことをまだよく知らないまま、趣味の読書から会話が弾み、二人は急速に親しくなっていく。

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「怖い話が良いです」という女のリクエストに応え、男は様々な小説を紹介する。
例えば、「あなたを離さない」というある男女の物語だった。

***

井上夢人作 「あなたを離さない」
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別れを目前にした恋人同士。
別れ際、「僕」は恋人の美代子に両手を差し出され、思わずその手を握り返す。

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しかし美代子の左手はその瞬間から、美代子が密かに手の平に塗っていた瞬間接着剤によって、「僕」の右手にぴったり吸い付いてしまった。

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「僕」はなんとか手を剥がそうと、手を洗ったり友人に電話をして相談したりするが、良い方法は見つからず。

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「あなたの右手と私の左手をあわせれば何でも出来るわ」
美代子は「僕」の疲弊をよそに、まくし立てる。

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「これでお終いだ。顔を見るのも嫌だね」
離れない手と反対に、「僕」と美代子の仲はますます遠く、険悪になっていき…。

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やがて思いもかけない結末が男を待ち構える。

***

「帰れない夜」2
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何度目かの本の貸し借りですっかり仲良くなった二人は、互いの仕事やプライベートに興味を持ち始める。
「君が時々ここへ遊びに来てくれることが今の楽しみ」
そういう男に、女は惹かれていく。

***

小池真理子作 「生きがい」
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飛行機事故で夫と子供を亡くした「私」は、夫の残したアパートの管理人で細々と暮らしている。
事故の知らせをニュース速報で見たときから、当時の記憶はぷっつりと途絶えたまま。

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アパートに住んでいるのは現在、大学生の青年・真島ノボルの一人だけ。
「管理人が変わり者だから店子が居着かないのだ」と近所の人々からは噂されている。

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ある日、その真島ノボルが風邪を引いて寝込んでいることを知った「私」は、ノボルの部屋に押しかけ、かいがいしく世話をする。

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戸惑いを見せながらも世話を任せるノボルに、「私」は失いかけていた生きがいを見いだすのだが。

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やがて世話の甲斐あってノボルは完治。
しかし、今までの満たされた数日間の終わりが見えたとき、生きがいを失いかけた「私」は思わず取り乱し、激高する。

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我に返った「私」は自分の振る舞いを恥じ、ノボルに謝罪した。
そして、ここにいる間だけでも自分をお母さんだと思ってくれないかという、ささやかな願いをノボルに伝える。

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しかし、ノボルはその申し出を断り、言いにくそうに…。

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ある真実を「私」に告げた。

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「生きがい」をなくした者が同時に見失っていたその真実とは…。

***

「帰れない夜」3
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あの部屋の男と出会い、女はこれまでの付き合ってきた不倫相手の男との別れを決意する。
「私、恋人の部屋へ堂々と行きたいの」

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「あなたの元へは帰らない」と告げ、女はかつての恋人を送り出した。
そして今日も男に借りた本を読む。

***

「縁切り神社」
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恋人と別れて京都へ一人旅にやってきた「私」は、ふらりと立ち寄った神社に、縁切り祈願ばかりを書き綴った絵馬がズラリと並んでいる場所を見つけた。

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怨念の渦巻く絵馬の棚に薄気味悪さを憶えながらも、一つ一つ見て回る「私」はしかし、ある絵馬の前で足を止める。
「水野季実子と深田拓也の悪縁が切れますように」
そこに書いてあったのは、まさしく自分と、別れたばかりの恋人の名前だった。
誰がこんなことを…。

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「私」は、拓也との思い出を振り返る。
拓也とは燃え上がるような恋愛ではなかったこと。
しかし別れた後、自分がどことなく気持ちが沈んでいること。

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付き合っていた頃から拓也に対し、別の女の影を感じていたこと。
そして拓也と寝た夜、その女に「勝った」という密かな優越感を感じていたことも。

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「水野季実子と深田拓也の悪縁が切れますように」

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「私」は神社から拓也に電話をかけた。
なぜ他の女がいるのに私と付き合ったの?その人に京都で偶然会ったわ。
しかし拓也は思いがけない顛末を「私」に告げたのだった。

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「会うわけがない。あいつは死んだんだ」

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自分の名が書かれた縁切りの絵馬をきっかけに、再び会話を交わしたかつての恋人。
拓也から当時の想いを聞いた「私」は、初めて自分の中に隠れていた傲慢な心を知るのだった。

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フォトギャラリー、続きます。

2009年05月03日

「帰れない夜」フォトギャラリー2

続いていってみましょ、「帰れない夜」フォトギャラリー!

朱川湊人作 「昨日公園・前編」
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小学生の息子、翔一と地元の公園へバトミントンをしにやってきた遠藤は、子供の頃、かつてこの公園で体験した出来事を思い出していた。

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小学時代の親友・マチ。
あの日も赤々とした夕日の中、マチと遠藤は遅くまでキャッチボールをして遊んでいた。

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ひとしきり遊んだ二人は、いつものように明日も遊ぶ約束をして別れた。
しかし。

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その夜、家にかかってきた電話で、マチが交通事故で死んだという話を聞かされる。
心配する両親の前で、遠藤はその事実を信じることが出来ない。

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しかし、父と共にマチの事故現場まで足を向けた遠藤は、やはりマチがこの世を去ったことを実感する。
その日、遠藤はマチのことを思い、眠れない夜を過ごした。


翌日の夕方。昨日マチと別れた公園へ再び足を向けた遠藤は、公園から自分のボールが飛び出してきたのを拾う。このボールは自分の家に置いてあるはずなのに、どうしてここに?
不思議に思いながら公園へ足を運び入れると。

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辺りの景色は、雨模様から赤々としたゆうやけに変わる。

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そして、死んだはずの親友が再び遠藤の前に現れる。
遠藤は昨日の公園に戻っていたのだった。

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遠藤はこの後事故に遭うはずのマチを助けようと考える。
二人で見る二度目のゆうやけは、昨日よりも遠藤の心に染みいった。

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これでマチを助けることが出来た。
そう思った遠藤だったが、しかしその日の夜もまた、マチが別の場所で事故にあって死亡した知らせを聞くことになる。
「もう一度時間を戻してください」
遠藤は祈りながら夜を過ごすのだった。

***

「帰れない夜4」
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男は、かつてこの部屋で一緒に過ごした昔の恋人のことを思い出していた。
恋人に心を奪われた男は、この家にずっといたい、と願ったことがあった。
その願いは今聞き入れられ、しかし恋人はもういない。

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新しい恋人となった女が部屋を訪ねてくる。
「もうこの家に来ない方がいいよ」
男はつい、そんなことを口走る。
戸惑う女は、男の抱える寂しさがそういわせたのだと理解し、男を励ます。
「大丈夫、私がいるから」

***

「昨日公園/後編」
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それから遠藤は、マチを助けようと何度も昨日へと戻り、同じ夕方を繰り返す。

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マチの帰り道を尾行をして助けにいったり、マチに全てを告白し、気をつけるよう呼びかけたりと、様々に手を尽くす。

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しかしどんなことをして助けようとしてもマチに死は訪れる。
更に、遠藤が助けようとすればするほど、その後マチに訪れる死は悲惨なものになっていく。

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やがて遠藤は悟る。この運命を変えることは出来ないと。
遠藤は、努めていつも通りの夕方を過ごす。
二人はいつものように笑い合って別れた。
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「ずっと友達でいてくれよな」
大事な言葉だけをマチに告げて。

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遠藤はあの公園のボールを拾うことはなく、二度とマチと出会うことはなかった。

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大人になった遠藤は、当時のことを思い出していた。
二度とあんな想いはしたくない。
その時、バトミントンの羽根を買いに行っていた息子の翔一が帰ってくる。

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帰ってきた翔一は、どこか疲れた顔をしていた。
そして遠藤は、自分があの時のマチと同じ状況にあることを、息子の様子から知るのだった。

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***

「帰れない夜5」

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男にも男の住む家にもすっかり慣れた女は、男の部屋へ来たある日、正直な想いを伝える。
「帰りたくない」

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男はその言葉を待ち侘びていたと喜び、女の手を取った。そして女に告げる。
「じゃあ、さよなら」
女は言葉の意味が掴めない。
「今日からここは君の家だよ」

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男は女に自分の昔の頃の話を聞かせた。
自分もかつては同じように、ある女性に魅せられてこの部屋にいることを切望したこと。
やがてこの部屋は自分のものになり、恋人だと思っていた女は去っていったこと。
女は恋人だったのではなく、「次の人」が来るのを待っていたのだと知ったこと。

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この部屋に魅せられて帰りたくないと思ったら、もうここから出ることは出来ない。

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次に誰かがここにいたいと思うまでずっと…閉じ込められたまま。

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男は歓喜の声を上げて部屋を飛び出していく。
女は部屋を出ることが出来ず、一人で帰れない夜に閉じ込められた。

「帰れない夜」
2009年4月3日~12日@下北沢ザ・スズナリ

2009年05月05日

バンダラコンチャ!

RRRRR。
成清さんから電話が来ました。

「風邪引いて熱出しちゃってさ。怖くて怖くて仕方ないのに、おならが止まらないんだよ。哀しいのにおならが出るから笑っちゃうんだよ。臭いから長く布団にもいられない。豚インフルエンザかな」

違います!

そんな成清さんも本日ようやく体調復活したらしいと言うことで(おならもおさまったそうで)、めでたしめでたしでGWもまもなく終わるという頃、まもなくバンダラコンチャも小屋入りです。
なんだかんだ言って全然バンダラコンチャについて書いてなかったですけど。


ほらね。
出演者の皆さん&あたし、たむちゃん、作家の倉持さんです。
何でかみんな修学旅行生のようなピースサインで。
稽古はぐいぐい進んでおりました。

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バンダラコンチャ「相思双愛」は、近藤芳正さんを中心に、俳優としても、宇宙的にもなんだかすごい方、榎木孝明さんと、辺見えみりちゃん、坂井真紀さんという二人の女優陣がめいめい魅力をバクハツさせる4人芝居。
少人数のお芝居ってなんだか寂しいんじゃないの?なんつうイメージを吹き飛ばす充実感でございますよ。

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こちらは稽古場にて。マア~広くて良い稽古場なんですわ。
えみりちゃん、同じ年です。マア~かあいいですわ。あと楽しくて優しい。
いやでも、マア~かあいいとか呑気に言うのは失礼なくらい、素敵な女優さん。
まきさんとえみりちゃんはそれぞれに別のお話に出演しているのですが、二人とも全然違う魅力で責めており、私の心をグワシと掴んでいらっしゃる。
外見だけでなく、内側からきらきらしています。
今回の舞台は原作の小説があるのですが、二人とも本当にぴっっっっったり!
先の日記で書いたように小説へ知人を勝手にキャスティングするのが好きな私は、そのぴったりぶりに舌を巻きました。

出演者は、男女ふたりずつ。
作家さんもふたり。演出家もふたり。原作者もふたり。音楽家もふたり。

「双!!」

とにかくすみからすみまでふたりまみれの企画です。
私もそんな「ふたり」に混ぜていただいて、嬉しいやら、恐ろしいやら。

だってやはり、キャスト・スタッフ陣ともに大先輩の方々ばかり。
私はなんと最年少。(細かく言えばタムちゃんが一番下か)
「K」の時、姐さん呼ばわりされた私よ。
あの時の、ちょっとベテランぶっていた私よ。
愚か者よ。
いろんな場面で、無知な己やら、未熟な己に直面しつつ、学ばせてもらっております。

色々書こうと思ったけど、長くなるのでまた。
もうすぐ本番ですからね。旅公演もあるのでね。
いずれそんな話をジックリしていきたいと思います。

ともかく明日はラスト稽古ですんで、しまっていきましょう。

2009年05月11日

バラちゃんひとりでだいじょうぶ?

紀伊国屋よりこんにちは。なんつて今は家ですけどね。
バンダラコンチャ「相思双愛」、はじまりました。

公演初日、携帯でネットを開いたらいきなり、「辺見えみり、新恋人は近藤芳正!?」のニュース。
どういうことでしょうか。
も、もしかしてこの写真もスクープに!?

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なるわけねえか。
カメラ目線だし。私が撮ってるし。こないだの飲み会の帰りだし。
いやはや。大変だよなあ。
出演者陣は、ゲネプロ終わった後すぐに、囲み取材を受けてたんですが、なんだかお喋りの流れでそんな話が持ち上がったそう。ちょっとしたことでもこんなニュースになるのね。
びっくらしましたよと話したら、二人ともゲラゲラ笑っておりました。
慣れっこなのね。カッコイイ。

ともあれ、舞台上では近藤さんえみりちゃんのみならず、真紀さん榎木さん共に、相思双愛で向かっております。
アタシも頑張っていこうと思う次第。

私は外部で演出だけ担当する、というのは実はね、初めてなんです。
大抵自分が書いてるか出てるかしているから。
今回、ペンギンプルペイルパイルズの倉持さんとイキウメの前川さんというお二人の尊敬する作家さんたちと一緒にやらせていただくとあって、最初はもう、なんだか逃げたい気分。
台本を読んで、うわあ面白いッと思っただけに、その面白さを演出のアタシが壊したり絶対したくない…ガタガタガタ。
しかし、面白い脚本というのは、稽古すればするほどわかるもので、最初読んでいて気づかなかった繊細な部分がいろいろと、稽古するごとに見えてくるんです。
だから、びびってばかりではなく、その世界を探す作業は、とても面白いものでした。
まだ終わってないですけど。まだまだ探し中ですけどね。
それほどに、良い本なんですよ。

前川さんはちょうど丸かぶりでイキウメの稽古中なのでまだ見てもらえてないんですが、倉持さんには通し稽古、ゲネプロ、初日と観てもらい。
ひいい。
私、お客さんが観てるより緊張しましたぜ。
緊張しすぎて、隣で見てる倉持さんの顔がなかなか見れなかったんだぜ。
通し稽古では緊張のあまり、「どうして倉持さん隣ナノ!(涙)」とこっそりタムちゃんに文句を言ったりして。
となりにいるだけで、もの凄い心拍数が上がって、片想いしてる女子みたい。
倉持さんに本当は、この本のココが好きで、ココが好きで…と色々語らいたい気持ちがあるのだけど、もう、こうなるとダメですね。な、何か気になるところありませんでしたかと聞くのが精一杯。
いや、千秋楽はもうちょっと色々喋りかけよう。勇気を出して。乙女か。
明日はついに、前川さんがいらっしゃるのですよ。
あああたし、どうしよう。
どうか絶対、隣じゃありませんように。

何だろね?演出のくせにこんな小娘みたいで良いのか。
初日終わった後ロビーで乾杯したとき、今日で演出助手の田村さんが最後ですーと言うことになり、みんなで別れを惜しんだのだけど、「バラちゃん大丈夫?明日から一人で大丈夫?」とみんなが笑いながら聞くのですよ。
情けない…と思いつつ、タムさん行かないでえ!と一番惜しんでいるのも私。

今日劇場に行ったら、「今日から独り立ちだねえ」とお母さんのようなスタッフさんが微笑んでくれました。
ホント、頼りない演出家ですけど。
美術さんも舞台監督さんも演出部さんも照明さんも音響さんも衣装さんも演助さんも制作さんも本当に頼もしく素敵な方ばかりなので、演出家然と格好良く立つのはまだまだですが、若手としてそんな方々に助けられ学ばせてもらっている有り難みを、素直に感じている今日この頃です。

2009年05月15日

いまむかしいきものがたり

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かつて、暇をこれでもかと持てあましていた頃。
私と原扶貴子は、ある喫茶店に行って遊んでいた。
「何もやることないから芸能人見に行こうぜ」

上記写真の喫茶店。
この喫茶店はテレビスタジオ内にあるので、芸能人もよく利用するけれど、普通に一般客も出入りできる。
どんだけ暇だったのかわからんが、わざわざ芸能人見たさに扶貴子と二人、連れ立ってでかけたものだ。

中村雅俊さんがイタヨ…。

まったく、だからなんだという話だけど、二人でお茶をするふりをして密かに目を光らせていると、なにやら梨本さんめいた気持ちになり、面白かったものである。
さて、そんな私は今、これまでの人生で最も芸能人と呼ばれる方々を目撃している日々だ。
舞台の後ろから本番を見ようと客席に向かう際、あちこちにご来場している俳優さんやタレントさんを見かけるが、しかしやはり、あの時の「今昔庵」の時のように浮かれたりはしないわけで。
自分なりに大人になった証拠であるが、それはそれで少し寂しさも感じたりもする。

今私が、もしも客席で見かけたらドキッとするであろう人を列挙してみた。

1/みうらじゅん(ファンだから)
2/元彼(お互い顔を憶えてないかもしれない)
3/マイケル・ジャクソン(さぞかしどっきりする)
4/2ヶ月前電車で乱闘したギャル(一触即発)
5/幽霊

会いたいのは1番だけだ。
どうでもいい話題でしたね。

さて今日は、終演後打ち合わせを終えて、飲みに参加。
真紀さんや近藤さんと共にそうそうたる作家演出家の方々がそろいぶみで、こちらは相当ドキドキした。
グリングの豪さんとも久々に飲んだのだけど、相変わらず毒舌炸裂で面白かった。
期せずして赤子系男子=豪さん、近藤さんが揃ったわけだ。
だからどうということもないが、ベイビートーク2って感じで喋ってることは大人の話題なのに、なんだか可愛らしいお二人だった。

そんなこんなで東京公演も折り返しを過ぎた。
本当に今回は、「生もの」という言葉を実感する舞台だと思う。
私は、舞台はライブだから毎回違うものだということは当然理解しつつも、だから日によって全然違ってもOK、という考え方は好きじゃない方で、同じコトをしているのに毎回新鮮で、初めてそこで生まれたかのような呼吸感が宿るものを目指したいと常々思ってる。
だけどそれを念頭に置きすぎることで、ただ稽古の通りになぞっているのに「新鮮に感じているふりをする」という、それすらも技として組み込んでしまいがちな瞬間は、KAKUTAでも時々あることだ。

今回は、毎ステージ同じように、という風にはなかなかいかない。
4人だけの芝居だから、役者さんたちそれぞれの体調や心境によって発生した「ささやかな違い」は、ダイレクトに相手に伝わり、逃げ場所がなく、相手にも変化を起こしていく。ささやかではなくなってくる。
だからもちろん、狙いを外す瞬間もある。
でも、そんな瞬間に思いがけない発見をして、感動することもある。
怖いけれども、面白いなあ。
舞台はナマものですから、という言い方をよくするけれど、「ナマもの」のナマは、「いきもの」の生なんだ、ということを改めて感じている。
役者さんが生き物だということではなく、舞台そのものが生きているのだと、感じる。

2009年05月24日

音楽も相思双愛。

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「相思双愛」、山形の旅公演から帰ってきました。
……もう何日も前に。

あのね。
山形良かったですよ!!
旅日記を書こうと写真取ったのに、携帯を落として更新できずにおりましたよ。
携帯見つかったから明日書こう。
頼まれなくても。
ああ書くとも。

ひとまず、東京公演終わりました。(とっくに)
ご来場いただいた皆さん、ありがとうございました。
素敵な脚本、素敵な俳優陣。音楽も素晴らしかったでしょ。

音楽を作ってくれたアルケミストのいじりん(井尻慶太さん)とは、これで三回、一緒に舞台を作ったことになるのだけど、もう本当にこの人はね、素晴らしいよ。
何度一緒にやっても、新しい発見と喜びをくれるような人なんです。
それは出来上がった音楽が良い!ということだけじゃなく、創作に向かう姿勢が素晴らしいからで。
今回、エンディングテーマの曲だけでなく、劇中音楽も全て作曲していただいたのですが、コレ!というものが出来るまで、何度も何度も修正をして、どんなに忙しくても連絡を取り合い、一緒に考えてくれました。
それは当たり前のことだと彼なら言うだろうけれど、その精魂込めた作品作りというのは、決して簡単にできることじゃないと思うから、何度一緒にやっても尊敬してしまうし、出来上がった者が素晴らしいんだなと思うのです。
お友達としても大好きだけど、やっぱりプロフェッショナルとしてもカッコイイ。
音楽と舞台。メインのフィールドは違うけれど、しょうたろうも一緒に、またアルケミストとお仕事、いや、創作がしたいです。

そして、今回初めて一緒にやらせていただいたのが、シンガーソングライターの花れんさん。
今回、東京の千秋楽では特別に、カーテンコールで花れんさんが歌ってくれました。
当日生演奏でピアノを弾いてくださったのは旦那様でもあり、ご自身もピアニストして活躍してらっしゃる扇谷研人さん。
マアーそのお二人の素敵なこと!
私、演出の立場を忘れて、しみじみ聴き入ってしまいましたよ。ええ。
花れんさんは、何というか、まさにこの舞台のキーとなる季節、「春」のような方。
ぽんぽん弾むたんぽぽのような、やわらかくて明るい黄色の空気をパーッと体の周りにまとってるような女性で、その声は澄んだ岩清水のよう(なんだか表現が下手ですけどね)。
是非みなさんにも、花れんさんの声を一度聴いていただきたいよ!
またご一緒できれば嬉しいなあ。

というわけで、写真は劇場入りして最終テイクの音楽を受け渡し合ったときの様子。
なぜだかみんなアイスを食べながら。放課後の学生気分でパシャリ。

2009年05月26日

ガッタ山形。

今年の私は「旅に出よ」と宇宙の指令が出ているらしく、一年を通してあちこちへ旅することになりそうです。

神戸。山形。鹿児島。山口。北九州。ハワイ。
……ハワイ!!
ギャース!!!
ついに行くぜハワイ。おお我らのハワイ。愛しきカメハメハ。
もう家でCSの「アロハ天国」を唇噛んで観ていることないんだぜ。
もう歯医者に行って笑気麻酔をかけヘッドホンでハワイアンソングをかけまくりハワイに脳内トリップするだけじゃないんだぜ。
ほ…本場ですたい!!
ハワイことを考えるだけで頭が一時ストップしちゃうので、旅に話を戻して。
マア、普段から出張など旅慣れている方からすれば、なんだこんなもんかって程度ですが、私のような地元に引きこもりがちな地方都市の田舎ッペからすれば、今年はかなりアクティブな方。
というわけで山形。
山形さ行ってきたべ!!!(こんな方言ではないと思うが)

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宿泊先は米沢!
ってことは、米沢牛だっぺよ!!
むあー、もう、堪能したあーっ!!

2月に「K」で神戸へ行ったときは、神戸牛!カウベビーフ!と始終叫んでた割に、旅の初日で全く関係ない地方の郷土料理居酒屋に入り(でも美味かった)、最終日こそと勇んで出かけた割に、店先のカウベビーフのお高い値段表に負けてなぜか韓国料理屋でプルコギ食って帰ってきたカウベ(でも美味かった)。
神戸牛はそうして断念したため、米沢こそはと不屈の精神で向かったわけですよ。

そんでまずは、演出助手タムちゃんと米沢駅前の、なんだかすごく駅前ーな感じの喫茶店で米沢牛のスタミナ定食をいただいてみた。
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スッピンで 鼻息荒く スタミナ摂取 (一句出来ました)
おいしゅいー。
お肉が脂がのってておいしゅいの。
ようやく目当ての肉を食べることが出来た安堵と同時に、お店のおっちゃんがタムちゃんをいたく気に入ったようでマアーちょいちょい話しかけて来て面白かった。

活力つけて劇場入りしたところ、今度はスタッフさんからいただいた差し入れが…、
マア!!
コレなんですの!?
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これぞ、米沢牛おにぎり「牛賜(ぎゅうたま)」なるもの。
餅米を甘辛く煮た米沢牛で包んだおにぎりなんだけど。
チョチョチョ、超美味い…!!!
あまりの旨さに感動し、おっかさんへもってってやるべとばかりに速攻お土産で購入してしまいました。
これは、米沢へ行ったら食べてみて欲しい一品でございますよ。

んでもって、公演終了後の夜。
近藤さんが米沢牛すき焼きをご馳走してくれた!!!
ムハー!!
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写真撮ってみたけど、女将さんの手ガッ!!
とろける肉のあまりのおいしさに、テンション上がりすぎて「おいしーい…」と逆にロートーンでしか声が出ぬほど。
こんだけ牛食べてまだ食うかって話なんですが、帰りの新幹線でも米沢牛の駅弁を頬張り。
肉。肉ってなんて素晴らしいんだろう。

肉よ あなた
今でも 今でも
米沢 もうすこしで 住み込むところです

吉幾三ばりに歌いたくなりましたよ。

でもね。
食べる話ばかりでしたけど、山形本当に、良いところでした。
私はおばあちゃんちが福島なんで、まず東北の空気にどこかホッとするんですよね。
良い天気だったので休憩中は煙草吸いがてら、外でひなたぼっこしていたんですけど、「相思双愛」を上演した川西町フレンドリープラザのとなりには、古墳があるんです。
古墳といえど、あの独特の鍵穴のような形ではなく、一見するとそれとわからない丘のような場所なんですが、散歩がてらぶらりと古墳に向かってみたならば、青青とした木々の緑と、柔らかい木漏れ日が本当に美しく、気持ちよくて、なにやら胸がじーんとしてしまい、泣きたい気持ちになりました。
微かに花の香りが漂ってきて、踏みしめる草のきゅっきゅという感触が心地よく。
こんな風に空気の匂いを嗅ぐのは久しぶりだなあ、としばらく佇んでおりました。

あともう一個。休憩中、劇場を出てスタッフ陣がどやどやとどこかへ出かけていくので着いていったらば。
スノードームというのがあったんです。
これは、倉庫のような場所に冬の間降り積もった雪を閉じ込め、そこから出る冷気を劇場へ送り、自然のクーラーにしているというもの。
ドームの扉を開けたらどーん!!
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ドームの中一杯に、うずたかく積まれた雪!!
扉を開けた瞬間、冷気がブアーッと外にいる私たちの場所になだれ込んできて、スタッフ一同、おおーーっ!!と歓声を上げました。
これって素晴らしい設備ですよね。まさに北国ならではのアイディア。
山形はこうして、自然と上手にお付き合いしているんですねえ。

山形では米沢で旅館を営む友達にも会えたのだけど、新幹線に乗るとき、わざわざ駅まで見送りに来てくれた。
わざわざ見送りに?!!!
それってなんか、すごい、すごい!!!あたたかさ。
私はと言えば数十分前までホテルで爆睡してて、ボケボケしていたけれど、お土産まで持ってきてくれたともだち。
見送ってくれるきらきらした友の笑顔で、山形の旅が更に素敵な思い出になりました。

2009年05月27日

歯科協奏曲

ひっさびさにこのところ、歯医者に通っている。
これまでも吐露部屋には何度か書いたが、私の通う歯医者は笑気麻酔をしてくれるところで、今や笑気なしに歯医者に行くことなど出来ない私だ。

診療椅子に座ったら、いざ鼻にマスクを装着し、イヤホンでCDウォークマン(古い)から大音量のハワイアンソングを流す。
これが私の歯医者治療の基本である。
笑気にまみれて聞くハワイアンは最高だ。
曲の中に波の音がBGMで入っているものはなお良い。
心はハワイのビーチへ飛び、診療台の白熱灯は輝く南国の日差しに取って代わる。
私の頭の中では歯医者さんは皆水着だ。私の担当をしてくれてるA先生は美人でスリムなので、小さいビキニが似合うだろう。
そんなことを想像していると、歯を削られているのにクスクス笑いが漏れてしまうから不思議だ。

しかし、最初こそ半信半疑で寝そべって気がつけばラリラリになっていた私だが、笑気のうま味を知り、その効力に慣れてくると、恐ろしいかな「あ、今弱い」「あ、酸素に変えやがったな」などと麻酔の出具合まで細やかにわかってくるようになる。
ラリリ度が弱いと途端にキーンという音が意識的に耳に届くようになってきて、急速に恐怖感が湧いてくるので困る。
ギッチリとラリラせていただいて初めて、私は歯医者の治療を受けられるのだ。

昨日は、ラリリ度が微弱なときいきなり歯の神経に抗生剤を塗られ痛みのあまり身もだえするというエマージェンシーな瞬間があったので、今日は鼻マスクを装着する際、歯科助手の方に「ガッチリかけてください」と念を押した。
にもかかわらず、今日もハレ…治療の途中で笑気の効き目が弱くなってきた。

ちょっとお、笑気をケチってるんじゃないでしょうね!
アタシはね、笑気を吸いに来てるんだ!
あたしの歯を治したきゃ、四の五の言わず笑気を出しな!

…などと大人しく口を開けているようで内心ではそんな暴力的な気分になっていると(でもBGMはハワイアン)、どうも笑気ガスが切れたらしい。
半分正気、半分笑気な私は、よもや「笑気を今日はなしでもいいですか」などと言われてはならないと、ぼやっとした顔のままで、しかし目だけは鋭さを保ちボンベの交換を見張った(しかしBGMはハワイアン)。

陽気なウクレレ音楽の中で観る歯医者の人間模様はなかなかに面白い。
気がつけば、この歯科は女性しかいない。
受付も、歯科医も、歯科助手も、全部女性だ。
まずは私の担当歯科医、美人だがどこか「トレンディ!」と言いたくなる90年代風のA先生。
先生の治療を受けているとき、いつもなぜ浅野ゆう子を思い出すのだろう、と思っていたら、昔浅野ゆう子が歯科医のドラマがあったからだった(好きだった)。
A先生の下についているオカッパ頭の歯科助手は、新人なのか性格なのか、どうも要領が悪いタイプらしく、ひたすら落ち着かない様子でボンベの周りをバタバタしているのだが、手順を間違えたのか取り外し方がわからないのか、いつまで経ってもボンベの交換が出来ない。イライラを隠すようにオカッパに指示していたトレンディA先生も、さすがに時間が掛かるので手伝い始める。
が、先生も普段はボンベの取り外しなどは範疇外なのか取ることが出来ない。
だんだんと慌てる二人。他の先生も様子を見に来る。
何せ私の治療はまだ始まったばかりで、顔の半分に麻酔をかけられたままほったらかしでハワイアンを聴いているのだから。
3、4人がかりで、入れ替わり立ち替わりボンベにトライしに来る先生方。全員女性。
そこへやって来るのが受付の女性。いかにも腕っ節が強そうな悪ガキ小僧の母ちゃんみたいな人で、A先生やオカッパ助手を一歩引かせてグイとボンベをひねったら、あっという間に外してしまった。
感心する一同。「ホラね」という風に得意げに頷き受付に戻っていく悪ガキの母。
ホッとして笑うトレンディ先生たち。
音楽の中で観る一連のそれはコメディアスなサイレントムービーのようだった。

しかし。
麻酔と笑気でラリッた私が一連をニヤニヤしながら見ていると、戻ってきたA先生はあろうことか「もう麻酔きいてるから笑気いらないヨネ☆」と言って、もう笑気をかけてくれなかった。
先生!!
そんなのひどい!!
あたし待ってたのに!!
私がにたにたしてたから?
先生たちに心であだ名をつけたから?
「大丈夫、これから先は三歳児でも泣かないようなことだから」
3歳児が耐えられるからといって、恐怖を知ってしまった32歳児が耐えられるとは限らないじゃないッ!!
しかし先生はなぜか「もしコレでも痛いならもうその歯はダメだから抜いた方がいい」と凄み、私を縮こまらせて治療を行った。
幸い「抜いた方が良い」と思われるような痛みに襲われることなく、治療は無事に終了したけれど、恐ろしいことを言われたので私はしばらくビクビクしていた。
きっと先生はボンベの取り外しに苦戦している様子をハワイアンを聴きながらにたにた見ていた私にちょっとムカっ腹が立ったのではないか。それで、ヘラヘラしてる私にちょっとイジワルを言ってやりたくなったんじゃないか。
すっかり怯えて耳がたれた私に、歯科助手・通称「お母さん」だけは、いつもと変わらず優しかった。
お母さん…。ありがとう…。勝手にそんな呼び名をつけてゴメンナサイ…。

トレンディ先生。オカッパ助手。受付の悪ガキ母。お母さん。にたにた患者(私)。
いつか歯医者のシチュエーションコメディをやってみたいな、などとボンヤリ思う。

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