おこんち。バラです。
んではでは、そろそろ「帰れない夜」のフォトギャラリー行ってみましょう!
(しつこいですけど、写真はクリックすると大きいのが見られます)
こちらもあらすじを加えてご紹介しますが、是非各作品の結末は小説をお読みくださいませ。
「オリジナル/帰れない夜」
ある男の家へ女がやってくる。
女はこの家の近くに引っ越したばかりで、引っ越しの挨拶の際、男と知り合い、ひょんなことから本の貸し借りをする仲になったのだった。
お互いのことをまだよく知らないまま、趣味の読書から会話が弾み、二人は急速に親しくなっていく。
「怖い話が良いです」という女のリクエストに応え、男は様々な小説を紹介する。
例えば、「あなたを離さない」というある男女の物語だった。
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井上夢人作 「あなたを離さない」
別れを目前にした恋人同士。
別れ際、「僕」は恋人の美代子に両手を差し出され、思わずその手を握り返す。
しかし美代子の左手はその瞬間から、美代子が密かに手の平に塗っていた瞬間接着剤によって、「僕」の右手にぴったり吸い付いてしまった。
「僕」はなんとか手を剥がそうと、手を洗ったり友人に電話をして相談したりするが、良い方法は見つからず。
「あなたの右手と私の左手をあわせれば何でも出来るわ」
美代子は「僕」の疲弊をよそに、まくし立てる。
「これでお終いだ。顔を見るのも嫌だね」
離れない手と反対に、「僕」と美代子の仲はますます遠く、険悪になっていき…。
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「帰れない夜」2
何度目かの本の貸し借りですっかり仲良くなった二人は、互いの仕事やプライベートに興味を持ち始める。
「君が時々ここへ遊びに来てくれることが今の楽しみ」
そういう男に、女は惹かれていく。
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小池真理子作 「生きがい」
飛行機事故で夫と子供を亡くした「私」は、夫の残したアパートの管理人で細々と暮らしている。
事故の知らせをニュース速報で見たときから、当時の記憶はぷっつりと途絶えたまま。
アパートに住んでいるのは現在、大学生の青年・真島ノボルの一人だけ。
「管理人が変わり者だから店子が居着かないのだ」と近所の人々からは噂されている。
ある日、その真島ノボルが風邪を引いて寝込んでいることを知った「私」は、ノボルの部屋に押しかけ、かいがいしく世話をする。
戸惑いを見せながらも世話を任せるノボルに、「私」は失いかけていた生きがいを見いだすのだが。
やがて世話の甲斐あってノボルは完治。
しかし、今までの満たされた数日間の終わりが見えたとき、生きがいを失いかけた「私」は思わず取り乱し、激高する。
我に返った「私」は自分の振る舞いを恥じ、ノボルに謝罪した。
そして、ここにいる間だけでも自分をお母さんだと思ってくれないかという、ささやかな願いをノボルに伝える。
「生きがい」をなくした者が同時に見失っていたその真実とは…。
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「帰れない夜」3
あの部屋の男と出会い、女はこれまでの付き合ってきた不倫相手の男との別れを決意する。
「私、恋人の部屋へ堂々と行きたいの」
「あなたの元へは帰らない」と告げ、女はかつての恋人を送り出した。
そして今日も男に借りた本を読む。
***
「縁切り神社」
恋人と別れて京都へ一人旅にやってきた「私」は、ふらりと立ち寄った神社に、縁切り祈願ばかりを書き綴った絵馬がズラリと並んでいる場所を見つけた。
怨念の渦巻く絵馬の棚に薄気味悪さを憶えながらも、一つ一つ見て回る「私」はしかし、ある絵馬の前で足を止める。
「水野季実子と深田拓也の悪縁が切れますように」
そこに書いてあったのは、まさしく自分と、別れたばかりの恋人の名前だった。
誰がこんなことを…。
「私」は、拓也との思い出を振り返る。
拓也とは燃え上がるような恋愛ではなかったこと。
しかし別れた後、自分がどことなく気持ちが沈んでいること。
付き合っていた頃から拓也に対し、別の女の影を感じていたこと。
そして拓也と寝た夜、その女に「勝った」という密かな優越感を感じていたことも。
「私」は神社から拓也に電話をかけた。
なぜ他の女がいるのに私と付き合ったの?その人に京都で偶然会ったわ。
しかし拓也は思いがけない顛末を「私」に告げたのだった。
自分の名が書かれた縁切りの絵馬をきっかけに、再び会話を交わしたかつての恋人。
拓也から当時の想いを聞いた「私」は、初めて自分の中に隠れていた傲慢な心を知るのだった。
フォトギャラリー、続きます。