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吐露始め 2009/05/03 日曜日

「帰れない夜」フォトギャラリー2

続いていってみましょ、「帰れない夜」フォトギャラリー!

朱川湊人作 「昨日公園・前編」
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小学生の息子、翔一と地元の公園へバトミントンをしにやってきた遠藤は、子供の頃、かつてこの公園で体験した出来事を思い出していた。

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小学時代の親友・マチ。
あの日も赤々とした夕日の中、マチと遠藤は遅くまでキャッチボールをして遊んでいた。

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ひとしきり遊んだ二人は、いつものように明日も遊ぶ約束をして別れた。
しかし。

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その夜、家にかかってきた電話で、マチが交通事故で死んだという話を聞かされる。
心配する両親の前で、遠藤はその事実を信じることが出来ない。

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しかし、父と共にマチの事故現場まで足を向けた遠藤は、やはりマチがこの世を去ったことを実感する。
その日、遠藤はマチのことを思い、眠れない夜を過ごした。


翌日の夕方。昨日マチと別れた公園へ再び足を向けた遠藤は、公園から自分のボールが飛び出してきたのを拾う。このボールは自分の家に置いてあるはずなのに、どうしてここに?
不思議に思いながら公園へ足を運び入れると。

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辺りの景色は、雨模様から赤々としたゆうやけに変わる。

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そして、死んだはずの親友が再び遠藤の前に現れる。
遠藤は昨日の公園に戻っていたのだった。

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遠藤はこの後事故に遭うはずのマチを助けようと考える。
二人で見る二度目のゆうやけは、昨日よりも遠藤の心に染みいった。

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これでマチを助けることが出来た。
そう思った遠藤だったが、しかしその日の夜もまた、マチが別の場所で事故にあって死亡した知らせを聞くことになる。
「もう一度時間を戻してください」
遠藤は祈りながら夜を過ごすのだった。

***

「帰れない夜4」
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男は、かつてこの部屋で一緒に過ごした昔の恋人のことを思い出していた。
恋人に心を奪われた男は、この家にずっといたい、と願ったことがあった。
その願いは今聞き入れられ、しかし恋人はもういない。

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新しい恋人となった女が部屋を訪ねてくる。
「もうこの家に来ない方がいいよ」
男はつい、そんなことを口走る。
戸惑う女は、男の抱える寂しさがそういわせたのだと理解し、男を励ます。
「大丈夫、私がいるから」

***

「昨日公園/後編」
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それから遠藤は、マチを助けようと何度も昨日へと戻り、同じ夕方を繰り返す。

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マチの帰り道を尾行をして助けにいったり、マチに全てを告白し、気をつけるよう呼びかけたりと、様々に手を尽くす。

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しかしどんなことをして助けようとしてもマチに死は訪れる。
更に、遠藤が助けようとすればするほど、その後マチに訪れる死は悲惨なものになっていく。

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やがて遠藤は悟る。この運命を変えることは出来ないと。
遠藤は、努めていつも通りの夕方を過ごす。
二人はいつものように笑い合って別れた。
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「ずっと友達でいてくれよな」
大事な言葉だけをマチに告げて。

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遠藤はあの公園のボールを拾うことはなく、二度とマチと出会うことはなかった。

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大人になった遠藤は、当時のことを思い出していた。
二度とあんな想いはしたくない。
その時、バトミントンの羽根を買いに行っていた息子の翔一が帰ってくる。

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帰ってきた翔一は、どこか疲れた顔をしていた。
そして遠藤は、自分があの時のマチと同じ状況にあることを、息子の様子から知るのだった。

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***

「帰れない夜5」

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男にも男の住む家にもすっかり慣れた女は、男の部屋へ来たある日、正直な想いを伝える。
「帰りたくない」

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男はその言葉を待ち侘びていたと喜び、女の手を取った。そして女に告げる。
「じゃあ、さよなら」
女は言葉の意味が掴めない。
「今日からここは君の家だよ」

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男は女に自分の昔の頃の話を聞かせた。
自分もかつては同じように、ある女性に魅せられてこの部屋にいることを切望したこと。
やがてこの部屋は自分のものになり、恋人だと思っていた女は去っていったこと。
女は恋人だったのではなく、「次の人」が来るのを待っていたのだと知ったこと。

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この部屋に魅せられて帰りたくないと思ったら、もうここから出ることは出来ない。

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次に誰かがここにいたいと思うまでずっと…閉じ込められたまま。

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男は歓喜の声を上げて部屋を飛び出していく。
女は部屋を出ることが出来ず、一人で帰れない夜に閉じ込められた。

「帰れない夜」
2009年4月3日~12日@下北沢ザ・スズナリ

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