新規開拓「若くない日々」―高山奈央子
日ごろ、ミステリーばかり読んでいる私。この数ヶ月は今更ながら伊坂幸太郎に
ハマりもっぱら伊坂を読み漁っておりました。
たまには新規開拓しようか…
この甘い丘稽古前の時期に何か読みたいわ…
読んだ事ない作家さん。できれば女性作家さん…
そんで甘い丘にちなんで、いろんな女性が出てくる話がいぃなぁ…
と、そんな漠然とイメージだけ持ちフラりと本屋へ。
そして、ズラリと並ぶ文庫新刊コーナーにてふと目についたのが、
~もう若くはない女たちの、やりきれないけど愛しい日々~
なる、帯の文字。。
おぉ。女たちの話だわ。女性作家だし。いいやも。と、何の前知識もなく、
『若くない日々』藤堂志津子著
読みました。
短編5本は、すべて50代独身女性のそれぞれの話。
50代か…渋すぎたか?と思いつつ読み始めました。
いやいや、そんな事はございませんでした。
確かに、歳を重ねる事による考え方に、恐いな…と感じる部分はありました。し
かし、個人の癖のような精神的なものに共感し、女としていくつになっても変わ
らないものはあるのだなぁ、と感じ、また、その対処する術に学んだり。
おそらく長編でこの手の内容を読んだら、重い気持ちになってしまったかもしれ
ませんが、短編で5人の女性の癖を垣間見つつ楽しめました。
特にラストの『オープニング』にある、自分が忘れようと封印していた記憶、嫌
な想い出が、ふとした瞬間によみがえってしまう流れの描写。ああ、分かる。と
、すごく共感してしまいました。決して表には出ないけれど、自分の中では身悶
えするような、あの感覚…。私的にはズバリな描写でした。
藤堂志津子さんは恋愛小説が有名らしいです。今回は恋愛話ではなかったので、
恋愛の女性心理描写をどう書かれるのか気になったので、今度読んでみたいと思
いました。
そして、この本を読んで感じたのは『今をしっかり生きねばな』という事でした
。別にこの本、教訓めいた内容ではないんですがね。。。
時ってもんは、どうしたって流れていくし、必然的に歳はとる。今抱えてるもの
も、時が流れてどう感じるか分からないし、分からないんだったら、悩んでも仕
方ない。歳を重ねたら重ねたで、その時に抱えるものが、出てくる。だったら、
その時をしっかり生きないと、もったいない。振り返っちゃう事があっても、そ
の時しっかり生きたと思えば後悔しないはずだからなぁ。
なんて。なぜかそんな事を漠然と感じてしまいました。
また時が経って歳を重ねて読んだらきっと違う感覚になる本なんだろうと思いま
す。40、50、60…と、また忘れた頃に読んでみたいですね。その時自分は、何を
感じるのか。それもまた恐いような、楽しみなような気もします。。。