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2013年11月27日

荻原浩著『明日の記憶』ー横山真二

お久しぶりです。幽霊劇団員の横山です。
最近のKAKUTAのお客様は知らない方も多いと思いますが、KAKUTAの「DEBU」枠でございます。
今回は次回公演に因んでオススメ本を一つご紹介させていただきます。

私がこの本に出会ったのは7年くらい前かな。(詳しくは不明)
きっかけは表紙の渡辺謙さんと樋口可南子さん写真。

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私のような地方出身者は同じ出身で活躍されている方がいると凄く親近感を憶える。渡辺謙さんと樋口可南子さんはどちらも同じ新潟出身。しかも中越地区(マイナー)。そこだけに惹かれ購入した本です。

この本は49歳という若さで若年性アルツハイマー病(いわゆる認知症)の診断を受けた主人公とその家族のその後の生活を描いたお話です。
当時この本を読んだときはそういう病気を想像しながら読んだ。記憶が無くなっていくこと、何も記憶できないこととはどんなに不安なんだろう。本人だけでなく家族はどんなに辛いんだとうって。思い出を積み重ねることができないということはどういうことなんだろう。

今、私は病院で働かせていただいており、実際にそういった病気を持つ方と身近に接している。
その中でこの本をまた読み返してみた。

この本を改めて読んで感じたこと。

それは「今」ということ。

過去のことも大事、未来のことも大事。でも一番重要なのは「今」が楽しいかということ。
これだけ聞くと今だけ楽しければいいとか無謀な言葉に聞こえるかもしれないが少し違う。未来のことを思い描き辛い「今」を過ごすことも一つかもしれません。

何が言いたいのか自分でもよくわかりませんが、「後悔」しない生活を送るということ。
文字にするとなんだか薄っぺらいかもしれないけどこの本を読んで、常に「今」を大切にしている主人公夫婦を感じながらそんな気持ちになった。
なんとなく生活していくのと1mmでもそういうことを考えながら生活していくのでは人生の楽しみ方が10倍違う。(偉そうですいません)

だから私は一向に痩せなのかもしれません。(ダメだろ!!)

映画化もされていますのでお時間ありましたら是非ご覧になってみてください。

2013年11月18日

道尾秀介著『鬼の跫音』-若狭勝也

道尾秀介さんの本が気になってた。
僕より1歳年下の、1975年生まれの作家さんだ。
僕が高校1年生の時に、中学3年生の作家さんだ。

特に、関係ないですね(笑)

でも、面白い本を読んだ時にスゲーなあ~と思い、それが年下の方が書いたんだ思うと、ちょっと、
おっ。
となる。年下なのに、僕より人生経験が豊富なんだろうなあと思ったり、僕より世の中・人間の事を知ってるんだろうなあと思うと、僕は1年も多く生きてるのに何をしてたんだろうなと思うんです。
まあ、僕は作家を目指している訳ではないんですがね……。

KAKUTA団長・成清さんの家で劇団作業をしている時に、劇団員で本の話になり、僕が道尾秀介さんの本を読んだ事はないけど、気になってるんだと言ったらすぐ、マサ(佐賀野雅和)が、
「えっ?!俺ちょうど今、読み終わって持ってるよ☆」と。
「えっ?!じゃあ、貸して!」と。
なんだか、僕が読む事が“必然だったような偶然”で、手にした。

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『鬼の跫音(おにのあしおと)』

「鬼の跫音」「犭(ケモノ)」「よいぎつね」
「箱詰めの文字」「冬の鬼」「悪意の顔」
6編の短編集、6人の「S」による危険な罠。

僕は、ホラー、ミステリ、サスペンスが好きで、最後に真相が分かったりすると、勿論、そうだったんだあ!と驚くことはあるんですが、その驚きは一瞬で、ドキドキしてた割には、
「あ、そういう事ね。」
とサラッと終わる時もあります。
読んでいる途中は、ドキドキしながら読んでいるのですが、終わってしまうと、
「ふーん。」
と。

サラッと終わらず、真相が分かってからも印象に残る作品ってなんなんだろうと思っていたのですが、道尾さんのこの本の作品はどれも面白いのです。

犯人は誰だろう?とか、真実は何なのか?とか、物語の進行を追っていくというよりも、
この人は何を思っているのか?何を感じているのか?と、人の心の動きを追っていけるので、
読み終わったあとに、答え合わせのようなラストの驚きというよりは、
そうなってしまった、そうなってしまう、それまでの人の心の動きに驚きます。

本の帯にあったのですが、

人の心は哀しい。恐ろしい。
そして愛おしく、切ない。

あっ!そして、言うの忘れてた!
道尾さん本は、まだこの本しか読んでないので他の作品は分からないのですが、
作品の出だしが僕は好きなんです。
最初の1行から、
ぶぅわっ!
といきなり引き込まれるので、すぐに読書時間に没頭出来ます。
最初の1行で、最後まで読みたいと思うんです。

お時間ございましたら是非ご覧くださいませ。
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もう、一気に“ちゃんちゃんこ読書”状態で読み切りましたよ。
(“ちゃんちゃんこ読書”の季節になってきましたね☆自宅) 

また道尾さんの他の作品も是非読んでみたいと思います。

2013年11月11日

近藤麻理恵著『人生がときめく片づけの魔法』ー 松田昌樹

ジ•アナザーメンバー幽霊劇団員の松田です。
ほとんどの方、初めまして!!
もう、所属15年くらいになります。

僕が読んだ本はこちら!

「人生がときめく片づけの魔法」
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せっかくだから、実用的な本を選びました。
みんなの流れ崩していたらごめんなさい!

人生を変えるほどの本というのは、滅多に出会えるものではないと思いますが、僕はこの本を読んで本当に人生が一変しました!

口コミがどんどん広がって話題になり、つい先日ドラマ化もされました。ご覧になった方もいるかもしれません。

人生なんて、大げさだな…
最初は僕もそう思って読み始めましたが、ところがどっこい、読み進めるうちに「ほぅー」と納得でき、不思議と「今すぐ片づけがしたい!!この片づけ論を試してみたい!!」という気持ちになるのです。

僕の家は、自分で言うのもなんですが、昔から割と片づいているほうでした。ただ、ものは多く、収納しきれない道具や本は部屋の隅にまとめたりと、まぁそれなりの家。

ある日、この本に従って家の中のものを一気に整理してみました。
そしたら、あれよあれよと「お役御免」なものたちが、ゴミ袋へと収まっていったのです。

そうなると後は連鎖で、ホコリが落ちているのも気になってマメに掃除するようになるし、キレイなキッチンで自炊をしてみたくなる。
片づいている自分の家が大好きになり、毎日が充実するのです。
(嘘みたいですが、本当にそうなのです!)

以来、片づけの魔法はとどまることを知らず、僕の人生をキラキラと輝かせ続けてくれています。

この本では、従来の片づけガイドライン、方法論といったことではなく、徹底して「マインド面」の追求がされています。

文中、僕が特に気に入っているフレーズがこれ。

【片づけとは、「片を付ける」こと。】

過去の自分や、ものたちに、片を付けて、前に進むこと。

そうか、なるほど。
と納得しながら、昔フラれた女の子の思い出の品に、片を付ける今日この頃です(笑)

お部屋がつい散らかってしまう…という方、騙されたと思ってぜひ!

劇団員各位》稽古見に行くからね!楽しみにしてるよー!!

2013年11月04日

沼田まほかる著『アミダサマ』ー大枝佳織

本を読むのは専ら半身浴をしながらでお風呂にいることがほとんどだ。
湯に浸かりながらバスソルトの花の香りの中で本の世界に浸るのは贅沢な時間で長々と過ごしてしまう。
地ビールなど持ち込んだら最後、楽しくてなかなか出て来れない。

そんな基本ラグジュアリーな入浴時間を早々に中断せざるを得なかった異例の本。

「アミダサマ」
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面白いのだ、けれども…怖い!
よくあるダイレクトな怖さの怪談とは違い、登場人物の心情の変化や人物に迫る描写が細かくじわじわと深い恐怖に包まれる。
浴室という所がまた怖い!
水滴や空調の音、ドアの向こうの部屋で時々する物音に過剰に反応してしまう。
続きが気になるし1日のうちの特別なこの時間をどうにか継続したい為浴室のドアを開けて怖さ軽減を試みるも、一度怖いと思った心は恐怖に支配されていく。
もはや花は香りを失くし、ビールも味がしない。
頭や顔を洗う時なんて目を閉じるのがとんでもなく恐ろしく、お花とビール色に染められたラグジュアリーな時間は暗黒色の恐怖時間に変わる。
読んで数日は一秒でも長くと怖さを我慢して読んでいた。
しかし、その我慢の時間が怖さを倍増させ体をしっかり洗えなかったり髪にシャンプーが残っていたりという事態を引き起こすことに気付き、恐ろしの予感がするとすぐに中断することにした。
恐怖分散戦法を編み出し何とか読んだが完読までかなり日数がかかった。
しかし、続けたい気持ちがあっても我慢して読んだ先にどのような状態が待っているかを見通してやめておく、そんな大人な選択が出来る様になった自分を褒めたい。

ネタバレになるが、話に猫が出てくるのだがこれがまた恐ろしかった。
いろいろな本に時々猫は出てきてその度毛並みや顔つきを思い浮かべ愛しく思うのだが、今回話に出てくる猫は毛並みや顔つきなどどうでもいいおっそろしい恐怖猫だった。
おかげで実家の猫を見る目が変わった。
にゃにゃ~ん、と大好きなカブキが愛くるしく近づいてきても目を逸らしてしまう。
大人の選択が出来る様になった代わりに猫への無償の愛を失くしてしまった私をカブキが寂しそうに見ていた。
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2013年11月01日

東山彰良著『路傍』―佐賀野雅和

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前回届いた「路傍」すぐ読み終わりました、予想通り瞬殺でございます。
この本、いわゆる短編集なんですが、主人公は全話通して同じ。チンピラのお二人。
ダメーな男二人の船橋での生活を描いているのですが、まー!ほんとにダメなんですわ、この二人!何がダメかって、何がダメなのか覚えてないくらいにダメなんですわ!そんな二人の日常ですから、ぶっちゃけどーでもいーことだらけなんです、が、がっでむ、なんですかね、東山さんの文章ってどーでもいいことが書いてあっても、ついついこうぐうっと引き込まれてしまうんですよ、ぐぐぅっと。
そんな訳で、ぐぐぅっと引き込まれて、サクっと瞬殺です。

引き込まれた先にある世界。
本を読んでいる時に頭の中で想像する世界、あれなんなんでしょう。
ぼんやりと思い浮かべているその場所は自分が行ったことかある場所なのか、それともテレビや雑誌などでチラっと見たことがあるだけの場所なのか。
僕はいつもあれはどこなんだろう?と思いを巡らせるんです。
僕が頭の中で主人公達を動かしているあの場所は大体、架空の場所。
行ったことも見たこともない場所。
地下にある汚いBARやボロアパート、寂れたフィルム工場、高級ホテルの最上階にあるプール、怪しい宗教団体の本部や岐阜かどこかの山中、全て僕の記憶にはない場所だけど、読んでいる最中はちゃんと思い浮かべることができる。人間の脳ってスゴいなあ、と思うのです。
そしてそれを思い浮かべさせる力を持った文章もこれまたスゴいなあ、と思うのです。

自分だけの世界を作りあげることができること。
これも本のいいところだなあと思うのです。

この本で二人が入り浸っているBARに行ってみたい。

否、やっぱり一瞬で絡まれて瞬殺されそうなので、
チラ見でいーや。

2013年10月28日

西加奈子著『円卓』-異儀田夏葉

ジャケ買いである。小説をジャケ買い。
『円卓』というタイトルと、表紙の写真がとても好きでつい手にとってしまった。

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見れば、今回の朗読公演『アイロニーの夜』の読本である『炎上する君』の西加奈子さんの本ではないか!!
しかも、表紙の写真は川島小鳥さん。『未来ちゃん』という私の大好きな写真集のカメラマンの方。

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最高の組み合わせではないかっ!!と、即買い。

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西加奈子さんは、今回の朗読公演の読本として候補にあがってから、虜になった作家さん。短編ではないものも読んでみたいというのと、『炎上する君』を上演するにあたって、他の作品に触れるのもなにかヒントがあるかも…ということもあってわくわくしながら読書開始!!

『炎上する君』もそうなのだが、主人公はひとくせもふたくせもあってとても魅力的。

『円卓』では小学三年生の女の子。通称こっこ。いわゆる大家族の末っ子だが、“孤独”に憧れている。彼女をとりまく人たちもまた個性的で愛らしい。なんだろう、この感じ…。どこか懐かしいような…。あ、ちびまるこちゃんか!!

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読んでるうちにわたしもいつの間にかこっこのクラスメイトになったような気になってくる。それが心地いい。

子どもたちは、いろんなことが、わからない。

この話は簡単に言ってしまうと、気難しいこっこがちょっとだけ大人になる話である。この話の中で、“大人になる”は、“イマジン”できる、ということだ。

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いや、このイマジンは関係ないか。

でも、想像してごらん、っちゅうことだ。家族ことを、友達のことを。わたしたちはひとりでは生きられない。

中学生や高校生の思春期をえがく作品はたくさんあるけど、この小学三年生の名前もついてない、些細なんだけど、でも、きっと、とても大きな成長をえがいた作品ってそうないんじゃないだろうか…。

大人になるって、悪いことじゃない。

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まだ読み途中の時に、わたしの癖で、あとどれくらいかなぁ〜とページをペラペラとめくっていたら、文字の羅列のページと、ランダムに文字が書かれてるページがある。フォントも微妙に異なるようだ。

なんだろう!!とわくわくしながら読み進めていくと…

まさか、その文字たちにこんなにも泣かされるとは…!!

紙に書いて、小さく小さく折って、ぜひ、心の中に大切にしまいたい。

超オススメです!!

2013年10月25日

西加奈子著『さくら』-高山奈央子

本を教えてくれる友人がいます。彼女の家にいくと、たくさんの本があり、どれが面白い?など話しつつ、オススメだよと借りたり、これは奈央子好きなんじゃない?なんて借りたり。そして、これがなかなか面白いものばかり。

そんな友人に数年前借りた本が西加奈子さんの本。
当時、彼女もはまっており、西加奈子さんの本を3冊ほど借りた。

それ以来、私は西加奈子さんのファンであり、読み続けています。
独特な描写の語り口がなんとも面白く優しく、愛おしいのです。

朗読で西さんの作品ができたら、と想っておりましたが、今回、「炎上する君」が演目に決まりテンション上がりまくり。

私が西さんの作品で初めに読んだのが
「さくら」

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どの作品も大好きなのですが、この「さくら」は私の中でも、初め、だからか、何度読んでも、毎回胸に押し寄せるものがあり、半年に1回くらいのペースで読み繰り返しております。

「さくら」は家族のお話。その家で飼っている犬の名前が「さくら」です。
家族の次男である薫の語りの物語。

家族の歴史で語られる過去は、読んでいて、キュンとしたり、悲しくなったり。問題もあったりするけれど、家族は繋がっていて、その繋がりも、ドライな感じもあり、わざとらしくなく。

その家族に大きな悪送球がはなたれます。
その出来事は大きすぎ、家族が皆抱えきれなくなり、お互いを思いながらも、仕方ない状況から、お互いを責めることなくバラバラになってしまします。

そんな時に、薫に届いたお父さんの手紙。
家族は久しぶりに家に集まります。
物語はここから始まり、過去に遡り、現在へと進んでいきます。

この家族が、この家族なりの幸せを!と願わずにはいられません。
どうなるのかは。。。ぜひ読んでいただきたい!

何より、この家族がたまらなく愛おしいのです。
楽しい事。辛いこと。嬉しいこと。悲しいこと。
そのエピソードの語り口がたまらなく愛おしい。
そして、その愛おしさは、家族が愛犬さくらに対する表現だったりします。
キーパーソンとはよく言いますが、これはキードックってことでしょうか。

この家族がどうしてこうなったのか、そして何があって、どう向かうのか。

それでも生きていく。

そんな素敵な話です。

私がこの本を手にとるときは、ぽわ〜んとぼんやりしているとき。
ふと読みたくなるのです。
今回もそんなときに手にして読んで、何やら胸には、せまるような、でも温かく、そんな感じが充満しました。

読書の秋にオススメの作品かと。
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2013年10月21日

吉田戦車著『吉田電車』― 野澤爽子

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車・船・バス・バイク・自転車・飛行機…世の中にはいろいろな乗り物があり、どれもそれぞれの利便性や快適さ、面白みがあると思うが乗り物酔いしてしまう私は実は苦手なものが多い。
しかし電車だけはこれまで乗り物酔いしたためしがなく、乗るというそのものの行為にとてもワクワクする大好きな乗り物である。
そんな片寄った好き者の私の懐にこの一冊が飛び込んできた。
「吉田電車」
著者は漫画家の吉田戦車氏。
ジャケ買いという言葉があるが本屋で目にした途端、擬人化された椎茸が電車の上に勇ましく仁王立ちしている絵とタイトルに心を奪われてしまったのである。

内容は実際に戦車氏が電車とのあれこれを綴った連作エッセイで、私鉄・地下鉄・市電・新幹線など様々な電車が登場するのだがそれらの電車について熱っぽく書かれているというよりかは、電車に乗って行った先でのことが主になっている。
どこぞへとふらりと出掛けていき、地味で些細だが面白げな出来事に出くわしていく様子が戦車氏の独特な語り口と合間って実に心地良い。
そうして読み進めていくうちに、私も無性に電車に乗りたくなってしまったのでエッセイに登場する実際の場所へ出掛けることにした。

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「吉田電車」―【レール! 歳三うどんはミルク入り】の回に登場する高幡不動駅と多摩動物公園線。
多摩動物公園線は空中レール上を走るモノレールだ。

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著書の中でも触れられているが、普段あまり乗る機会のないモノレールに乗り空を飛んでいるような感覚に襲われながら動物園に向かうというのは妙なおかしみがありワクワクした。
そうして小雨がパラつく中あまり快活には動こうとしない動物たちを愛で歩いたのち、再びモノレールに乗って高幡不動駅に戻ってきた。
「せっかくだからお不動さんも見て行こうか!」
そう勇んで行ってみるも、こちらの閑散とした様子にはあまり心踊らなかった。

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しかし、それもまた「吉田電車」的電車旅の楽しみ方であるような気がして満足していると、お不動さんの目の前に鯛焼き屋ののぼりがあるのを発見した。

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あんことクリームチーズの2つの味があり、迷ったあげく私はクリームチーズを注文した。
鯛のシッポの先まで熱々のクリームチーズが詰まったそれは大変美味しく、お店の軒先にしつられられた小さな休憩処で温かいほうじ茶をふうふうやりながらいただいた。
地味で些細だが楽しいひとときであった。

2013年10月17日

作・絵/佐野洋子『100万回生きたねこ』-ヨウラマキ

絵本が好きです。
ながいのをいじいじと読むのもすきですが、せっかちな私は先に結末を読んでしまったり、めんどくさくなって途中でやめてしまったりすることも少なくないです。

だから、すぐ読み終わる絵本は好きです。好きな理由はそれだけではないけれど、短い言葉と絵で綴られた作品たちは、真っ直ぐ心にくるな、と思います。

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この本は、佐野洋子さんが描いた絵本です。
私は佐野洋子さんのエッセイも好きです。ざくざくざくと書かれる文章が好きです。嘘がつけない人間の嘘が混じったエッセイ。
エッセイを書いていることを知ったのはつい最近のことでした。

この本は、100万回生きたねこのはなしです。

実は、小さい頃この本が嫌いでした。ふてぶてしくて意地悪なねこが、どうにも好きになれなかったからです。こっちを睨みつける緑色の目。シマシマのでっぷりしたねこ。いかにも性格が悪そう。

だから、友人が22歳の誕生日プレゼントにこの本をくれた時、友人には悪いけど、これ、好きじゃないんだよね、と、魔女の宅急便に出てくる、ニシンのパイのお孫さんのような気持ちになりました。
読む気も起きなかったので、本棚にこっそり、片付けてしまいました。ほんとにひどいことしたな。
だって何より、十数年ぶりに再会したねこが、緑色の目でこっちを睨んでくるように見えたから。

しかし、去年の10月、ひっそり本棚中にしまっていたこの本を、たまたま、ほんとにたまたま、なんとなしに開いたのです。
本が本棚に放置されているのがいたたまれなくなったことってありませんか?ほんの気まぐれで見てやりました。

すると、ページを進めるごとに、今まで感じたことのない感覚がやってきました。何処か懐かしいけれど新しい感覚。緑色の目をしたねこはただの意地悪なねこでなく、寂しさと孤独をかかえた、悲しいねこでした。

ねこはただただ100万回死んでは生き返るを繰り返していました。周りの人たちが理解できず、自分自身もまわりのひとから理解されない。でもそれでいいんだってつっぱねて、生きながら死んでるねこ。
小さい頃に感じた意地悪さは、きっと彼が強がっているだけだったのだなと、感じました。
彼は寂しくて寂しくて仕方ないねこだったんです。

白い美しいねこと出会って、恋に落ちる瞬間の文章がとてもロマンチックだし、おしまいもとても素敵。
愛を知ったねこは生き返らなくなるんです。
そしてねこの目の色が、白い美しい猫と出会ってから、緑色の鋭い目から白い美しいねことおそろいの青色に変わるんです。

なぜだかおいおいと、泣いてしまいました。ほんを読んでおいいなくなんて、あまりない経験でした。
そしてなにより、嫌い嫌いと思ってた本が、こんなにかけがえのない本になるなんて!
この作品に再び出会うきっかけをくれた友達に、ありがとうって、心からいいたくなったのでした。

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2013年10月14日

「新潮45」編集部編『凶悪-ある死刑囚の告発』―若狭勝也

ある本が気になってた。
次回KAKUTA朗読公演の作品探し中、本屋に何度も通っている時に、見かけていた表紙。
僕が好きそうな作品のタイトルだった。

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でも、まだ朗読公演の作品が決まっていなくて読む時間もなかったので、買わずにすっかり忘れてしまっていた。

それからKAKUTA12月公演の作品も決まり、時間が出来てまたフラッと本屋に入った。
最近、映画化になっている本は、本屋でその映像を流したりしている。
画面に映っていたのは、
映画『凶悪』
山田孝之さんと、ピエール瀧さん、リリー・フランキーさん。

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今まで、ノンフィクション小説はあまり読んだ事がなかったので迷っていたが、その映像を見て買うのを決めた。
(本屋の策略にはまった。)

映像化された本があったら、先に小説を読むか映像を見るか、よく話になるけど、僕は先に小説かな。
映像を先に見ると、それから小説を読む事はあまりない。
小説が先だと、その映像が見たくなる。

今回良かったのは、
映像と言っても予告編だったので、詳しく内容は知らないまま小説を読み始めたけど、
読んでて登場人物の顔を思い浮かべる時に、山田孝之さんと、ピエール瀧さん、リリー・フランキーさんの顔を思い浮かべてたので、イメージしながら読めた。

東京拘置所に収監中の死刑囚から、新潮社に手紙が届く。
その手紙の内容は、警察も知らないその死刑囚の余罪、多数の殺人事件の告発だった。
死刑囚が余罪を告発したところで、死刑は変わらないのに告発する異例の出来事。
そしてそれらの事件の首謀者である「先生」と呼ばれる男の存在が書いてあった。
その先生と呼ばれる男は、いまだに野に放たれ、社会を闊歩している。その先生を追いつめたいので記事にして欲しいという死刑囚の告白に、当初は半信半疑だった担当記者。
新たな事件を告発する事で、死刑の期を先延ばししたいだけなのか。
しかし、取材を進めるうちに、その告発に信憑性があることを知り、真相を探るべく没頭してく。

保険金、不動産目当ての殺人事件で、とてつもなく恐ろしく非道で、
まさに『凶悪』の“数々”だった。

果たしてその結末は、、、。

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恐ろしい事に、これはフィクションではなく、実際に起こった話。
なんだか頭がグラグラします。
面白い本なんですが、なんというか「面白いです。」とは言えないというか、
好きな本になったんですが「好きです。」とは言えないというか、
でも、読んでホントに良かった。

命の尊さを考え、この事件の首謀者達に憤りを感じます。
現実の世の中にはいろんな事があって、いろんな人が居て、酷い人がもし居たとしたら、何故そういう人間になってしまったのか、なってしまうのか、というのも考えたり、
ホントに世の中の一部のやっと明るみに出た一つの少数の事件なのかもしれないけど、
生まれ育った環境や教育、人との付き合いの中で、そういう境遇に万が一巻き込まれる人間になってしまっていたとしたら、どうなってしまうのか。
人間とはどういう性質の生き物なのか、分からなくなってしまうけど、僕はこの事件に関わった人たちの性質が分からない。
僕がそう思えて生きていられる事に、なんというか、今まで育ててくれた両親、兄弟、親戚、友人、恋人、いろんなに出会えたお蔭で幸せに生きていられる事に感謝します。

でも、それはごく僕の個人的な感想であって、分かっていたつもりではいたけど、いろんな人が居る事を再認識した。
そして俳優という職業をしている以上、いろんな人間の感情、気持ちを知りたいという欲望もあって、研究心からこの本を読んでいたのかもしれない。

こういう事件がなくなる事を祈ります。
まだまだ世の中に出てきていない、酷い事があるんじゃないかと思うとゾッとしますが、
もしあったなら、こういう風に明るみに出して一つ一つ暴き出して欲しい。

被害に合われた方には、お悔やみ申し上げます。


この本を4分の3くらい読んだあと、
次回KAKUTA12月の朗読公演にも出演する、
原扶貴子がこの作品の映画に俳優として出演していると知り、以降はフキちゃんの役であろう人物が登場する時に、フキちゃんの顔も思い浮かべて読んだ。

たまたま手に取った本の映画に、友人が出演している。
映画が楽しみでしかたない。
フキちゃんの俳優としての活躍を楽しみに。

ご興味ある方は是非。
でも、知らなくてもいいかもしれない、、、。

ノンフィクション小説は、当事者の手記が多い。その場合、真実かもしれないけど、当事者側の意見が反映されるものが多いと知ったが、
これはあくまで、第三者である宮本さんが双方の意見を聞きながら、分析、取材したものなので読み手にとっても誰かに肩入れすることなく、事件を客観的に知る事が出来て、尚且つ読み物、小説として読み応えがある。

最後に、著者として表紙にはハッキリと記載されてないですが、
記者であり、今回の取材を重ねた「新潮45」編集長、
作者の宮本太一さん、本当にお疲れ様でした。

2013年10月11日

東山彰良著『イッツ・オンリー・ロックンロール 』―佐賀野雅和

只今読書中、そしてお先にロック中。
この日記を書いている現在、物語はまさに佳境。
早くあのロックな世界へDIVEしたい、そんな欲求を圧し殺し、書いています。

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早く先を読みたいが、終わりたくない。
いまのところ結末が全く予想できない。
いまのところと言っても残りはあと20ページ程だ。
何だかもうすごい、なんだろうこの本。
わかんないです、みんながみんな面白いと思うかはわかんないです。
とにかく、好み。ただただそれだけ。
電車で読めふければ一瞬で目的地、ホームに降りても思わずベンチに座って読んでしまうからタチが悪い、夜の帰り道も本を読みながら歩く。必然的に明るめの道を選ぶ。安全。最高。

そんな最高なモノをどうやら僕は飲み屋に忘れてきたらしい。
今、まさに今、店主からメールが届く。正確にはメールではないが。
昨晩は飲み屋から帰って来て泥の様に寝てしまったから全く気づいていなかった。

なんたる不確!
取りに行けるとしたら夜中、でも行ってしまえば飲んでしまう、飲んでしまったらやらなきゃいけない事が色々とできなくなる。だからと言って本だけ取りに行って一杯も飲まないで帰るなんてことはできない、どうしよう。

よし。
飲んで、読んで、やる。
そうしよう。
飲みは軽く、そして早めに帰宅しよう。飲んで読んでやることをやろう。
もしくは、飲んでやることをやって読もう。
時と場合によっては、飲んでやって寝て起きて読もう。
とにかく、飲もう。

そんなことを考えていると玄関のチャイムが鳴った。
ドアを開けると宅配便の若者が立っている。
メール便だ。

そうだ、思い出した。
この本を読み出したすぐ後に東山彰良氏の次の作品を注文していたのだ。

「路傍」

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今夜は飲まずにまっすぐ帰ることに決めた。

2013年10月07日

角田光代著『それもまたひとつの光』―大枝佳織

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大分前に読んだ本だが、読後ガツンときて目の前が少し開けた気がした。

角田光代さんの本はほぼ読んでおり大体が面白いが、好きな本が登山ものだったり人間ものだったりするので恋愛を扱う角田さんの作品は面白いどまりだった。
その中で、この本はちょうどその時の自分に沁み入った。
恐らく数年前に読んでもここまで思うことはなく、今のこの時期に読んだからこそ感じることができたことが多かったのだろう。
本はそういうところが面白いワンと改めて思う。

話は主人公を中心に三人の女の恋愛、幸せになれないと分かりながらも大好きな人と一緒にいることを選ぶ先輩や、傷つけられながらも大好きな人を追う友人、そんな2人を見ながら主人公が結婚を決める。
誰もが大好きな人と結婚したいと思うだろうが、情熱的な恋はそれに伴う悲しみも大きく辛いことも多い。
その分喜びも大きいが、主人公は自分らしく生きるために情熱的ではないが穏やかな温かさを感じることの出来る幼なじみと結婚を決める。
私もどちらかというと情熱派で身が滅んでも、と行きがちだが日々の暮らしの中で小さな楽しみを見つけながら穏やかに生きていくのも素敵なことだなあと思った。
穏やかな気持ちでいると、大きな喜びや悲しみの中だと気づかない小さなことに目を向けることができる。
主人公は小さな日常のことを沢山感じながら日々を送りたいと言った。

邪道だと無視していたわらび餅の抹茶味が意外にも美味しかったとか、楽しみにしていた花の蕾が咲いたらとても変な色だったとか、見かけた虫が人面だったとか、そんなことは情熱的な恋の中では気づかなかったのだろうなあと思った。

どちらにせよ自分が選べる状況にあることは幸せなことだ。
結婚するのなら大好きな人だと自分が無意識で思っていたことに気付き、穏やかに好きな人でも良いのかと新しい選択肢が増えた。

とはいっても、やはり身滅ぼし系くらい好きな相手と結婚したいなあなんて思ってしまい、とりあえず三国志風に流れに身を任せ天意を待つことにする。

どちらにしても、友人でも先輩でも主人公でも誰が正しいということはなく、その人が覚悟を持って決めたことならば何が起きても受け入れることが出来るだろう。
また、それぞれに素晴らしい時間があるのだから自分で決めたことに腹を括って受け止めることが大事なのだろうとしみじみ考えた。

とりあえずどちらもまだ選択に迫られていない私は今流行りのカステラでも食べながらワインを飲みじっとしていよう。

美味しすぎてしばらく息が出来なかったレモンかすてら、夏季限定で来年までどうやっても売ってくれないらしい。

2013年10月04日

吉田修一著『さよなら渓谷』―異儀田夏葉

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最近映画化され、真木よう子さん主演で話題にもなりましたこの作品。

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わたしは未見ですが、吉田修一さんの作品てよく映画化されていますよね。悪人、横道世之介、などなど。

吉田修一さんは、自分が恋愛作家だとおっしゃってるようで、ふむふむ、なるほどなぁ…と唸りました。

この『さよなら渓谷』も、あるちいさな町で起こったある事件から、その事件からは無縁で、ただの隣人であるはずの若夫婦の抱える秘密、謎が浮かび上がり、ともすればサスペンスっぽくもあるストーリーなのだけど、最後にはその夫婦ふたりの屈折した愛情、なんだけど、純愛、みたいなものがじんわりしみだしてきます。

“行間を読め!!”などと、国語の授業や、演劇の稽古のダメだしなどでも言われますけども、吉田修一さんは“間”というか“空白”の表現が巧みというか。はげしいラブシーンがあるとか、あまーい会話のやりとりがあるわけではまったくなく、第三者が、今回は記者ですけど、事件の真相を追う中でふたりの切っても切れない関係性や激しい感情が垣間見えてきます。

書きたいのは事件のことではなくて、この二人の寂しく激しい恋愛だったのだなぁ…と、お子ちゃまなわたしは、そんな恋愛してみたいわ、などと思いました。

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しかし、ふたりの秘密は重たいよ…。

2011年07月22日

重松清著『ビタミンF』ー佐賀野雅和

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『ビタミンF』 重松清著

こちら全7話からなる短編集

短編集を小出しに読む試み
もったいないからつまみ読み

全作品2~3ページ読んでみて
あとはちょいちょい読んでいく

気になるところで強制変更
そんな読書をしてみよう


てな訳で、『ビタミンF』

家族の話し、多し
知り合いに訊くと、そんな感じ

読み終えたのは、まだ1話

全作じんわりラストへ向かう

ゆっくり読もう
そうしよう

今年の夏は長いから

じんわりビタミン摂取中

高校野球も熱戦中

2011年07月08日

岡本敏子著『いま、生きる力』/岡本太郎著『自分の中に毒を持て』-高山奈央子

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最近、もっぱら映画化されてる本を網羅してましたミーハー高山です!

読んでから見るか、見てから読むか。

私は見てから読むのはダメでしたねぇ。完全に映像が頭を支配してしまい…映像って強いなぁ。。。花より男子はドラマが先でハマったのになぁ。あ、漫画だからですかね(^_^;)


さて。そんな中、小説じゃないこちらに感銘。

『いま、生きる力』岡本敏子著。
芸術家・岡本太郎氏のパートナーである岡本敏子さんのエッセイです。

これを読むきっかけは、岡本太郎氏の『自分の中に毒を持て』でした。これは数年前勧められ読み始めたんですが、なぜかその時は挫折して読まず終いだったんです(笑)が、最近、たまたま読み本がなかったからと、ふと手に取り読み始めたら、、、

な、なんて面白いの!?え!?私はなぜ読み止めちゃったの!?と、数年前の自分を疑いたくなるくらい面白かったのです。

たぶん最初に読んだ時は「芸術家は違うから」とか「あ、天才はそうなんだ」みたいな、いやらしい斜に構えた気持ちがあったんでしょうかねぇ。
今回読んだ時には岡本太郎氏という、破天荒ながら、人間愛に満ち、人間が好きで、人間と向き合い、己れを貫く強さを素直に素敵だと感じ、しびれました。


そして、気になるとすぐWikipediaなミーハーです。人生のパートナーであった敏子さんの本がある!と飛び付きました。単純ミーハーすいません。

『いま、生きる力』敏子さんの太郎氏への愛。ここまで信頼し合い、尊敬し合い、励まし合える人間同士が同時期に生まれて、一緒に生きたことは奇跡かと感じます。そして、それを通して生きていく事の奇跡を私たちに伝えてくれてます。自分が女でよかったなぁ、と感じさせてくれます。女性としての品位がカッコいいんです、岡本敏子さん。敏子さんは強い、だけどこんな大和撫子いないよなぁ。と、自分が男なら惚れますね(^-^ゞ


なんとなく元気ない方!なんとなくぼんやりしてる方!オススメですよ(^-^)/

と、また読むタイミングでこうも違うのか本って。と、あらためて痛感。太郎氏の本に感銘しなければ、敏子さんの本も読むことは無かったでしょうし。いやぁ。タイミングってすごいけど、恐いわぁ。

他にも挫折した本や映画や芝居もタイミングが合わなかったものもあるかもしれませんしね。また、いろいろ挑戦してみましょっと( ̄∇+ ̄)

2011年06月23日

宮部みゆき著「火車(かしゃ)」-若狭勝也

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いつかは絶対読もうと決めていた『火車』やっと読みました。

第6回山本周五郎賞受賞。
「このミステリーがすごい! 」 2008年に賞創設から20年間の全ての小説の中から1位に輝いた作品。面白くない訳がない。

甥っ子からフィアンセ・関根彰子が突然消えたと捜索を頼まれた刑事。
彼女の足取りを追っていくと、書類上の関根彰子と、甥っ子が出会っていた女性は別人ではないか?と疑問を抱いていく・・・。

当時のクレジットカードや消費者金融などの社会問題を取り入れ、借金を抱える人たちの苦悩を浮き彫りにする。

今では、ヤミ金融対策法や、貸金業法など消費者を守る法律があり、20年前と今とではかなり状況が変わっている。
自己破産や、債務整理などのイメージも変わり、貸金業規制法によって過去の利率を新利率に計算しなおしたところ、借金がなくなる可能性や、逆に払い過ぎていた分が戻ってくるケースもあるようだ。
その過払い金返還が膨れあがり、大手の消費者金融が倒産したりと、業界も打撃を喰らっている。

いろんな事情があって借金を抱えている人がいる。
新しい事業を始めるために資金が必要だったり様々だ。
クレジットカードは便利で、使い方によっては有効に使用出来るけど、使い方を間違うと危険である。

分割払いという言葉で惑わされるが、まあそれはいわゆる“借金”である。きちんと利子が付く。現金を引き出せるカードも借金である。
当たり前の事だけど、キチンと常に理解しておかないと、頭では分かっていても、どこか体で、自由に引き出せる“自分の財産”と勘違いする感覚が芽生える。
利子が付くのは分かっている。でもそんなに大きいものではないし、自分は返せるよ!と。

漠然とした意見だけど、欲しいものがあれば、貯金して買えばいい。

いやでも、今、欲しい!便利で、後々に返せば今買える!
自分は大丈夫だ!

キチンと貯金がある人が便利さでクレジットカードを使用しているのか、ギリギリの生活の中で使用しているのかでは違う。
何が起こるか分からない。入院する事になったら、収入が減り返せなくなったり。

そんな何が起こるか分からない未来の事を心配してたら、先に進めないじゃないか!不安がってばかりいられない!

と思う人がいなくなる事はおそらくない。
だから会社側は儲かる。

「月々の支払いは、なんとこれだけなんですよ!」
「ご利用は計画的に☆」

計画を練れる人は“ご利用”せず、毎月貯金して買えばいい。
その計画を練れないから、借りるのだ。

20年前は、規制がしっかりしてないからホントにひどかったんだろうなあ。返せないのを知っていて、貸していた。

目先の事に惑わされてはいけない。

でも、あなたは大丈夫ですよ!
便利で、何の心配もいりませんよ☆
だって・・・、きっと・・・、返せるから☆

これから社会に出ていく若者たちには、
『火車(かしゃ)』宮部みゆき 著
是非読んで欲しい。

はうあっ!若狭、36歳。
生まれて初めて、本気で“若者たち”という言葉を使ってしまった!

2011年04月02日

水木しげる著「のんのんばあとオレ」-松田昌樹

昨年放映されていた、朝の連続ドラマ「ゲゲゲの女房」はまっておりました。
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20年くらい前かな、僕が中学生の時にNHKでやっていたドラマ「のんのんばあとオレ」この時もはまって観ておりました。
もちろんゲゲゲの鬼太郎も小さいころは何度もみていました。特に夕方学校からかえってきた時の再放送。ゲゲゲの鬼太郎ももちろん好きですが、水木しげるさん自身にも興味があるみたいです。

で、改めて「のんのんばあとオレ」を読んでみました。

「目に見えるものがすべてじゃない」と改めて感じさせられました。
「想像し見えない何かを創造することによって人は豊かになる」と感じさせられる。
水木さん自身も妖怪の話をしてくれるのんのんばあとの出会いによってそう教えられたんだと思います。だから人が豊かで数々の名作を創作できるんだと思います。映画、音楽、演劇など、よい作品に出会うと突然、昔の記憶の細かい描写まで思い出させてくれることがあります。
この本がまさにそうでした。

情景を重ねたのは、田舎に帰った時の盆踊りに向かう道の暗さや田んぼで鳴く蛙の鳴き声、草のにおいでした。兄がびっくりさせようと突然走りだし、自分も急いで追いかける。後ろは絶対振り向かない。何かいるから。絶対振り向かない。ただひたすら走る走る。兄を追いかける追いかける。必死。とまったら死ぬ。後ろの妖怪に食べられる。本当に思っていました。
もう今はそいう感覚をリアルに持つことはできないだろうけど、その時のそういう時間って豊かだったんだんだなと感じましたし、そういう時間があった事をたまに思い出して大切にしきゃならないなと感じました。

なんだかよくわからないまとまり方になりましたが、のんのんばあとオレよかったです!

2011年03月26日

絵本「ぼくはおにいちゃん」「ぼくにげちゃうよ」-大枝佳織

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「ぼくはおにいちゃん」「ぼくにげちゃうよ」
絵本です。
本でなくて良いかしらとも思ったけれど、残念ながらここ最近で読んだ本があまり面白くなかった。
面白くなかったこともあるのだけど、この絵本は紹介したいと前々から思っていた。

短大で幼児教育を学んでから、本屋で時々気に入った絵本を買うようになり、気付いたら本棚に大好きな絵本が集まっていた。
その中で、「ぼくはおにいちゃん」は買った本でなく子供のころから大切に持っている本。
穴があくほど読み、全てのページに愛着がある。

いもとうようこさんの絵が温かく、優しく、沁み入ってくる。
5つ子の赤ちゃんのおにいちゃんになったノンタが、今までのようにお母さんにかまってもらえないとやきもちを妬き、赤ちゃんを捨ててしまおうと色々な捨て方を考える。
自分がかまってもらえないから赤ちゃんを捨ててしまおうというノンタには、何故だか親しみを覚え感情移入してしまう。
それぞれの捨て方を実行しようとする中で、赤ちゃんに対して新しい感情を抱き、お兄ちゃんとして自分が考えてしまっていることに気づく成長のお話。
赤ちゃんの捨て方も子供らしく憎めなくて可愛い。捨ててしまおうと悪い顔も、捨てられなかった情けない顔も、捨てて良いのか葛藤する顔も、何とも言えないタッチで描かれており、読んでいてどんどんノンタに心を奪われていく。
お母さんに言われるから、おにいちゃんになったのだからということではなく、あかちゃんに対して純粋に思ってしまう気持ちから、気付いたらおにいちゃんになっていたというところは、自然で無理がなくて好きだ。
最後に夕陽の中5つ子の赤ちゃんたちと手をつなぎ嬉しそうにお母さんの元に帰る姿は印象的で、何回読んでも涙が出てくる。

私に弟が出来た時に母が買ってくれていた本で、弟好きになったのはこの本が影響しているのかもと思う。気持ちが満たされる、優しい絵本。

「ぼくにげちゃうよ」
は、うさぎの親子の何とも何とも可愛いやりとりのお話。
いろいろなものになってお母さんから逃げてしまうよ、というプチ反抗期の息子うさぎに対しての、お母さんうさぎの返しが面白い。
お母さんうさぎも、息子うさぎのなるものに合わせて更に上をいくものになるというのだが、それが無理やりで絵が面白く笑ってしまう。笑ってしまう中に母うさぎの息子うさぎに対する深い愛情が伝わってきて幸せな気持ちになる。

2作とも、笑ってしまう、何だか憎めない子供らしい悪知恵が描かれているので単純に良い話ではなく、親しみやすく心の奥に残ってくる。

春にぴったりのこの絵本、良かったら是非。

2011年03月05日

桐野夏生著「ナニカアル」-山崎留里子(衣装)

私は本を読むのは好きですが、もっぱら図書館で借りる派です。
お金がかからない、というのはもちろんありますが、本がどんどん溜まって置き場所がなくなってしまうと困る、という理由が大きいです。

だから、好きな作家さんの新刊が出ているのを本屋で見ても、早く読みたい気持ちをぐっと我慢して、
「早く図書館で借りられるようになりますように」
と願って待つわけです。
人気があるものは1年くらい経たないと借りられないので、図書館に行って棚に並んでいるのを見つけた時の喜びはひとしおです。

桐野夏生さんは新刊が出たら必ず読む作家さんの一人。
次回のKAKUTA朗読公演、「グラデーションの夜」でも桐野夏生さんの作品が2つ、読本となっていますが、短編、長編ともに好きです。
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今回読んだ、「ナニカアル」も発売された頃から読みたいと思っていたので、借りられた時は嬉しかったです。

実在した作家、林芙美子を題材にした、ノンフィクションのようなフィクション。
どこまでが事実で、どこまでが小説なのかわからなくなりながらも、プロローグから引き込まれて、どんどん読み進みました。

昭和17年、「放浪記」などの作品で知られる女流作家・林芙美子は、陸軍報道部の嘱託となり日本軍の占領するインドネシア・ジャワへ。命懸けの渡航、記録を残すことを禁じられた日々。現地での、張りつく嫌疑と監視、愛人との再会、修羅場。

全てが生々しく描かれていました。
林芙美子の事は全然知りませんでしたが、これを読んで興味を持ちました。機会があったら「放浪記」なども読んでみたいです。

桐野夏生さんの作品の人物は、みんな人間の醜さを持っていて、リアル。でもすごく共感できる部分もあって、それが怖いけど惹きつけられます。

今回も読み応えがあり、期待通り面白かったです!

ああ、最近でた新刊「ポリティコン」も早く読みたい・・・たまには買ってしまおうか、と悩んでしまいます。

2011年02月26日

夏樹静子著「Wの悲劇」-高山奈央子

「女優!女優!女優!」

三田佳子氏の名台詞。

「顔ぶたないで。私、女優なんだから。」の薬師丸ひろ子主演の映画でお馴染み!

『Wの悲劇』

大好きな映画である。

昔から好きでちょいちょい何度か見ていてが、数年前、劇団フライングステージに参加させていただいた際、主宰の関根信一氏が大の『Wの悲劇』好き。その時に『Wの悲劇』三田佳子イズムを私の芝居にと、ちょいちょいそんな演出が出てきて、そこからめっきり『Wの悲劇』にはまっている。

そして、先日参加した文月堂で共演の瓜生和成氏も大の『Wの悲劇』好きだった。瓜生氏曰く「女優はあの映画を観なきゃダメだよ!!」と断言するほど。いつも『Wの悲劇』エチュードをして遊んでいた。(もしくは『ガラスの仮面』エチュードで)

そして、また映画を見た。

映画は、舞台女優を夢見る劇団「海」の研究生・薬師丸ひろ子が、劇団の看板女優・三田佳子のスキャンダルの身代りをして、それをチャンスヒロインに成り上がっていくストーリー。映画の劇団・海が公演している舞台が、原作・夏樹静子の「Wの悲劇」そのままメインストーリーとなっているわけですわ。

と、映画の『Wの悲劇』を何度も見ていながら、その舞台の内容はぶっちゃけ、よく知らない。

「私、おじい様を刺し殺してしまった!」


殺人事件が起きる。別荘の密室で。家族の話。ミステリーとは分かる。身代りが舞台と映画が被っているんだわ。

くらいしか原作の知識なし<(_ _;)>


前振り長すぎですが、そんなこんなで、これは読まねば!と夏樹静子氏の「Wの悲劇」を 読んだ。
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面白いΣ( ̄◇ ̄*)

ラストにくる素晴らしいどんでん返しにびっくり!法律も絡んだトリック。また女の業に悲しさが詰まる。 身代りする事に関して、背景にそんな複雑な事情が絡んでいたなんて!

純粋に楽しめ、あっという間に読破♪やはり面白いミステリーは寝不足になるわ…


が、読んでいても登場人物は映画の配役が勝手に頭に浮かび動き出す。しかも、「え!この役って舞台じゃめっちゃメインだったんだ!」とか「あの刑事、すごいデキル設定だったのか!!」と、映画じゃ舞台シーンは断片だから、映画でメインの役者のシーンしか出ないもんだから、いちいち変なところにびっくりもしてしまいました♪( ̄▽ ̄)ノ″

普通に「Wの悲劇」舞台版を見たくなりました!!あ、劇団・海のね( ̄▽ ̄)b


これを踏まえ、映画を再び観ようかと思います( ̄∇+ ̄)

2011年02月19日

R・シャルチエ著『読書の文化史』―制作・堀口

制作・堀口です。
今回はちょっとカタい本を紹介してみたいと思います。

Fumikuraとして朗読の企画に関わっていると、「読む」ということについて、あれやこれやと意識的になります。
「朗読」も読み方のひとつなわけですが、ふつうの「読書」とどう違うんでしょうか?
そんなことを考えているときに読んだのが、今回紹介する『読書の文化史』という本です。

著者のシャルチエさんは、「アナール学派」(ちょっと卑猥な響きです)というのに分類されるフランス歴史の研究者です。
この本では、読むということが、とても複雑なものであることが述べられています。とはいえ、主張はとても明快で、「読み方というのは人それぞれで、純粋に書かれたものを理解しているわけではない」ということ、「いつ、どこで、どういう風に読むかによって、解釈が変わっていく」といった点が、この著者の言いたい事なのではないかと思います。
たしかに、身近なところで考えてみると、電車に乗って読書するのと、喫茶店で読書するのと、寝る前にベッドで読書するのだと、頭の中に入ってくるものが違うように感じます。

でもって、この人の指摘をふまえて「朗読の夜」のことを考えてみると、KAKUTAの「朗読の夜」で取り上げられる作品は、本屋に行けば容易に入手し、読むことができるかもしれないけれど、「朗読の夜」でしか経験できない読書経験というものがあるということになるのではないでしょうか。
言われてみると、前回の朗読公演でポストパフォーマンストークに出ていただいた能祖将夫さんも同じようなことをおっしゃっていました。
また、観客のみなさんからも「小説で読んだことがあったけど、そのときとはまた違った感じだった」という感想も聞いたことがあります。
そんなことを考えてみると、当たり前といえば当たり前かもしれませんが、この本で言われていることはとても納得いく指摘だと思います。

現在、KAKUTAメンバーは「グラデーションの夜」に向けて、準備作業にいそしんでいます。
ぜひみなさんには「朗読の夜」でしか経験することのできない読書経験をしていただければと思います。


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2011年02月12日

神戸幸夫・大畑太郎著「ホームレス自らを語る」-馬場恒行

街で見かけるホームレス。
見かけるたびに『この人にはどんなドラマがあるんだろう・・・』って思ってたのね。
だって生まれた時からホームレスって人はいないわけで、何かのきっかけでホームレスなったんでしょ?
だとしたらそのきっかけは何なのか?
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この本でそれがわかったよ。
ギャンブルに狂って会社に行かなくなり、そのままホームレス。
奥さんが亡くなって自暴自棄になって持ってるお金を使い果たしてホームレス。覚醒剤に手を出して買ってるあいだにお金がなくなりホームレス。

人それぞれの事情でホームレスになってるんだね。

なかでも衝撃だったのが普通に働いた人がホームレスになってるんだよ。

社員寮に住んでて寮でボヤ騒ぎを起こして寮に居づらくなって勤続36年の会社をやめたら退職金は33万円。

33万円って!!少なすぎじゃねぇ!?
これが現実なの???

お金がないから保険も解約して合計133万円。

そこから日雇いの仕事をやってなんとか食いつないでたけど60歳を過ぎたら日雇いの仕事がまったくもらえなくなってホームレスになってしまった。

いや〜怖い。明日は我が身だって思うよ。

働いてたって年齢で仕事がもらえなくなって収入がなくなる。
だからホームレスになるしかない。


あるホームレスは言う。
『仕事がしたくても仕事をもらえない。住所がないから定職も見つけられない。年金もらうにも住所がないのにどうやってもらえばいいんだ。せめて住所だけでもほしい。』

切実な願いだよ。

これが現実にあるって事。
マジで将来が不安になった・・・。

2011年02月05日

進藤義晴著「新版万病を治す 冷えとり健康法」-原扶貴子

IMG_0582.PNG≪みなさん、健康ですか?≫
こんにちは!今回は実用書のご紹介です。

年明けからこの一ヶ月の間に、立て続けに病院へかかることになりまして(症状は改善されてきました、ご心配あいすみません)、
自分で治す方法をネットで検索したりしているうち、「冷えとり」という言葉に出会ったのでした。

文字どおり「冷え」を「とる」わけです。
体の不調は「冷え」からくるという東洋医学の発想のもと、本書「冷えとり健康法」は書かれています。
表面に現れている症状を直接取り除くのではなく、長年かけて体内に溜まったの毒を排除しなければ、根本解決にはならないらしいのです。
この東洋医学の考え方が自然にそった流れで、読んでいてとても腑に落ちたのでした。

「冷えとり」の基本は、半身浴、靴下の重ね履き、腹八分目、です。
足、下半身をとにかく温めること。半身浴なんて24時間やっててもいいらしいです。極端!
靴下は最低4枚を重ね履き。画像右から1枚目/絹の靴下、2枚目/綿の靴下、3枚目/絹、4枚目/綿。

初めて半月、今のところ、だからどうだという効果は良く分からないのですけど、
足を温めるってなんて気持ちのいいことなんだーということは実感中です。
足が温かくて気持ちいいと、落ち着くし、いろいろと安心するんですよね。
安心できた結果、自分の本分に心置きなく打ち込める。

「地に足をつける」という言葉の「地道にコツコツ安定した生活…」というニュアンスが昔からあまり好きではありませんでした。芝居なんかやめて百姓やれって言われてるみたいで。
だけどこうして足の安心感を知ると、
地に足をつけるってことは、三次元の世界で肉体を持つ私たちが高くジャンプするための踏み切りだと思えてくるから不思議。
「地に足つける」のは、まんざらでもないのかもしれないなぁと今日もせっせと絹の靴下を手洗いしながら考えたりしています。

「冷え」は心の持ちようからもくる、なんて記述もとても興味深いですよ。
なんとなく体や心が不調だわ…なんて方(男性も冷えるらしいですよー)、
これほんとにオススメ本です!

2011年01月29日

エイミー・ベンダー著「わがままなやつら」-ヨウラマキ

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外国文学が好きです。
と言うと、まるで外国かぶれみたいですね。
翻訳された文章の淡々とした感じとか、ここではないどこか、という感じが好きなんだと思います。

エイミー・ベンダーさんは中でも大好きな作家さんです。

今回ご紹介する「わがままなやつら」は短編集。
二週間後に死ぬと宣告された10人の男達の話や、大きな男に飼われる小さな男の話、七人のじゃがいもの赤ん坊のお話など、ちょっと魔法がかかったお話が多いです。
でもお伽話ではありません。
舞台は現実ですし、ちょっと暴力的な一面やえろい描写もあります。でもそれが淡々とした文章の力で、わりかしあっさりしています。嫌な感じがしない。
しかしそれに油断して読んでいると、そこに潜む行き場のない怒りや寂しさ、愛。そういった感情の渦が、ぐわっとこっち側にやってくるのです。
それは不意打ちなので、いつも面食らいます。
お日様を感じていたはずが、暗い海底に突き落とされた感じ。
でもこの刺激が病み付きになります。

実はこの作家さん、友人から「ヨウラっぽいよ」と薦めてもらったんです。
どこが私っぽいのかわかりませんが、私はこの本の登場人物になってみたいと思いました。

2011年01月21日

フィリップ・プルマン著「黄金の羅針盤」‐野澤爽子

とりわけ避けていたわけではないのだけれど、朗読企画チーム・Fumikuraのメンバーにもなったことだし今まで手をつけてこなかったジャンルにももっと興味を広げていこう!
そんなふうに思っていたらば、少々疎遠になっておりました。

でも、新しい年も始まったことだし、何より4月の朗読公演の上演作品が無事に決まった喜びにかこつけて(詳細については「Fumikura工房」にて随時お知らせしていきます!)久々にどっぷりと浸かっております。

C.Sルイスの「ナルニア国物語」しかり、歴史や宗教思想も背景に置いた壮大な世界観に震えるトールキンの「指輪物語」、実際の戦い以上に主人公の内面の葛藤の激しさに揺さ振られるル=グウィンの「ゲド戦記」しかり、井伏鱒二氏の訳の妙に心踊る「ドリトル先生」シリーズしかり、映画版にも熱を上げた「ハリーポッター」しかり。
やっぱり、やーぱっり!ファンタジー文学を読むのは楽しい!!

上に挙げた作品も映画やアニメと映像化されていますが、このフィリップ・プルマン著「黄金の羅針盤」も映画化され話題になりました。

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原作を読む前に映画を観てしまうのは楽しみが半減してしまうようでもったいなく未だに映画版は見ていないのですが、ついに読み始めた今、早くも気持ちがはやってTUTAYAのレンタルコーナーへ駆け出さんばかりの勢いです(笑) 

私の個人的な感覚なのかもしれないのですが、ファンタジー文学は一巻目の半分くらいまで読み進めるまでは大概ゆるやかなストーリー運びによもすると退屈してしまうことが多いのですが(かのナルニア物語もルーシーが洋服たんすから冬のナルニアへとやってきてタムナスさんと出会うまでが辛抱。)この「黄金の羅針盤」はド頭からトップギアでお話が疾走していて、良い意味で私のファンタジーの定説を打ち砕いてくれました。

そして、主人公の11才の女の子・ライラの勝ち気で“おてんば”と言えば可愛らしいけれど、その手に余るやんちゃぶりがこれまた新鮮なヒロイン像で良いのです。

好きなものを好きなだけ読む。
新しいジャンルに触れる面白みを知ったからこその至福の時をこれから展開していくライラの冒険と共に楽しみたいと思います!

2011年01月09日

北川歩実著「僕を殺した女」−若狭勝也

前回「金のゆりかご」から北川歩美さんにはまり、デビュー作
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「僕を殺した女」

二重三重のどんでん返しはさすが☆
しかし、「金のゆりかご」よりは、話の進め方が少し都合が良すぎる箇所があるかな・・・。

主人公の篠井有一は、ある朝目覚めると顔も体も全身女に変わっていた。
しかも、時間は5年後にタイムスリップしている。
ポケットには「ヒロヤマトモコ」という名のキャッシュカード。
そしてついに、以前の自分と同じ顔をした、自称・篠井有一が現れる。
一体、何が起きたのか?モザイクのように複雑に入り組んだ出来事は、やがて驚愕の全貌を明らかにする。

何故、女になっていたのか?SF?脳だけ入れ替えられた?
自分が篠井有一とういう記憶が間違い?

いろいろ考え、真相を明らかにしようとするのだが、
真相を知っていそうな人に会うのに、事情があって逃げたりする・・・。
何故逃げるのか、理由は書かれてはいるが、ともかくその人に聞いてみればいいのにな・・・?
と思う箇所が読んでるとあり、ちょっと話しの進め方が強引な気がしました。

ストーリーはやはり北川作品
「え?!どういう事?!はうあっ!」
と、ドンドン気になりのめり込み、
僕はこういう推理もののお話しは好きなんですけどね☆

先に「金のゆりかご」を読んじゃったからかな。

また別の北川作品を読んでみます☆

2010年12月24日

岩崎夏海著「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」-松田昌樹

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ミーハーでごめんなさい。「もしドラ」読んじゃいました。ベストセラー。恥ずかしい。

感想は・・・読んでよかった!!損しなかった!!と思えた本でした。恥ずかしい。

内容は、高校野球部のマネージャーが、勘違いからビジネス本を読み始め、その方法論を活用して野球部を甲子園出場まで導いていくという話。

フィクションなのですが、「うんうん」「そうそう」と思わず相づちを打ってしまい、夢中になって読んでしまいました。あっちゅう間。恥ずかしい。

多分ビジネス書として初心者のさらに入門編の入り口という感じで、誰でも簡単でわかりやすく、とっつきやすい内容ではないだろうかと思います。

うーんそれにしても今年を振り返る関連の番組で、この「もしドラ」が入ってくるたびに自分はミーハーだなと思いました。でも読んでよかったんだよなぁ〜とも改めて思いました。

KAKUKTAの朗読では絶対にないですが、「為になった!!」とはっきり言えます。

ビジネス書って(といっても今回は小説ですが)「人」というものを知るには、もしかしたらよいのかもしれません。
この本からビジネスって人をみなければいけないし、何かしらの形で人を幸せにしないと、成り立たないよと言われている気がしました。
「人」を見るという点では、演劇に通じるものがあるのかも。
KAKUTAの事だったり、今いる場所のことだったりをリンクさせながら読んでる自分がいたりして、やっぱ「人」なんだなぁーと思ったし、「人」と仕事するのは楽しいなぁーと思った1冊でした。

1日で読めますし、損しないとおもいます。ベストセラーすぎて強くおすすめするのは恥ずかしいですけど。よかったら。

2010年12月19日

読書日記番外編・井上雄彦「リアル」-横山真二

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僕が、小説や漫画の中で最も実写化して欲しい本です。
まだ、完結しておらず連載中の漫画で「リアル」という漫画があります。20代半ばから40代前半くらいの男性であれば、ほとんどといっていいほど、「スラムダンク」を読んだことがあると思います。バスケット漫画の超名作です。
連載が終わった後も、根強い人気で、SWICHという雑誌で、続編が書かれた程です。その作者の井上雄彦先生が手掛けている作品です。

内容はこれから是非是非読んで欲しいので、詳しくあらすじは書きませんが、高校を中退したバスケ少年や、病気で足を切断した車椅子の少年で車椅子バスケをしている少年、交通事故に遭って下半身麻痺になった少年など車椅子バスケに出会って変わっていきます。
描かれている内容はとても重いですが、物語を通して自分も色々考えさせられるし、幾度となく胸に突き刺さります。

まだ、完結してませんが、漫画喫茶など見かけた際には、騙されたと思って一度開いてみてください。色んな人に読んでもらいたい作品です。

何年か前にこの作品のあるシーンをモチーフに一人芝居を作りました。40分の大作です。当時、落ち込んでた大枝さんを励まそうと見せたら途中で寝られました。それ以降、誰一人見てくれませんが。
一人芝居は面白くありませんが、「リアル」は最高です。

2010年12月11日

百田尚樹著「永遠の0(ゼロ)」-山崎留里子(衣装)

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「永遠の0」のゼロは零戦のゼロ。
太平洋戦争中に日本が使用した戦闘機の事です。

基本的に、私は戦争を題材にしたものが苦手です。
小説、映画、ドキュメンタリー等、戦争ものは割と意識的に避けるようにしてきました。
戦争について知る事は大事な事だとわかっていながら、悲惨さや残酷さばかりが生々しく自分の中に長い間残ってしまって、読んだり見たりした後に後悔する事が多かったからです。

でも、今回この本を読んでみようと思ったのは、知人に薦められたからと、読んだという何人かの全員が絶賛していたからです。
「この作品は読んだ方がいい、読んでほしい」と言われて流されるように読み始めました。

読み終わってみて、本当に読んで良かったと思います。
戦争ものだからといって、いつものように回避しなくて良かったと。


終戦から60年目の夏。特攻隊で戦死した零戦パイロットだった祖父について調べるため、姉弟が祖父の元戦友たちに話を聞きに訪ねて回る事で物語は動いていきます。
それぞれの戦争体験や証言からだんだんと浮かび上がってくる祖父の姿。
凄腕を持ちながら、同時に異常なまでに死を恐れ、「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男は、なぜ特攻に志願したのか・・・


読み進むにつれ、どんどん引き込まれました。
元戦友たちの話に、実在していた日本軍人の実名がたくさん出てきたり、零戦の空中戦についてのリアルな話など、戦争や零戦に疎かった私でも、興味深かったです。
零戦が当時の日本の工業力で作られると思わなかった世界最高水準の戦闘機だった事や、真珠湾攻撃、ミッドウェー海戦、ガダルカナルなど聞いた事はあっても太平洋戦争の経過や実態について知らなかった事が多く、驚きの連続でした。

そして、当時のパイロットたちや特攻隊員たち、戦争に巻き込まれた日本人の苦しみやどのように戦い、生きたかが描かれていて、痛いほどに伝わってきます。
「十死零生」という言葉が何度も出てきて、万にひとつも助からない、確実に死ぬとわかっていながら特攻に行く人たちの気持ちを思うと、苦しくなりました。

ラストに近づくにつれ明らかになっていく謎、そして作品全体を通じて感じた大きな感動。


私のような、戦争の時代を知らない世代の人たちこそ読むべき、読んでほしい本だと思います。
平和のありがたみを忘れがちな今の時代だからこそ、戦争というものに向き合わなければいけないのかもしれないと実感しました。


改めて、この本を読んで本当に良かったです。
心から面白かった、と思える本に出会えた時は、読書する事の幸せを感じます。

2010年12月08日

リリー・フランキー著「ボロボロになった人へ」-佐賀野雅和

何年か前、世の流れに飛び乗り読んでみた『東京タワー』
それからリリーフランキーさんの本を読みあさった記憶がある。ほとんどがエッセイだったので朗読公演の参考にはならないなと気にしていなかったのだけど、ふとした時にたしか一冊短篇集があった事を思い出す。

早速購入。
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『ボロボロになった人へ』
著者:リリーフランキー
発行所:幻冬舎

読み始めて数分
異変が起こる

先が、わかるんです
物語の先がわかるんです

先がわかるぞー!

なるほど
はい
読んだことあるわ、これ

きゃー!やっちまった!
文庫本ならまだしも
ハードカバー2冊目購入!

ドンマイ×②

気を取り直して読みました
エロい!
重いっ!

だけど2回目でもスルスル読めちゃうんですよね

特に
『おさびし島』なんかは、「うわ〜」なんて思いながらも最後には、「だよね〜」ってな具合になっちゃうんですよね。

全6作品、それぞれが男性女性それぞれの目線からというのも面白いです。

きっと好きな人、嫌いな人、好みは二分すると思いますが、自分は前者です。

だったら読んだ事忘れるなよってツッコミは無しでお願いします。

オススメです。

おさびし島に行きたいです

ま、
どこでも一緒か…(笑)


佐賀野雅和

2010年12月03日

北川歩実著「金のゆりかご」−若狭勝也

KAKUTA次回朗読公演に向けて、本探しをしている時に、北川歩実さんの「もう一人の私」という短編集に出会った。

短編集の一つ一つ、二重三重のどんでん返しで驚かされた。

それから長編も気になって、
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「金のゆりかご」
を購入。

読み終えると「どういうことだったの?!」と、気になる事はないが、途中は頭が混乱していく。

「こういう事だったのか!」
と驚かされ、
「いや違う、そういう事だったのか!」
とまた驚かされ、
「えっ?さっきのも違うの?!」
と、まだまだ続く。

何重のどんでん返しだったろうか?

その度にハッ!となり、その度に辻褄も合っている。
のに、それもひっくり返す・・・。
「そこをひっくり返したら、この先、収拾つかないよ?!」
と思うが見事に計算されている。

北川歩実さんは、覆面作家らしく、プロフィールや性別も全く明かされてない。
科学や・医学知識を考えると男性なのかな?と思うが、とにかくもの凄い計算だ。

GCS幼児教育センターでは、「金のゆりかご」と呼ばれる機械で、生まれてから3歳まで、脳に良いとされる環境で天才を育てる。
グラフィックの模様を見せたり、音楽を聴かせたり。
小学生で東大の入試問題を解く天才の子供が何人も現れるが、子供が次々と精神に錯乱をきたした事件が浮かび上がる。
やがて、ある母親が失踪し、殺人が・・・。
先端科学に切り込む新感覚ミステリー。

天才の子供・・・、というかそれを書いてる北川さんが天才なのだろうと読んでて思う。

北川さんの他の作品も読んでみよう!

出会いがあるから“本探し”って嬉しいね。

2010年11月21日

夢枕 獏 著「神々の山嶺(いただき)」-大枝佳織

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「神々の山嶺(いただき)」
著者/夢枕 獏

ロマン。
この一言だった。

TUBEのアルバム「浪漫の夏」の影響を受け、大学受験の面接で好きな言葉、「ロマン」と答えたことを思い出す。
まさに、これは男のロマンなお話。

登山に精通しているわけでもなく、どちらかといえば興味などは全く無かったが、これは本当に面白い!
まさか自分が登山の話にここまで影響を受けるなんて思っても見なかった。
作者の「夢枕獏」さん、「陰陽師」の印象が強く他の作品の絵も取っ付きにくかった為、何だか敬遠していた。
夢枕さんを絶賛する人に勧められ、気が乗らないまま読んでみたが、読んで良かった。
読んだ後の数日はエベレストのことを考えたり、クレバスが足元にある様な気がして恐る恐る歩いたり、日常とは少しかけ離れたスリルある時間を過ごした。
壮大。まさに壮大。

主人公・羽生丈二が前人未到のエベレスト南西壁冬季無酸素単独登頂に挑むお話。
読むまでは無酸素がなんだか、南西壁がどうだかも良く分からなかったが、無知識でも、読み進めていくうちにルートによって難易度が大きく異なることや、冬季、単独、無酸素の厳しさなどが分かりやすく説明されており今では登山通になった感がある。
先日アルピニスト野口健さんが出演し無酸素単独登頂について話しており、私も「ああ、無酸素単独ね。」などと何だか身近に感じた。

「そこに山があるから」

エベレスト初登頂に挑んだジョージ・マロリーの言葉。
この名ゼリフも、この作品を読むまではパロディーやお笑いでしか聞いたことが無く、言葉自体の意味を良く知らなかった。

今ではこの言葉、何と素晴らしいロマン溢れる言葉だろうと胸が熱くなる。

話はこのマロリーの残されたカメラの謎と共に進行する。
マロリーの死については遺体からや遺品などから世界中で様々な論議がなされ、登頂前の死か登頂後の死なのかというところが大きな謎として残っている。
実話であることが信じられないくらい、ドラマな、ミステリーな話だ。。
壮大な雪山の中に一人で立ち向かう恐怖、休む暇なく自分を襲ってくる高山病の幻覚・幻聴、極限の中での描写で登場人物たちの心情がダイレクトに伝わってくる。
自分の悩んでいることや日々気にしていることの何と小さいことよ。
中日が日本一になれなかったことが何でしょう、若狭さんの空腹が何でしょう、松田くんの高音が何でしょう。
凍傷で手や足を次々と失っても山に挑む男たちには申し訳なくて言えないわ。いつも自転車で駅まで行ってしまう道、しばらくは歩いて行ってみようと思う。

2010年11月13日

吉田正樹著「人生で大切なことは全部フジテレビで学んだ『笑う犬』プロデューサーの履歴書」―馬場恒行

2010110423210000.jpgみんなの好きなお笑い番組ってなんだった?
オレは小学生時代に【夢で逢えたら】を見て、中学時代は【ウッチャンナンチャンのやるならやらねば】【ごっつええ感じ】を見て・・・。
って、ウッチャンナンチャンとダウンタウンの番組は全部見てた。
ウッチャンナンチャンとダウンタウンの番組がかぶってる時は片方は見て、片方はビデオ録画してまで。
そんな見てばかりだったお笑い番組の作られていく過程ってどんなもんかって全然知らなかった。
報道番組の裏側のドラマとかって結構あるけど、お笑い番組の裏側のドラマなんてないじゃない!?
だから、どんな世界なのかイメージが無いんだよね。
そんな裏側が描かれているこの本を読んで、お笑い番組が継続していく難しさがありありと書かれてる。
コントを主体としてるお笑い番組の継続の難しいさが。
人気キャラクターが生まれて、盛り上がって盛り上がって・・・マンネリ化していく。
お笑い芸人さんで番組の作り方は違うにせよ、こんなに熱く、苦悩を抱えながら作ってるんだって思ったよ。
なにより【ウッチャンナンチャンのやるならやらねば】【ごっつええ感じ】この二つの番組の終わり方って突然だったじゃない?
【ウッチャンナンチャンのやるならやらねば】は事故が起こってってなんとなく知ってるけど【ごっつええ感じ】に関しては全然知らなかった。
この事がわかっただけでも読んでよかったよ。
ダウンタウンのお笑いへのプライドがそこにはあったんですな。
芸人さんばかりに目がいくけど、その裏にはたくさんのスタッフさんがいる。
どんな世界でも同じなんだね。

2010年11月06日

山口誠『ニッポンの海外旅行』―制作・堀口

いつもお世話になっております。
今回紹介したい本は山口誠『ニッポンの海外旅行』(ちくま新書)です。
これまでの「だだいま読書中」とはちょっと毛色の違う感じですが、最近読んだ新書のなかでも、ほんとに面白かったので、ぜひ紹介させてください。

ぼくたちが海外旅行といって思い浮かべるのはどういったものでしょうか?
この本によれば、海外旅行というものが一般化してきたのは、ここ50年以内のことにすぎないといいます。
そうした短い歴史のなかでも、人々が思い浮かべる「海外旅行」観はつぎつぎに変化してきました。
観光旅行のかたちやイメージが、それを取り上げた観光メディアや社会的な背景のなかで、どのように変化してきたのかが、この本で述べられています。

取り上げられる事象も興味深くて、『地球の歩き方』、『何でも見てやろう』、『深夜特急』、猿岩石の「ユーラシア大陸横断ヒッチハイク」といったものから、現在のインターネットの口コミサイトといったものまでさまざまなです。
これらのものが当時の社会的な背景と結びつきながらも、海外旅行のあり方を決めてきたのかを明らかにしてくれます。

年末まであと二カ月をきりました。
お正月などに海外旅行を計画している人もいるかもしれません。
そんなときに、この『ニッポンの海外旅行』を手にとって、自分たちが計画しようとしている「海外旅行」というものについて、振り返ってみてはいかがでしょうか。

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2010年11月05日

よしもとばなな著 「デッドエンドの思い出」-原扶貴子

今抱いているこの感情を的確な言葉で、
もしくはそれ以上の錬金術のような方法でもって
言葉に置き換え、記すことができたら…といつも願ってきました。

私にとっての永遠の横綱は、やはり穂村弘氏。
初めて彼のエッセイを読んだ時には心底驚きました。
言葉にはできないけれど
それは如何ともしがたい様子で確かに私の中に存在していて、
ともかくはなんらかの形で表現できたらいいのになぁと願ってきた類いの感覚が、
すべて文字に置き換わっていたから。

そしてもう一人。
それがよしもとばなな氏。
彼女の場合は、
紡がれるセンテンスがそっくりそのまま私の感情という直結型ではないけれど、
別の表現であらわされたモアモアとした感情の塊が
形こそ違えど私の抱える塊とリンクする、
そういった感じでしょうか。

朗読公演の作品選びに奔走する日々、
恋愛小説を求めて、久しぶりによしもとばなな氏に手を出したのでした。

よしもとばなな著『デッドエンドの思い出』
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2003年初版なので、恐らく私は出版直後に読んでいるはずだから、
今から7年前に読んだきりのものだったのですが、
まぁ、ひさしぶりに心を持っていかれました。
7年前に描かれたものなのに、
最近、私が考える人の心の在り様みたいなものが詰まっていて、
本当に驚きました。
この本が出た時にその辺まで思い至ることができていたら、
私のこの7年間がもうちょっと楽だったのかなぁと思ったりして。

とはいえ、語り口が私一人称で、
あまり会話も多くなく、
≪語りがいて、登場人物がいて≫というKAKUTAの朗読の形には
ちょっと向かない気もするので、
読み本決定の一助になったというより、
自分へのプレゼントのような読書になったのでした。

5つの短編からなるこの本ですが、
ばなな氏自身が「これが書けたので、小説家になってよかったと思いました」とまで言い切っている「デッドエンドの思い出」と「あったかくなんかない」が好きです。

ちょうどこれから、
いちょうの落ち葉がふかふかに降り積もる季節ですし、
ぜひ読んでいただきたい一冊です。
いちょうの絨毯がなんなのかは、読んでからのお楽しみということで。

さて心が柔らかくなったところで、
朗読公演の読み本が決定するまでの読書百本ノックへ
勇んで戻ります。

2010年10月30日

乙一著「平面いぬ。」-高山奈央子

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昔、友人から『新作出た!と思って買ったら、私、持ってた本だった(笑)あげるから、読んでみてよ〜』ともらったのが、乙一の『平面いぬ。』

その友人は乙一好きで、私もススメられていたりしたが、なんとなくグロい印象を勝手に持っていて食わず嫌いになってました。

せっかくもらったし、、と思い何気に読み始めたのですが…すっかりハマってしまいました(^-^ゞ

その後も乙一はいろいろ読みましたが、この短編4編からなる『平面いぬ。』の中に集録されている『はじめ』と『BLUE』が大変お気に入りです。

ノスタルジックな『はじめ』、童話ちっくな『BLUE』。毛色は違いますが、思わず泣けてホッコリします。

なんで何かしら気が向いた時に、手にして読み返したりします。するとまた感じる箇所が違ったり。。同じ本なのに、読む時で感じ方が違うって、面白いですよねぇ。人によって、そう感じる本も違うだろうし。その時感じるツボで、今の自分の状態に客観的に気がついたりして…うぅん。面白いですよねぇ。これぞ読書の楽しみだわ、と近ごろ思います。

普段はミステリー長編好きですが、読み返すのは短編の方が多い気もします。私にとっては川上弘美もまさにそんな本です。

乙一の長編は『暗黒童話』のようにグロめなホラーもありますが、短編はホラーだけでなく、ファンタジーなものも多いので、グロいのが苦手な方でもまったく問題ありませんよ(*^-')b

ただ、『平面いぬ。』は短編といっても一話80ページほどあるので、眠りの前に読むと睡眠不足になります(笑)全部読みたくなっちゃうから。

時間のあるひとときに読む事をオススメします( ̄▽ ̄)b

2010年10月27日

島袋道浩作品集 「扉を開ける」-原扶貴子

こんにちは!
4年続いた歯の矯正治療が終わり、きれいな歯並びに生まれ変わった新生☆原です。
これからは口元を気にせず、笑えます。

さて。
わたくし只今、来年の朗読公演に向けて目下本探しの真っ最中。
その奮闘ぶりはFumikura『朗読の夜の作り方』にコツコツと記しておりますが。
奮闘の舞台はたいてい図書館か書店と相場が決まっておりまして、
毎日数時間は必ず立ち寄る日々が続いております。
こうなってくるとまぁ、正直、小説以外のものに目移りしてしまうことも多々あり、
朗読とは関係ない本を長時間立ち読みしている自分に驚いたりしています。

そんな切羽つまった心のオアシス本はこちら。
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≪島袋道浩-『扉を開ける』≫

島袋とかいて、SHIMABUKUさんと読みます。
現代アートの方なのですが、これがまぁ、ほんっとに面白い本なのです。
「空が海だったころ」という作品では、アルプスの山で魚の形の凧をあげています。
なぜなら、アルプスの山山は太古の昔、海底だったということから、
現在は隆起して山脈になっているアルプスを海底とするなら、
つまり山脈の上に広がる空はかつての海だ…という発想のもと、
空に魚の凧をあげるわけです。
それも現地の人人があげるんですよね。
この現地の人との共同作業もSHIMABUKUさんの魅力のようです。

そのほか、目からウロコな発想の作品がざっくざく!
ああ、文字にするとその面白さが半減してしまうのだろうなぁ。
みなさんがご自身でページをめっくてみてほしい!

読み本探しの最中、
読んで面白いと思うその仕組みってどんなものなのだろうと考えたりもするのですが、
まさしく
心の「扉を開け」てくれるかどうかなのですよね。
普段の生活の中で当たり前だと思っていることに風穴を開けられた時の爽快感はたまりません。

いろんな意味での息抜きにちょうどいい本かと。
ほかにも現代アートコーナーは私の大好きなあの人もいますよ。
芸術の秋、どうぞー!
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2010年10月16日

是枝裕和著「小説ワンダフルライフ」-ヨウラマキ

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作者の是枝裕和氏は、映画監督です。
この作品も実は映画の小説版です。
私とこの本は、1999年、ノストラダムスの大予言の年からのお付き合いです。
このお話の舞台は、死んでから天国へ行くまでの一週間を過ごす施設です。登場人物は死者たちと職員。死者が天国へ旅出つには、記憶を選び、それを施設の職員の手によって映像化し、観ることが必要になります。
選ぶ思い出は十人十色。赤ん坊のころや、恋人との思い出、中にはおしいれの暗闇などさまざま。視覚だけでなく、聴覚、触覚、嗅覚なども細かく再現しなければなりません。だって、天国に持っていける唯一の記憶なのですから。
彼らは全員死者です。でもこの小説にいる人物たちは、みんな生きています。そのちぐはぐさが心地よいさみしさを醸し出し、作家の柔らかい文体が、私をやさしく包んでくれます。突き放されたような、くるまれているような、あいまいな空気がこの作品にはあります。そこが好きです。
そしてなにより、望月という職員さんが素敵なんです!こう、穏やかで影をしょっている感じとか、文学青年的な感じとか、しおりという職員が淡い気持ちを抱くのもうなずけます。実は彼には、秘密があったりするんですけど、それは読んでのお楽しみです。因みに、映画版ではARATAさんがこの役を演じていらっしゃるんですが、堪らなく素敵です。
そして何よりおすすめしたいのが、この本を読んでからでも、読む前でもいいので、映画版も観ることです。配給会社の回し者ではありません。視点がかなり違うので、二つとも個別の作品として楽しめます。その違いを体験するのもおもしろいです。
ちなみに今回わたしは、映画→小説という流れですすんでいます。今ちょうど、小説の水曜日が終わりました。

もし私ならば何を選ぶだろうか?と考えながら読むけれど、毎回選ぶことができません。それは私が今も息をして生きてるからかもしれないし、死というものが遠くに行ってくれたからかもしれないです。

2010年10月09日

実家で見つけた「わたしのグランパ」‐野澤爽子

わたしの実家には居間と昔私が家を出るまでの間、自分の部屋として使っていた四畳半の和室のそれぞれに壁に埋め込むような格好で二重の可動式本棚があります。
私の部屋の本棚には絵本や児童向けの本がぎっしり入っており、ドリトル先生シリーズやナルニア国物語、大草原な小さな家や赤毛のアンなど繰り返し何度も読み返すほど夢中になって読んでいました。

けれど、残念なことに居間に置かれている本棚の方にはほとんど興味を向けることがなく、結局どんな本があるのかも良く知らないまま私は25才で実家を出ることに―。 

父や母が読む本だから。

どこかで自分が好んで読む本とは違うような気がして分けてしまっていたんだと思います。

ところが先日、久しぶりにゆっくり帰った時に居間の本棚を見て見れば、面白ろそうな本がザクザク並んでいるではありませんか(笑)

父や母が一体どんな本を読んでいるのか?

自分と分けていた興味が今更ながらつながってフツフツと沸いてきました。

で、まず手に取ったのがコチラ。
筒井康隆著「わたしのグランパ」

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いやーなんだろう。
この駆け抜けるような爽快感は。
お話し自体はとてもストレートな構成なのだけれど、孫娘の前に突如現れた刑務所帰りの祖父の侠気に惚れ惚れしながら引き込まれていくのです。
普段は本を読むスピードが人の倍かかる私が自分でもビックリするほどあっという間に読み終えてしまいました。

遅れてやってきた居間の本棚物色ブーム、これからしばらく続きそうです。 

2010年09月25日

伊坂幸太郎著「終末のフール」-佐賀野雅和

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マサでございます

最近、誰かと会話する度にこんな質問をします。

『本とか読む人?』

そんな流れで知り合いに薦められた伊坂幸太郎さんの『終末のフール』を只今読書中でございます。

家で本を読んでいると、決まってうちの猫が寝よう寝ようとしてくるのでもっぱら電車の中での読書です。

家の猫は本と歌が嫌いです
歌を唄うと騒ぎだし
飛び掛かってきます

特に平井堅が嫌いです

2010年09月18日

「おにいちゃんのハナビ」-横山真二

先日、実家に帰省しました。
僕の実家は、新潟県の小千谷市というところにあります。
記憶に新しい、中越大震災があった地です。
我が、小千谷市は結構広いんですが、その一角に片貝町という小さな町がある。
片貝町は「花火」で有名な町です。
「四尺玉」というギネスブックに載るほどの大きな花火が毎年9月の9日10日の片貝祭りに打ち上がるのです。
「四尺玉」だけではありません。成人や還暦だったり、出産や入学だったり様々な思いを込めて、片貝町の人は花火を打ち上げます。
僕は片貝町ではないですが、学生時代片貝町に何人か友達がいました。本当にこの町の人達は花火に命賭けてるといっても過言ではない印象です。

僕は、片貝祭りというと告白。「祭り」=「告白」みたいのが自分の中にあって毎年振られてました(笑)
四尺玉と共に告白をする。
2週間前には、小千谷祭りという大きな祭りがあり、「祭り」=「告白」という方程式なので、大抵ここで一度振られている。
同じ相手に告白するならまだしも、何を考えてるか別の女の子にアタックしてしまうのだから、アンポンタンだ。
狭い町だ。当然、小千谷祭りの振られ情報は出回っている。
そんな状態では、いくら世界一の花火の演出があろうと毎回砕け散っていた。そして、方程式は「祭り」=「告白」から「祭り」=「彼女」とは最後まで変わらなかった。

今回の帰省で、高校生依頼十数年ぶりに片貝祭りに行ってきました。久々に見た片貝花火はやっぱり凄かった。
込み上げてくるものがあった。

片貝祭りと共に小千谷中の話題になっていたものがある。それがこの「おにいちゃんのハナビ」だ。映画化されて、もうすぐ全国に公開されるとのこと。

この「おにいちゃんのハナビ」の舞台になっているのが、小千谷市の片貝町なのである。
片貝町にある事情で引越してきた家族、そして兄妹の実際にあった話である。兄が妹のために花火を上げる。
僕にも妹がいるが、同じ兄でも片貝祭りでのエピソードは大きく違う。
同じ花火を見ていも思いだったり、感じ方は人それぞれ違いいろんなドラマがあるんだなとしみじみ思いました。(僕のドラマはアンポンタンですが)

僕は、片貝花火を見て、そして東京に戻る電車の中でこの本を読んだ。花火の残像が頭にあり、町の情景が鮮明にあり、描かれている町の人達のことも理解が出来る状態で、なんとも贅沢なシチュエーションでこの本を読んだ。
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こんな形でこの本を読めるなんて幸せだなって思いました。
本読む時間や場所はほとんど自分で決められる。
この「おにいちゃんのハナビ」も違った時間、場所で読んでいたらきっと印象は違っただろう。

旅の途中に、その地に因んだ本読むなんて、なんて文学的なんだろうとニヤけてしまいます。

家族に、兄弟に会いたいって思える作品です。
もうすぐ映画が公開されますし、本と映画を両方楽しむなんてのありかもしれません。

2010年09月07日

「ご新規熱血ポンちゃん」-桑原裕子

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近頃ワタシ、ビューティー・ストレートヘアを維持するのに必死である。
長く同じスタイルでかけ続けていたデジタルパーマをやめストレートにしたら、
毛先が痛んで陰毛のようにうねっているのがショックで、
「ティモテ~ティモテ~♪」
懐かしのメロディに乗せ、せっせとトリートメントをはじめた。
お陰で以前に比べ少しばかりサラサラになり、
そうなると自分の美しい髪(でも毛先はまだバッサバサ)が愛しくなり、
90年代のワンレンギャルの如く、むやみに髪をかきあげたくなる。
荒々しくかきあげた髪が、はらり自分の耳元に落ちてくるとき、
うっとりと、ほんのちょっと「山田詠美気分」になる。
世慣れたいい女。それが彼女へのイメージだ。

山田詠美はもちろん若い頃から知っていたけど、
当時はちょっと「手の届かないお姉さん」という気がしていた。
その印象のままいたからか、何作か読んだことはあったはずなのだけど、
自分に投影して読んだことはなく、憶えている作品も少ない。
だけど今さら彼女の人気エッセイ「熱血ポンちゃんシリーズ」を読みたくなったのは、
若手小説家の登竜門、芥川賞の選評がきっかけだった。

直木賞・芥川賞は、故・井上ひさし氏をはじめ、
私の好きな桐野夏生、川上弘美と名だたる人気作家が選考委員をしており、
その選評を読むだけでも面白いのだけど、
選考委員の個性もその評の語り口に出ているので面白い。
(ネットでも見れるので是非読んでみてください)
なかでも山田詠美の選評は、誰よりも単刀直入でピリッと辛口、そして痛快。
都知事の偏見に満ちた高慢な選評よりよほど説得力があり、
思わず吹き出してしまうものさえある。

それで、本当に今さらではあるが、「山田詠美を知りたい」と思った。
もちろん作家の彼女を知るなら、
「放課後の音符(キイノート)」など代表作を読むのが良いのだろうけど、
山田詠美個人にまず興味が沸いてしまった。
そこで、彼女のエッセイ「熱血ポンちゃんシリーズ」。
男の子と酒と文学が大好きで、豪気に酔いどれ、破天荒に生きる
通称「ポンちゃん」、あるいは「エイミー」と呼ばれる山田詠美の、
「ビバ自分!」な日々を綴ったものだ。

今までエッセイというものをいくつも読んできたつもりだけど、
エッセイってここまで自由にとめどなく書いても良いんだね、
と目から鱗が落ちるほど、彼女のエッセイはあちこちに話題が飛ぶ。
同じ話を何度も繰り返しているときもあれば、
相変わらず似たような日々が綴られていることも多く、
ここを狙おう、と「定める感じ」が不思議なほどない。
だから読みやすいというのとはもしかしたらちょっと違うのかも知れない。
時々ついていけないものもあれば、読み飛ばしてしまう部分もある。
だけどそれも自由じゃん?と言わんばかりに、彼女の話題は次から次へ、
待ったをかける間もなく移り変わっていく。
この感じ、何かに似てるなーと思ったら、
女友だちと朝まで長電話してしまうときの感覚に似てるんだと思った。
あるいは、彼女が好きな行きつけのバーで、時間の制限なく
ワインや焼酎をあおりながら、ダラダラとお喋りを続けているような感覚。

私はこう見えてお酒が飲めない。
そういうとみんなに驚かれるのだが、まったく飲めないわけじゃないんだが、
学生時代に飲んだくれすぎて、散々失態をさらしてしまい、
お酒は楽しむもの、という概念が芽生える前に、
「飲んだら大変な目に遭う」という教訓がすり込まれてしまったのだ。
だけど、お酒を飲む場にいるのは嫌いじゃない。
だから、彼女の好きな酒場に自分も行きたくなる。
それでももし飲めばやはり正体をなくし、またも失態を晒し、
「バラ、江頭みたいになってるよ」と言われ、
翌日は声がこれっぽっちも出ないくらいの廃人状態になってしまうだろうから、
私はコーラで良いです、と日和った声で言ってしまうかもしれないけど。

行きつけのバーもない私だけど、酔いたい夜もある。
飲んでクダを巻き、バカ騒ぎをして、明け方は男の子の膝枕で寝たい時がある。
そんな時は彼女のエッセイを読もう。
サラサラヘア(しつこいけど毛先はバサバサ)をかきあげつつ、
いい女とダメな女の仲間入りをした気分で、アイスココアを飲みながら。

2010年09月04日

重松清著「その日のまえに」-若狭勝也

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重松清著「その日のまえに」

普段から常に本を読むタイプではない僕ですが、ただいま来年のKAKUTA朗読公演に向けて短編を探しております。

8月、夏。“読書の夏”でした・・・。
いや、9月。まだ夏ですね。あっちい。
そして、まだまだ本探しは続きます。

本屋さんをプラプラ、ブラブラ、行ったり来たりしていたら、
「(テレビ)王様のブランチで大絶賛!」
の帯に目が留まり、へえ~と手に取って買ってみた。
どうやら、2005年のブランチブック大賞を受賞しているらしい。

7編からなる連作短編集。
どうやら“泣ける”らしい。
泣ける作品は特に嫌いではないけど、
“泣ける”という“フレ−ズ”にはあまりピンとこないので、一旦、買うのを躊躇した。
読みながら“泣ける”を意識してしまいあまり物語に集中できなかったりする。

そろそろ泣けるシ−ンかな?
ここかな?
もう読み終わるけど、まさかさっきのシ−ンだったりして・・・?
はうあっ!まっ、まさか、泣ける作品なのに僕は読解力がないから泣けない・・・?
確かに泣きそうになったけど、俺は泣かないぜ!と無意味に意地を張ったり。

“泣く”は自分のコントロ−ル出来ないものとして、そっとしておきたい。
泣き待ちはしたくない。泣く為に読む訳じゃない。

いろいろ考えてしまう。

作品探しの今は、いろいろな本が家にあるので、この短編集の一作品を読んだら、また別の本。
本はランダムに、一作品づつ読んだりしている事もあった。

『その日のまえに』は連作短編集で、中のタイトルが、
「ひこうき雲」
「朝日のあたる家」
「潮騒」
「ヒア・カムズ・ザ・サン」
「その日のまえに」
「その日」
「その日のあとで」

本屋でチラッと見た時に“家族の死”とあったので、最後の3作品が気になった。
泣けるらしいのは、おそらくここからだろうぜ・・・。
まあ、“死”を扱ってるので、泣けるのであろう。
別に、避けていた訳ではないのだけど、「ヒア・カムズ・ザ・サン」まで読み終えて、別の本の短編に移行した。
何故だろか? たまたまだと思う。

で、残りを最近読んだ。

まあ、泣きましたよ。

ええ~~と。

あのね。号泣しましたよ。

あ、涙って“味”がするのを忘れてた。鼻から、喉の方に入ってきて、“涙の味”がした。
こんなに泣いたのは、久々なんだね。
この前はいつだったろうか・・・?
おそらく随分前のような気がする。

“家族の死”
必然と、亡くなった父を思い出す。
そんな予感は読む前からしてた。
亡くなった父自体の事だけではなくて、細かな日常、生活も思い出した。

どう動いて、1秒1秒どんな事を思って、どんな些細な日常会話をしたか。
父がプ−ルのすべり台で、頭から勢いよく滑り、プ−ルの大学生くらいの監視員の人に、
ピ!ピ!ピッ!ピィー!ピィーー!!
と笛を吹かれ、中学生のように怒られていた事。
何でもない日常、生活。

何故忘れてしまうんだろうと思う。

忘れない事もある。

右前に弟が居て、その奥に母が居て、正面に妹夫婦が居て、親戚もいっぱい居て、
まだ亡くなってないのに、母と叔母が16時を過ぎて葬儀屋に電話したら、
お通夜が1日先になるから、今のうちに連絡しとく?と話していた事。
泣きながら、僕もその方がいいだろうと思っていた。
不謹慎だなんて思わなかった。
叔母も泣いていて、そういえば、葬儀屋に電話してくれた事に、僕はありがとうと言った。
まだ生きてたけど・・・。
かろうじて生きてる、動かない意識のない父に
「ありがとう。お父さんの息子で良かった。」
と、耳元で言ったら、父の目から涙が出たこと。

もうすぐにでも亡くなる。16時を過ぎた。

全て覚えておきたい。忘れないようにメモしようか。 昨日、読み終えた時にいっぱい思い出したのに、この時点でもう全部は思い出せない。

まあいいか。また思い出した時に思い出そう。
また「その日のまえに」を読んだら、思い出すだろう。

重松さんも大切な人を失った事があるのだろう。
そりゃそうか。47歳だもんね。

「その日のまえに」
には、細かい日常、細かい生活がある。
普段、時間に追われて先の事を考えたり、過去を考えたり、気がつかない時がある。
些細な日常、生活、 “今”の大切さ、素晴らしさを思い出させてくれる。

忘れたら、また読もう。

【追記】最初は“連作短編集”じゃないよなあ〜と思っていたが、
なるほど!はうあっ!連作短編集でした。

2009年10月13日

何度も読み返したい「ホテル カクタス」―山崎 留里子(衣装)

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私は意外と読書家です。
あまりそう見られないのですが(何故?)、年間50~60冊は本を読んでいると思います。
とは言っても、あらゆるジャンルの本を読んでいるわけではなく、気に入った作家さんの作品を端からどんどん読んでいく、といった感じです。

今回読んだ、「ホテル カクタス」の作者、江國香織さんも好きな作家さんの一人。

実は、「ホテル カクタス」を読むのは今回が3度目。
昔の私は、あまり新しい本に手を出さず、家にあるお気に入りの本を繰り返し何度も読む、という事が多かったように思います。
でもここ何年かは、自分で本を買わずに図書館で読んだ事のない本を借りては読む、という事がほとんど。
そうなると、面白かった作品も返却してしまうと自分の手元にないので、同じ作品をもう一度読む事が少なくなってきました。

でも、江國香織さんの作品は2度目に読んだ時の方が面白いものが多いと思います。
もちろん1度目も面白いし、これはあくまで私の個人的な意見ですが。

その中でも、「ホテル カクタス」は大好きな作品で、2回は図書館で借りて読み、今回久し振りに読み返すにあたって文庫本を購入しました。

3度目もやっぱり面白かった。

「ホテル カクタス」という変わった名前のアパートに住んでいる、帽子ときゅうりと数字の2が主人公の不思議な設定の物語。
特に大事件が起こるわけでもなく、それぞれ個性的な3人(?)の友情や日常が綴られているのですが、「大人向けの童話」といった感じで、読んでいると普段忘れている何か大切なものを思い出させてくれるような温かい気持ちになります。

初めて読む本を、「この先どうなるの?」と読み進むのはワクワクしてもちろん楽しいですが、以前読んで面白かった作品を改めてゆっくり読み返すのも、読書の楽しみだと思います。

2009年10月07日

「本と私について」―佐藤滋

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僕は本が好き…だと思います。
でも僕が今までの人生で読んできた本の数は、決して自慢できるほどではありま
せん…。だから、趣味が読書だなんて恥ずかしくて言えないですし、自分の好き
な作家を語って、と言われてもなかなかうまく答えられないのです。

だけど、夢中になっている読みかけの本がポケットの中にある時、僕はむずむず
としたこそばゆい気持ちを感じます。
幸せ…そう表してもよいかと思います。

**********

桐野夏生さんの『残虐記』を読みました。

横山君も全く同じ時期に読んでいたのは…単なる偶然か…それとも…シンクロ…
なんて大げさなことではなく(^_^;)バラと三人で話している時に、バラに薦めて
もらったのです。

もともと僕は好みが偏ってるし、興味のないものにはトコトン興味をしめさない
、ちょっと頑固なところがある(←もったいない)と自覚しています。例えばコ
ンピューターゲーム(言い方自体が古すぎ)は一切やらないし…。
本も同様で、サスペンスやホラー、ミステリー、推理小説とよばれる類はほとん
ど自分から手に取ったことが無かったのです。KAKUTAの前回公演『帰れな
い夜』の本選びの時、初めて本屋のホラーの棚の前に立ったほどです。

初めて、桐野夏生さんの作品を読みました。

正直に告白すると、僕は始まって16ページで一度本を閉じてしまいました。し
んどくて。…ついていけるのだろうか、とすら思いました。で、1日置いてもう
一度読み出したら、そのまま一気に最後まで読んでしまいました。
僕が感じたことは…
読んで良かった、ということです。
僕のように読書量も少ない人間ならなおさら、一生の中で出会える本の数はたか
だか知れていて、で、この本に出会う人生と出会わない人生があったとしたら、
出会うことができて良かった。

誰かの作品を、サスペンス、ホラー、ミステリー、などと分類するのは本当に便
宜上のことであるんだなって今改めて思っています。
なぜなら僕は『残虐記』を読んで感じているこの感覚を、なんとジャンル分けし
たら相応しいかもわからないからです。
初めこそ、僕はこの世界の生々しさに顔を背けたくなり、思わず本を閉じました
。でももう一度本を開いた僕は、桐野さんの作品の中に流れている何かに、確実
に引きつけられていたわけです。

これから僕はもうすこし桐野さんの作品を読んでみようと、今そう思っています

2009年09月24日

裏社会が知りたくて 『歌舞伎町案内人』―馬場恒行

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それは『帰れない夜』をスズナリで公演している時、マチネ、ソワレの間の休憩時間。
駅からスズナリに向かう途中にある古本屋さんにフラッと入った。
その古本屋さんは『ほん吉』なんとも言えない・・・掘り出し物がありそうなニオイがするお店。
そんなお店で目にとまって立ち読みをしたのが『歌舞伎町案内人365日』って本だった。
歌舞伎町で働く男が○月○日に起こった事を綴っている本いわゆる日記ね。
読み途中だったが集合時間が近づいてきたので劇場に戻ったのだった。

それから数ヶ月・・・裏の世界を知りたいと思った時、この本を思い出した。
しっかり最初から読んでみたら「分かってるよね?」って感じで書いている。
この『歌舞伎町案内人365日』はブログを本にしたんだって。
で、ちゃんとブログじゃなくて書いた本があるって言うんでその本を購入。

『歌舞伎町案内人』著:李 小牧
ノンフィクション作品で中国人の李 小牧さんが日本に来て、職を転々としつつ歌舞伎町で最初の中国人案内人(キャッチ)になり、生きていく話。
新宿はよく行く街だし歌舞伎町に【恐い】ってイメージはまったくなかった。
でも、李さんが体験してきた歌舞伎町はオレが触れてきた歌舞伎町とは全然違う。

この本のイイところは出てくるヤクザが、みんながみんなかっこいいヤクザではないってとこ。
映画や漫画に出てくるヤクザってかっこいい人ばかりでしょ?
オレも憧れちゃうもの。
だけど第三者が見た本物のヤクザはせこくて、ダサい。(全員ではないけど)
実際に会って、話して、関係(李さんはケツ持ちの方)を持たないとわからないことだよね。

【歌舞伎町には表の顔と裏の顔の二つある】
歌舞伎町がアジアで天国のような場所であると思われてて、
外国人観光客がネオンで光る街並みをパシャパシャとカメラで撮っている姿。

そしてビザが切れた(学生ビザとかで日本に来た人)不法滞在者が犯罪に走る。
お金ほしさに簡単に人を殺しちゃう・・・。
現実は案外近いところで犯罪があるって事。

『歌舞伎町ってどんな裏の顔を持つ街なんだろう?』
この本を読んだら、今まで何度となく降り立った街「歌舞伎町」が違って見えた。
どちらが表で裏なのか・・・。
けしてカタギの人間が踏み入れてはいけないギリギりの領域まで行きたくなる人もいるかも知れない。

2009年09月19日

松本清張、『或る「小倉日記」伝』-原扶貴子

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しっとりと、こんにちは。
今日はもう19日。
そう、北九州リーディング初日からはや一週間たったわけです。
東京に戻ってきてからの一週間と、北九州にいた一週間、
アインシュタインもびっくりの体感時間の差です。北九州での時間は濃密だったなー。
そして、こうしている間にも、北九州では北九州の時間が流れている。
しかし、そこに私はもう居ない…こんな書き方で、己の感傷を無駄に煽ってしまうほど、北九州での時間は充実したものだったのです。
もちろん、北九州の「甘い丘」を経て、KAKUTA「甘い丘」へ向けての期待と気合は十分です。

そんな稽古漬けの日々の中、さぞや台本と首っ引きだったろうよと想像される方もいらっしゃるかもしれません。が、私はそうなると途端に視野が狭くなってしまうタイプの役者なので、一日のわずかな時間でも、深呼吸して自分をリセットする時間を作るようにしています。
そんな時に最適なもののひとつは読書。
せっかくなので、滞在地である小倉(こくら)にちなんだものはないかと書店を物色したところ、ありましたよありました!!


『或る「小倉日記」伝』 松本清張著


松本清張氏は小倉出身の作家で、小倉城のそばには記念館も建てられており、また今年がなんと生誕100年目とのこと。適時打。タイムリー。
お恥ずかしながら松本清張は未読だったので、ズバリ今がその時でしょう。

「黒革の手帳」「点と線」などドラマ化されたもののイメージで、このお話もミステリーの類かしらとよみはじめたのですが、芥川賞受賞はダテではありませんでした。

今この本を読んでいる、この小倉の地を耕作が奔走し、鴎外を追い続けたと思うと、カフェのイスに腰掛ける足元にも力が入ります。
これぞ、小説の舞台となっている土地で読書する醍醐味でしょう。

そして思うのは一市井の幸せってなんだろうということ。
夜空にたったひとつ燦然と輝くシリウスは素晴らしい。
そんなシリウスのように、世の中に認められた唯一無二の天才というのにはとても憧れる。
けれど、大多数の人間はそうはなれない。
それでも自分なりの意義を見つけて生きていかなければならない。
懸命に生きる地上の何万の人たちが燃やす命を客観的に見ることができるならば、それはきっと無数の星々が輝く夜空のようにとても美しいに違いない。そう思いたい。

そんなことを思いながら、読み終えたこの本を鞄にしまい劇場へとつづく橋を渡ると、その欄干には「おうがいばし」と書いてあった。
その瞬間、鴎外の足跡を見つけるたびに高揚した耕作の気持ちが、鴎外という文豪が暮らした町で創作を続けた清張の気持ちが、胸に押しよせてきた。

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2009年09月17日

新規開拓「若くない日々」―高山奈央子

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日ごろ、ミステリーばかり読んでいる私。この数ヶ月は今更ながら伊坂幸太郎に
ハマりもっぱら伊坂を読み漁っておりました。

たまには新規開拓しようか…

この甘い丘稽古前の時期に何か読みたいわ…
読んだ事ない作家さん。できれば女性作家さん…
そんで甘い丘にちなんで、いろんな女性が出てくる話がいぃなぁ…

と、そんな漠然とイメージだけ持ちフラりと本屋へ。

そして、ズラリと並ぶ文庫新刊コーナーにてふと目についたのが、

~もう若くはない女たちの、やりきれないけど愛しい日々~

なる、帯の文字。。
おぉ。女たちの話だわ。女性作家だし。いいやも。と、何の前知識もなく、

『若くない日々』藤堂志津子著

読みました。

短編5本は、すべて50代独身女性のそれぞれの話。

50代か…渋すぎたか?と思いつつ読み始めました。

いやいや、そんな事はございませんでした。

確かに、歳を重ねる事による考え方に、恐いな…と感じる部分はありました。し
かし、個人の癖のような精神的なものに共感し、女としていくつになっても変わ
らないものはあるのだなぁ、と感じ、また、その対処する術に学んだり。

おそらく長編でこの手の内容を読んだら、重い気持ちになってしまったかもしれ
ませんが、短編で5人の女性の癖を垣間見つつ楽しめました。

特にラストの『オープニング』にある、自分が忘れようと封印していた記憶、嫌
な想い出が、ふとした瞬間によみがえってしまう流れの描写。ああ、分かる。と
、すごく共感してしまいました。決して表には出ないけれど、自分の中では身悶
えするような、あの感覚…。私的にはズバリな描写でした。

藤堂志津子さんは恋愛小説が有名らしいです。今回は恋愛話ではなかったので、
恋愛の女性心理描写をどう書かれるのか気になったので、今度読んでみたいと思
いました。


そして、この本を読んで感じたのは『今をしっかり生きねばな』という事でした
。別にこの本、教訓めいた内容ではないんですがね。。。

時ってもんは、どうしたって流れていくし、必然的に歳はとる。今抱えてるもの
も、時が流れてどう感じるか分からないし、分からないんだったら、悩んでも仕
方ない。歳を重ねたら重ねたで、その時に抱えるものが、出てくる。だったら、
その時をしっかり生きないと、もったいない。振り返っちゃう事があっても、そ
の時しっかり生きたと思えば後悔しないはずだからなぁ。

なんて。なぜかそんな事を漠然と感じてしまいました。

また時が経って歳を重ねて読んだらきっと違う感覚になる本なんだろうと思いま
す。40、50、60…と、また忘れた頃に読んでみたいですね。その時自分は、何を
感じるのか。それもまた恐いような、楽しみなような気もします。。。

2009年09月11日

「残虐記」 に魅せられて―横山真二

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私が読んだ本。
「残虐記」 著:桐野夏生

なんだか凄まじいエネルギーの詰まった本です。
文庫サイズで250ページちょっとの小説です。

普段本をそんなに読まない自分ですが、1日で全部読み終えました。
というか止まりませんでした。
何か取り憑かれたように一日中読んでました。
普段、こういった小説を読み終えるのに大体5日以上はかかります。
それは単純に、読む時間がないとかそういうことではなく活字を長時間読むということに自分が耐えられなくなったり、集中力だったり、体を動かしたくなったりするのだろう。

「残虐記」という本は、ある作家が”自分は少女誘拐監禁事件の被害者だった”という驚くべき手記を残して失踪したところから物語が始まります。

当時少女だった頃に、男に監禁された1年と1ヶ月と2日の過去を赤裸々と綴っています。

本を読んでいくにつれ気持ちはどんよりしたものになるし、気持ち悪くなったりもするし、嫌な気分になったりもする。でもこの話の展開が気になって仕方がない。
面白いとはまた違う感覚。興味深い・・・。興味深いなどと言っていいものなのか困惑する。


この手記は、有名な「新潟少女監禁事件」をモチーフに書かれたといわれています。
当時、自分が最も衝撃を受けた事件だ。
9年2ヶ月の年月を監禁されていた事件だ。
その時の衝撃も一緒に蘇った。

人は少なからず、別人格を持ってると思う。
生きていく中で数々の経験で人格が出来ていく。その経験が大きく残虐的なことであればそれがそのまま一生トラウマとなることもあるだろう。

この「残虐記」に描かれている、少女が監禁され、男と過ごした一年1ヶ月。
監禁から保護され、世に出た後の世間の煩わしい人間関係。
その煩わしい世間よりも、どこかでまた男との生活に戻りたい自分がいるという正直な気持ち。

大人たちを信じ、裏切られてきたなかで出来たきた人格。
それは、到底共感できないと思われるようなことだが、共感できてしまいました。
まだ、この「残虐記」を読んで、すっきりしない部分もある。

「残虐記」に魅せられて、桐野夏生氏に魅せられて、読み終わった後すぐに別の著書「柔らかな頬」を購入して読み始めたが、なかなか思うように読み進まない。
そして、今もう一度この「残虐記」を頭からゆっくり読み返してます。


2009年09月10日

大作「海辺のカフカ」―大枝佳織

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読んだ。
「ノルウェイの森」以来の村上春樹。
「海辺のカフカ」。
タイトルの美しさに惹かれ、ずっと読みたいと思っていた。
上巻を読み終えた所で、何て面白いのかしら!とあまりの面白さにガクガクと取り乱した。
公演稽古中であった為、構成台本を読まなくてはいけないのだが海カフが止まらない。

日頃、丸の内線での爆睡を楽しみとしているが、海カフを手に寝ることなんか
出来ず電車を降りてもホームでしばらく読んでしまった。
壮大な世界。
紐解かれ、また絡んでいく3つの話。
凄いわ、春樹。
いや、春樹さん
計算ではなく必然のごとく広がり繋がっていく話に感嘆の声を洩らしてしまった。

これ程に興奮した海カフだが、下巻に入ると失速する。
面白くなくなったということではないのだが、話の流れで不思議な理解出来な
い点があり止まってしまう。面白いけど、で、この人は結局誰なのかしら?
そ、そうか、でも何故?
など、何度か戻ったりし謎解きの様な読み方になり純粋に読めなくなる。
でも、ここの下りが好きだとか、泣いてしまうところなどは所々にあり楽しめた。

村上春樹フリークである佐藤さんに伺ったところ、
「それで良いんだよ!」と嬉しそうに輝いた目で励まされた。
村上春樹の楽しみかたとしてその文章の美しさ、描かれる世界に引き込まれる
ことが大切だとのこと。
確かに、後半分からないことが気になりながらもその世界に引き込まれドキドキしたり胸が一杯になった。佐藤先生の熱い言葉に納得。
さすが現代の純文学。
こういう楽しみかたもあるのね。

でも、村上文学の楽しみ方は分かったけどね、どうしても気になるのよ。
あの人は誰か、結局あの関係は何だったのか、あの話は何だったのか、佐藤さんはどうとらえたのか知りたくて思い切って聞いてみる。
佐藤先生、迷いのないキラキラとした目で答えてくれた。
「それは俺も分かんねえ!」

あ、そうなのね。
分からないのに納得出来る佐藤さんの大きさ、純文学とは何だ、改めて考えさせられる。

2009年09月01日

僕はあまり“本”を読まない―成清正紀

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僕はあまり“本”を読まない。

本を読む時間って、自分で作らなきゃないものだもんね。
電車の中でもメールや携帯ゲームや、
ネットでニュースだって見れるから。
本の面白さを知る者だけがその時間をつくる。

でも、その中で本にしかないものを僕は知っている。“豊かさ”だ。

言い方は違うかもしれないが“リッチ”な気持ちになる。

じゃあ、なぜそうしないのか?

それは「早起き」という行為に似ている。

深夜遅くまで作業するよりも、すぐ寝て朝早く起きてするほうが、
効率がよく自分も気持ちい。でもそれがわかっていて出来ない。

豊かさを知りつつ、現実の時間の流れに負けちゃっている。


そんな僕の愛読書は

週刊朝日/newsweek/AERA/週刊文春

これらはほぼ毎週読む(笑)。本じゃねーし。
分かりやすく現実を追いかけてるなぁ(笑)


「ほら吹き男爵シリーズ」にはまって「ドリトル先生」にはまって、
「オズの魔法使い」にはまって、赤川次郎読んで、中島らもに刺激を受けて、
村上龍で興奮して、サリンジャーをポケットに入れて歩いて(笑)。
司馬遼太郎で熱くなった。

小学校から大学くらいまでの好きだった本の略歴。
それらの本は、今でも僕に本を読むことを勧める。


や・・・・読もう。読むわ。今思った。ボク本読むよ!!

今から(強制的に)本屋に行くことにします。

そこで手にしてしまうのが

「さおだけ屋はなぜ潰れないか」

とか、そういった本でないことを祈る(笑)。

「マクドナルドはなぜ儲かるのか」

そういった本でなくね(ついつい手が伸びてしまうの)。

さあ、なに読もっかなぁ?