2010年11月06日

山口誠『ニッポンの海外旅行』―制作・堀口

いつもお世話になっております。
今回紹介したい本は山口誠『ニッポンの海外旅行』(ちくま新書)です。
これまでの「だだいま読書中」とはちょっと毛色の違う感じですが、最近読んだ新書のなかでも、ほんとに面白かったので、ぜひ紹介させてください。

ぼくたちが海外旅行といって思い浮かべるのはどういったものでしょうか?
この本によれば、海外旅行というものが一般化してきたのは、ここ50年以内のことにすぎないといいます。
そうした短い歴史のなかでも、人々が思い浮かべる「海外旅行」観はつぎつぎに変化してきました。
観光旅行のかたちやイメージが、それを取り上げた観光メディアや社会的な背景のなかで、どのように変化してきたのかが、この本で述べられています。

取り上げられる事象も興味深くて、『地球の歩き方』、『何でも見てやろう』、『深夜特急』、猿岩石の「ユーラシア大陸横断ヒッチハイク」といったものから、現在のインターネットの口コミサイトといったものまでさまざまなです。
これらのものが当時の社会的な背景と結びつきながらも、海外旅行のあり方を決めてきたのかを明らかにしてくれます。

年末まであと二カ月をきりました。
お正月などに海外旅行を計画している人もいるかもしれません。
そんなときに、この『ニッポンの海外旅行』を手にとって、自分たちが計画しようとしている「海外旅行」というものについて、振り返ってみてはいかがでしょうか。

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