2011年03月05日

桐野夏生著「ナニカアル」-山崎留里子(衣装)

私は本を読むのは好きですが、もっぱら図書館で借りる派です。
お金がかからない、というのはもちろんありますが、本がどんどん溜まって置き場所がなくなってしまうと困る、という理由が大きいです。

だから、好きな作家さんの新刊が出ているのを本屋で見ても、早く読みたい気持ちをぐっと我慢して、
「早く図書館で借りられるようになりますように」
と願って待つわけです。
人気があるものは1年くらい経たないと借りられないので、図書館に行って棚に並んでいるのを見つけた時の喜びはひとしおです。

桐野夏生さんは新刊が出たら必ず読む作家さんの一人。
次回のKAKUTA朗読公演、「グラデーションの夜」でも桐野夏生さんの作品が2つ、読本となっていますが、短編、長編ともに好きです。
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今回読んだ、「ナニカアル」も発売された頃から読みたいと思っていたので、借りられた時は嬉しかったです。

実在した作家、林芙美子を題材にした、ノンフィクションのようなフィクション。
どこまでが事実で、どこまでが小説なのかわからなくなりながらも、プロローグから引き込まれて、どんどん読み進みました。

昭和17年、「放浪記」などの作品で知られる女流作家・林芙美子は、陸軍報道部の嘱託となり日本軍の占領するインドネシア・ジャワへ。命懸けの渡航、記録を残すことを禁じられた日々。現地での、張りつく嫌疑と監視、愛人との再会、修羅場。

全てが生々しく描かれていました。
林芙美子の事は全然知りませんでしたが、これを読んで興味を持ちました。機会があったら「放浪記」なども読んでみたいです。

桐野夏生さんの作品の人物は、みんな人間の醜さを持っていて、リアル。でもすごく共感できる部分もあって、それが怖いけど惹きつけられます。

今回も読み応えがあり、期待通り面白かったです!

ああ、最近でた新刊「ポリティコン」も早く読みたい・・・たまには買ってしまおうか、と悩んでしまいます。