2013年11月18日

道尾秀介著『鬼の跫音』-若狭勝也

道尾秀介さんの本が気になってた。
僕より1歳年下の、1975年生まれの作家さんだ。
僕が高校1年生の時に、中学3年生の作家さんだ。

特に、関係ないですね(笑)

でも、面白い本を読んだ時にスゲーなあ~と思い、それが年下の方が書いたんだ思うと、ちょっと、
おっ。
となる。年下なのに、僕より人生経験が豊富なんだろうなあと思ったり、僕より世の中・人間の事を知ってるんだろうなあと思うと、僕は1年も多く生きてるのに何をしてたんだろうなと思うんです。
まあ、僕は作家を目指している訳ではないんですがね……。

KAKUTA団長・成清さんの家で劇団作業をしている時に、劇団員で本の話になり、僕が道尾秀介さんの本を読んだ事はないけど、気になってるんだと言ったらすぐ、マサ(佐賀野雅和)が、
「えっ?!俺ちょうど今、読み終わって持ってるよ☆」と。
「えっ?!じゃあ、貸して!」と。
なんだか、僕が読む事が“必然だったような偶然”で、手にした。

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『鬼の跫音(おにのあしおと)』

「鬼の跫音」「犭(ケモノ)」「よいぎつね」
「箱詰めの文字」「冬の鬼」「悪意の顔」
6編の短編集、6人の「S」による危険な罠。

僕は、ホラー、ミステリ、サスペンスが好きで、最後に真相が分かったりすると、勿論、そうだったんだあ!と驚くことはあるんですが、その驚きは一瞬で、ドキドキしてた割には、
「あ、そういう事ね。」
とサラッと終わる時もあります。
読んでいる途中は、ドキドキしながら読んでいるのですが、終わってしまうと、
「ふーん。」
と。

サラッと終わらず、真相が分かってからも印象に残る作品ってなんなんだろうと思っていたのですが、道尾さんのこの本の作品はどれも面白いのです。

犯人は誰だろう?とか、真実は何なのか?とか、物語の進行を追っていくというよりも、
この人は何を思っているのか?何を感じているのか?と、人の心の動きを追っていけるので、
読み終わったあとに、答え合わせのようなラストの驚きというよりは、
そうなってしまった、そうなってしまう、それまでの人の心の動きに驚きます。

本の帯にあったのですが、

人の心は哀しい。恐ろしい。
そして愛おしく、切ない。

あっ!そして、言うの忘れてた!
道尾さん本は、まだこの本しか読んでないので他の作品は分からないのですが、
作品の出だしが僕は好きなんです。
最初の1行から、
ぶぅわっ!
といきなり引き込まれるので、すぐに読書時間に没頭出来ます。
最初の1行で、最後まで読みたいと思うんです。

お時間ございましたら是非ご覧くださいませ。
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もう、一気に“ちゃんちゃんこ読書”状態で読み切りましたよ。
(“ちゃんちゃんこ読書”の季節になってきましたね☆自宅) 

また道尾さんの他の作品も是非読んでみたいと思います。