2013年10月28日

西加奈子著『円卓』-異儀田夏葉

ジャケ買いである。小説をジャケ買い。
『円卓』というタイトルと、表紙の写真がとても好きでつい手にとってしまった。

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見れば、今回の朗読公演『アイロニーの夜』の読本である『炎上する君』の西加奈子さんの本ではないか!!
しかも、表紙の写真は川島小鳥さん。『未来ちゃん』という私の大好きな写真集のカメラマンの方。

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最高の組み合わせではないかっ!!と、即買い。

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西加奈子さんは、今回の朗読公演の読本として候補にあがってから、虜になった作家さん。短編ではないものも読んでみたいというのと、『炎上する君』を上演するにあたって、他の作品に触れるのもなにかヒントがあるかも…ということもあってわくわくしながら読書開始!!

『炎上する君』もそうなのだが、主人公はひとくせもふたくせもあってとても魅力的。

『円卓』では小学三年生の女の子。通称こっこ。いわゆる大家族の末っ子だが、“孤独”に憧れている。彼女をとりまく人たちもまた個性的で愛らしい。なんだろう、この感じ…。どこか懐かしいような…。あ、ちびまるこちゃんか!!

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読んでるうちにわたしもいつの間にかこっこのクラスメイトになったような気になってくる。それが心地いい。

子どもたちは、いろんなことが、わからない。

この話は簡単に言ってしまうと、気難しいこっこがちょっとだけ大人になる話である。この話の中で、“大人になる”は、“イマジン”できる、ということだ。

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いや、このイマジンは関係ないか。

でも、想像してごらん、っちゅうことだ。家族ことを、友達のことを。わたしたちはひとりでは生きられない。

中学生や高校生の思春期をえがく作品はたくさんあるけど、この小学三年生の名前もついてない、些細なんだけど、でも、きっと、とても大きな成長をえがいた作品ってそうないんじゃないだろうか…。

大人になるって、悪いことじゃない。

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まだ読み途中の時に、わたしの癖で、あとどれくらいかなぁ〜とページをペラペラとめくっていたら、文字の羅列のページと、ランダムに文字が書かれてるページがある。フォントも微妙に異なるようだ。

なんだろう!!とわくわくしながら読み進めていくと…

まさか、その文字たちにこんなにも泣かされるとは…!!

紙に書いて、小さく小さく折って、ぜひ、心の中に大切にしまいたい。

超オススメです!!