2013年10月25日

西加奈子著『さくら』-高山奈央子

本を教えてくれる友人がいます。彼女の家にいくと、たくさんの本があり、どれが面白い?など話しつつ、オススメだよと借りたり、これは奈央子好きなんじゃない?なんて借りたり。そして、これがなかなか面白いものばかり。

そんな友人に数年前借りた本が西加奈子さんの本。
当時、彼女もはまっており、西加奈子さんの本を3冊ほど借りた。

それ以来、私は西加奈子さんのファンであり、読み続けています。
独特な描写の語り口がなんとも面白く優しく、愛おしいのです。

朗読で西さんの作品ができたら、と想っておりましたが、今回、「炎上する君」が演目に決まりテンション上がりまくり。

私が西さんの作品で初めに読んだのが
「さくら」

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どの作品も大好きなのですが、この「さくら」は私の中でも、初め、だからか、何度読んでも、毎回胸に押し寄せるものがあり、半年に1回くらいのペースで読み繰り返しております。

「さくら」は家族のお話。その家で飼っている犬の名前が「さくら」です。
家族の次男である薫の語りの物語。

家族の歴史で語られる過去は、読んでいて、キュンとしたり、悲しくなったり。問題もあったりするけれど、家族は繋がっていて、その繋がりも、ドライな感じもあり、わざとらしくなく。

その家族に大きな悪送球がはなたれます。
その出来事は大きすぎ、家族が皆抱えきれなくなり、お互いを思いながらも、仕方ない状況から、お互いを責めることなくバラバラになってしまします。

そんな時に、薫に届いたお父さんの手紙。
家族は久しぶりに家に集まります。
物語はここから始まり、過去に遡り、現在へと進んでいきます。

この家族が、この家族なりの幸せを!と願わずにはいられません。
どうなるのかは。。。ぜひ読んでいただきたい!

何より、この家族がたまらなく愛おしいのです。
楽しい事。辛いこと。嬉しいこと。悲しいこと。
そのエピソードの語り口がたまらなく愛おしい。
そして、その愛おしさは、家族が愛犬さくらに対する表現だったりします。
キーパーソンとはよく言いますが、これはキードックってことでしょうか。

この家族がどうしてこうなったのか、そして何があって、どう向かうのか。

それでも生きていく。

そんな素敵な話です。

私がこの本を手にとるときは、ぽわ〜んとぼんやりしているとき。
ふと読みたくなるのです。
今回もそんなときに手にして読んで、何やら胸には、せまるような、でも温かく、そんな感じが充満しました。

読書の秋にオススメの作品かと。
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