2013年11月01日

東山彰良著『路傍』―佐賀野雅和

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前回届いた「路傍」すぐ読み終わりました、予想通り瞬殺でございます。
この本、いわゆる短編集なんですが、主人公は全話通して同じ。チンピラのお二人。
ダメーな男二人の船橋での生活を描いているのですが、まー!ほんとにダメなんですわ、この二人!何がダメかって、何がダメなのか覚えてないくらいにダメなんですわ!そんな二人の日常ですから、ぶっちゃけどーでもいーことだらけなんです、が、がっでむ、なんですかね、東山さんの文章ってどーでもいいことが書いてあっても、ついついこうぐうっと引き込まれてしまうんですよ、ぐぐぅっと。
そんな訳で、ぐぐぅっと引き込まれて、サクっと瞬殺です。

引き込まれた先にある世界。
本を読んでいる時に頭の中で想像する世界、あれなんなんでしょう。
ぼんやりと思い浮かべているその場所は自分が行ったことかある場所なのか、それともテレビや雑誌などでチラっと見たことがあるだけの場所なのか。
僕はいつもあれはどこなんだろう?と思いを巡らせるんです。
僕が頭の中で主人公達を動かしているあの場所は大体、架空の場所。
行ったことも見たこともない場所。
地下にある汚いBARやボロアパート、寂れたフィルム工場、高級ホテルの最上階にあるプール、怪しい宗教団体の本部や岐阜かどこかの山中、全て僕の記憶にはない場所だけど、読んでいる最中はちゃんと思い浮かべることができる。人間の脳ってスゴいなあ、と思うのです。
そしてそれを思い浮かべさせる力を持った文章もこれまたスゴいなあ、と思うのです。

自分だけの世界を作りあげることができること。
これも本のいいところだなあと思うのです。

この本で二人が入り浸っているBARに行ってみたい。

否、やっぱり一瞬で絡まれて瞬殺されそうなので、
チラ見でいーや。