2011年06月23日

宮部みゆき著「火車(かしゃ)」-若狭勝也

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いつかは絶対読もうと決めていた『火車』やっと読みました。

第6回山本周五郎賞受賞。
「このミステリーがすごい! 」 2008年に賞創設から20年間の全ての小説の中から1位に輝いた作品。面白くない訳がない。

甥っ子からフィアンセ・関根彰子が突然消えたと捜索を頼まれた刑事。
彼女の足取りを追っていくと、書類上の関根彰子と、甥っ子が出会っていた女性は別人ではないか?と疑問を抱いていく・・・。

当時のクレジットカードや消費者金融などの社会問題を取り入れ、借金を抱える人たちの苦悩を浮き彫りにする。

今では、ヤミ金融対策法や、貸金業法など消費者を守る法律があり、20年前と今とではかなり状況が変わっている。
自己破産や、債務整理などのイメージも変わり、貸金業規制法によって過去の利率を新利率に計算しなおしたところ、借金がなくなる可能性や、逆に払い過ぎていた分が戻ってくるケースもあるようだ。
その過払い金返還が膨れあがり、大手の消費者金融が倒産したりと、業界も打撃を喰らっている。

いろんな事情があって借金を抱えている人がいる。
新しい事業を始めるために資金が必要だったり様々だ。
クレジットカードは便利で、使い方によっては有効に使用出来るけど、使い方を間違うと危険である。

分割払いという言葉で惑わされるが、まあそれはいわゆる“借金”である。きちんと利子が付く。現金を引き出せるカードも借金である。
当たり前の事だけど、キチンと常に理解しておかないと、頭では分かっていても、どこか体で、自由に引き出せる“自分の財産”と勘違いする感覚が芽生える。
利子が付くのは分かっている。でもそんなに大きいものではないし、自分は返せるよ!と。

漠然とした意見だけど、欲しいものがあれば、貯金して買えばいい。

いやでも、今、欲しい!便利で、後々に返せば今買える!
自分は大丈夫だ!

キチンと貯金がある人が便利さでクレジットカードを使用しているのか、ギリギリの生活の中で使用しているのかでは違う。
何が起こるか分からない。入院する事になったら、収入が減り返せなくなったり。

そんな何が起こるか分からない未来の事を心配してたら、先に進めないじゃないか!不安がってばかりいられない!

と思う人がいなくなる事はおそらくない。
だから会社側は儲かる。

「月々の支払いは、なんとこれだけなんですよ!」
「ご利用は計画的に☆」

計画を練れる人は“ご利用”せず、毎月貯金して買えばいい。
その計画を練れないから、借りるのだ。

20年前は、規制がしっかりしてないからホントにひどかったんだろうなあ。返せないのを知っていて、貸していた。

目先の事に惑わされてはいけない。

でも、あなたは大丈夫ですよ!
便利で、何の心配もいりませんよ☆
だって・・・、きっと・・・、返せるから☆

これから社会に出ていく若者たちには、
『火車(かしゃ)』宮部みゆき 著
是非読んで欲しい。

はうあっ!若狭、36歳。
生まれて初めて、本気で“若者たち”という言葉を使ってしまった!