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吐露始め 2009/09/15 火曜日

北九州「甘い丘」演出日記・1

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初演版「甘い丘」 写真/相川博昭

4月某日。
KAKUTAの朗読の夜シリーズ「帰れない夜」のポストトークに能祖さんがゲストで参加してくれた。
その公演期間中に北九州リーディング(以下、9R)の打ち合わせ。
能祖さんがカワイイ女性を二人引き連れてやって来る。
そのお二人が、今回の企画運営を担っていくのだという。
どちらも私より若く、キラキラしていてフレッシュ。
しかし若さゆえのいいかげんさなどがまるでなく、とても真摯に企画に向かっている様子が伺えて、なにやら嬉しい気持ちになる。
一瞬でも「能祖さんは可愛い子が好きだな」などとにやついた自分を反省。
この企画について色々聞き、演目は何にしようかと相談。
ちょうどスズナリでやっていた「さとがえり」が上演時間も手頃なのでまずは第一候補に挙がるも、一体どうやって朗読公演をやるのか、さっぱり見当がつかず。
とにかく一週間でやる大変な企画である、というコトをひたすら聞く。
自分はまだKAKUTA公演期間中で、頭も回らず、まあ何とかなるかとボンヤリしてしまう。

5月某日。
バンダラコンチャの稽古中。音楽家を決めねばと思いつつも、こういうとき真っ先に思いつくアルケミストは、9R公演中のこの頃は忙しいという。と、ふとバンダラで音楽を担当している花れんちゃんが思い当たり、ボーカリストでも良いかも知れぬと、ダメ元で打診してみる。
と、サラリ聞いてみたにもかかわらず、次にあったときには参考用のCDまで作ってくれた。
そのやる気だけでもう、お願いしますと思ってしまった。
花れんちゃんは女性らしい、伸びやかでしなやかで、美しい歌をうたう。
花れんちゃんを迎えることを思ったら、女のドラマ「甘い丘」が合うのではと思い、演目候補に挙げた。
そう考えれば、花れんちゃんじゃなければ甘い丘は出来なかったんだなあ。

6月某日。
「甘い丘」に決定。劇団員を迎えて良いと言ってもらい、朗読に向いている原と、「甘い丘」で、設定上難しい役柄である虎杖を演じた成清を連れて行くことに。

7月某日。
キャストオーディション。絶対一人で行くとキャスティングを悩むので、成清に来てもらう。
短い時間ではあるが、一度本読みを聞いたくらいでは決められないと思い、2次選考をやらせてもらうことになった。
一次は長ゼリを読んでもらい、二次では短い掛け合いを読んでもらう。
演劇経験不問、という呼びかけをしているため、演技スキルは期待していなかったが、予想以上に皆うまい。特に然治幹治という兄弟役を読み合わせしてもらうと、どの人もなかなかどうして面白い。
が、これ以上ないという組み合わせのキャストを見つけてしまい、然治幹治は即決定。
また、みね役にぴったりの女の子がいたりして、他のキャストも割合スルスルと決まる。
もともと成清は虎杖を演じてもらう予定だったが、難しい設定をこなせそうなキャストが見つかり、逆にオーディションキャストの中にはあまりいないタイプだった別の役を成清が演じることに。
主人公・かの子を演じる女優は、本来30代後半でないとと思っていたが、その年代の女優さんが見つからない。
が、透明感があるのに目力の異様に強い女優が印象に残り、お願いすることにした。

8月某日。
テクニカルミーティングとワークショップのため、再び北九州へ。
今度は原が一緒に行く。町は祭りムード一色で、非常に賑やかで面白い。
原も「初の地方出張なの」と揚々としており、滞在二日間は、たっぷり祭りを楽しんだ。
ワークショップも、ちょうえんぶゼミが終わった直後だったため、比較的カリキュラムもスムーズに組むことができ、順調に進んだ。
が、この日は前日色々と忙しかったため、体調が最悪で、読み合わせの段になると体がグラグラしてきた。気を抜くと頭が真っ白なり、落ちそうになり、必死で俳優たちの声に集中しようと努める。
しかし役者は皆良い。
トンビ役の俳優がべらぼうにうまく、また本家「甘い丘」の村上航さんの声と少し似ていて、シュロを演じた私はキュンとなる。
最初の本読みは2時間20分。能祖さんから1時間半を目指してカットしてくるようにと無謀な注文を受け、ますます頭が白くなる。
打ち上げで飲んだ帰り、体調の悪さがピークに達し、お腹まで痛くなって、ホテルめがけて奔走した。
劇場スタッフの若い女性が私を気遣い、伴走してくれる。その暖かさになんだか泣けてしまう。

翌日、テクニカルミーティング。
あまりにも私が何も考えていかずミーティングに向かったため、能祖さんがビックリしている。
劇場スタッフさんの皆さんも不安にさせてしまった気がして凹む。
が、技術スタッフさんがこれまたロン毛の男前で、そんなところはしっかりチェックしてしまう自分もいる。
のっけから信用を失ったまま帰るわけに行かぬと思い、もう一泊していく予定だったので、朝早くにもう一度舞台美術プランを考えて打ち合わせさせてもらった。
ひとまずはたたき台になる舞台プランが出来、少しだけ安心。
そして小倉城をしっかり堪能し、楽しんでしまう自分もいる。
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演出助手のイッチーこと市原君が案内してくれた。
イッチーはのこされ劇場という北九州を代表する劇団の主宰でもあり、この9Rシリーズを長く演助として支えて来た人でもある。
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(女の子の方がイッチー)
うちの演助・タムさんは、敏腕すぎて忙しすぎてKAKUTAでも呼べないことが多くなってきたため、演助と聞きめざとく東京へ来る気はないかなど、聞いてしまった。

それにしても舞台美術に不安が残る。
東京に帰ってきて間もなく、美術プランが送られてきた。
自分のアイディアなのに、それを元に作って頂いたデザインを見ると、どうにも動きをつけにくく、悩む。
己の美術センスのなさを思い知り、悩んだ挙げ句、タテヨコ企画の横田修氏を召還魔法(ファミレスを奢る)で呼び出し、相談に乗ってもらう。
さすがKAKUTAで長年美術をしてくれたヨコッチ。
私では考えつかなかった修正案で、使いやすい美術にしてくれた。
その後、北九州スタッフさんが素晴らしいアイディアを加え、素敵な舞台にしてくれた。

美術ももっと勉強しよう、と頭をたれる私であった。

吐露終わり
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