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吐露始め 2009/09/24 木曜日

KAKUTA「甘い丘」演出日記1

…と銘打って、KAKUTA版も演出日記を書いてみようかという気もするが、いくつかの理由がありおそらく序盤で頓挫するであろうと予測できる。

1/役者が凹む
その日の稽古をこんなとこ出振り返られてたらいやだろうね。
2/私が追っつかない
KAKUTAじゃ私も出るわけで、そのうち自分の役のことも考えると手一杯になる。
3/仕事が一杯
これが一番の理由。そんな暇があったら…という、声が聞こえる。

なので、三日坊主的に。

9月某日。(つうか今日)
久々にKAKUTA稽古が再開。再開初日というのに、体が異様に重く、だるい。
PMSのせいもあるが、風邪かも知れない。というのは本読み中、ヤケに咳が止まらずそう思ったことで。
電車に乗っているときから手がじんじんと熱く、瞼がどろんと重かった。気をつけよう。

北九州から帰っての本読み。
9Rの時の印象と比べながら聞いてしまうかと思ったが、台本直しのため初演のDVDも観ていたのでさほど引きずられてはおらず。それに、やっぱりKAKUTA版はまた全然違うもんである。
9月はじめの本読みで話したことを皆気にしながら読んでいるので、また面白くなっていた。
椿さんの弱々しい喋りが面白い。コミカルなシーンも、マジであればあるほど面白い。
ここは変に受けなど狙わずやってもらった方が良いと再確認。
むしろ、本を読みながら既に鼻を垂らして泣いている椿さんの真面目さが、役を引き立たせている。
三谷サトッコは、意識的に女っぷりを上げて読んでいるが、それが上滑っている感じがむしろ面白い。
「実際、アタシもこんな声出すの、つかれんのヨ」とでも言ってるかのようで、その荒んだ感じがはまっている。
なんとなくだが皆初演の音を憶えているだけに、それがキャラ作りをしやすくさせてる面もあれば、逆に大事な台詞を流してしまうこともある。
既に確立したキャラを初演で作った女子たちは、しかし初演は見逃していた台詞などにも注目してもらいたい。意外と、流して言っていた台詞に面白味が隠れていたりする。奈央子の役なんかは、特にそうだと思う。まだまだ遊びがいがある。
とか何とか冷静に書きつつ、私は私で自分の役に試行錯誤した。
単に音だけを追っていないか、自問しながら読んだ。しかし相手役が素晴らしく遊び心に満ちているので、一緒にまた新しい場所へ行けそうな気がする。

稽古の前、中村うさぎの「私という病」を読む。

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デリヘルへ行った著者の体験記…かと思ったら、体験談は序盤だけで、後はなぜ著者がこのような冒険に繰り出そうと思ったか、ということについて内的に探求している様子を切々と綴ってある。
なるほど、それで「私という病」なのか。
正直、47歳でデリヘルをしてみようと思った著者の、実際に体験して感じたこと、その質感や匂いも含め、生々しいルポをもう少し読みたかったという感じはある。
デリヘルとはいかような場所なのか。どんな人がいるのか。それを、急に飛び込んでいった著者の目で語って欲しかった。
彼女ならではの見え方があると思うからだ。

が、女として求められたい、その渇望、同時に抱える男への嫌悪感、恐怖。そうした内なる叫びはデリヘル体験以上に生々しく、血みどろに描かれてある。
そこへ私は、心底恐ろしく震撼したり、同時に激しく共感したりもした。
私から見れば大冒険であるそのことに挑んだ著者の心情は、意外にも遠い場所にはなく、肩を抱き、その気持ちわかるう!などと手を取り、共に生理の血の海にバチャンと浸かるような気分にさせられる。
年は全然違うのだが、女の共鳴なのかもしれぬ。

デリヘルへ行くことにした彼女の心情のなかで、とても好きな一行があった。
「欲望のためでもなく、金のためでもなく、世にも阿呆な女の意地のために」
そう、そうなのだなあ、と、素直に納得する。
世にも阿呆な女の意地。良い言葉だと思った。

吐露終わり
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