~②みなさん、聞いてほしいことが、けっこうあります~
朝、カラスがセミをくわえているのを見ました。
茶色だったので、おそらくアブラザミでしょうか。
なぜこんなにも心にひかっかったのか。
都会生活を長く続けるうち、カラスの主食は漁ったゴミだというような無意識の思い込みが私の中に生まれていたのかもしれません。恐ろしいことです。
セミはまだ生きていました。カラスは器用に足で羽をもいでから丸呑みしました。
あまりの大胆さに、カラスの腹からセミの鳴き声が聞こえてきやしないかと、黒い腹をじっとみました。
信号待ちのわずかの時間。
嗚呼、諸行無常でございますなぁ…
そんな気持ちで仏像を彫らせていただいております。
みなさん、お好きな仏像はありますか?
私はあります。
もちろんかのMJ(みうらじゅん)様などに比べれば、わたくしなんぞ足の爪に詰まった垢ですが。
例えば…
向源寺の十一面観音像です。
この像もファンが多いものですよね。
これ、一材で作られてるんです。そう、一材から仏様を取り出した最たるものなのです。
なのにどうですか、このプロポーション。体の微妙なゆらぎや表情。
私が自由研究に仏像を選んだのは、
やはりおこがましながら、このような像を彫ってみたいと思ったからでございます。
もしくは…
円空の仏像ですね。
この方は生涯12万体の仏像を作りました(12万体を作成した後、即身仏になられたのです!)
木っ端をそのまま利用することが多く、ノミでけずった跡もそのままに、
荒々しく素朴な、けれど十分な技巧に裏打ちされた、ものすごいバランスの仏像ですよね。
こういうのも、いいわよねーって。
で、お前さんはどんな仏像を彫るのさ!!!
チーン
あ…ぁ、なんかちっさいね。
…って認めちゃったじゃん!!
仏像は大きさじゃないでしょ?
心でしょ?
それに忘れてない?私、まごうことなく初めてですからね、仏像彫るの。
ね、ね、みなさん、がっかりしないでーーーーーーー!!!!
みんな、こっちむいてーー!!!
ココは、夏のホームセンター。
木材はココで調達しましたよ。
いひひひ~
簡単にみっけ!なーんだ、東急ハンズでは、ちょうどいい大きさの材を探すの大変だったのに、ホームセンターだとあっさり見つかったナァ。
拍子抜け。仏像入りの木材をヤマカンで探す。
角材ゲットだぜー!ちょろいぜ!やってやんよー!
仏像作法ってよくわからなかったので、
「ガラスの仮面」、紅天女(くれないてんにょ)のくだりを参照。
仏師が出てくるのだけど、彼が仏像を彫る前は身を清めて、塩で口をすすいでいたので、それにならう。
ついでに、なんとなく、
こんなものを唱えてみる。
背筋がしゃんとしますな。
とうとう、
彫りはじめるのね、
わたし!!
材が長いので、まずはのこぎりで切り取る。
私、劇団ってものに所属してるんですが、はずかしながら、のこぎりはほとんど使ったことがないのですよね。大道具には縁がなくて。
でも、こんなの序の口だぜ!仏を掘り出すよー。やってやんよー!
わー。不安~。
ぜんっぜん、のこぎりがまっすぐ材に入らない…
切り口がめっちゃくちゃ太くなってくる…でも…やってやんよー!
ともかくは入刀。
かなりマジ。
ふぅ…やっと切れたー!
どこのどいつだ、ちっせーなんて言ってる奴は!
こうやって、苦労して切ったんだよー!
次は、仏像を下書きして、それを元に、仏像の形にしていくよー。
これが難しい!
プロポーションのくびれたところなんかに切れ込みを入れていく。
まずは下書きを書いてから、
ひたすら、切れ込みを入れていく。
ね、この顔、なんなんでしょうね(恥)
やっとかんせーい。
でも、まだ一面だけだ。
あと三面、ぐるりと一周切れ込みを入れて、それを頼りにノミを入れて、材の角を落としていくのです。
…疲れた。
夏のあっつい昼間。
冷房なんてつけて彫ったらバチが当たるような気がして、
蒸し風呂のような部屋の中で作業しとるわけですよ(冷房ないんだけど)。
気付けば、完全にガチな部屋着で、髪もザンバラなわけですよ!!!
(鼻息荒く作業を終えて、写真を見たら、まったくよそ行きじゃない自分に驚いたー!すんません)
みなさん、すみません。
今日の作業、ここまでにしてもよかですか?
これらの撮影、すべてセルフタイマーですから。
仏像なんて集中しなきゃならんのに、気が気じゃないですから。
まずは、
誰か私を
撮影してーーー!