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吐露始め 2009/06/03 水曜日

そして相思、相愛

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昨日は劇団の定例ミーティング。
毎月のあたまに行われるコレは、劇団員たちが真剣にKAKUTAの未来を語り合うため、居酒屋を取ってるくせにみんなトマトジュースばかり飲みたがる、居酒屋の人にとっては大変迷惑な寄り合いである。
ルノアールでやれ!
そんな寄り合いである。
毎度毎度、「今回こそは簡潔にやろう」と思うのに、何度やっても時間が掛かる。
で結局、ミーティングが終了したら飲むのである。
月イチの飲み会じゃネエのと言われたら、ちょっと否定できないのである。

旅公演から帰ってきたばかりで、劇団の話にシフトチェンジするのは難しいかも…と思っていたが、実家に帰れば自然と方言が出るように、すんなりと戻る。
だけど、今頃「相思双愛」は本番中だな…と思うと、ちょっぴりセンチメンタルになった夜だった。

というわけで、私は山口公演を最後に「相思双愛」とはお別れなのでした。
本当は6月の旅公演も、千秋楽の水戸公演も行きたかったのだけど、他の仕事で尻にぼうぼうと火がついている今、涙を飲んでおニャン子クラブは「じゃあね」のメロディに乗せ、卒業してきたのです。

山口で観た私にとって最後の「相思双愛」。
終盤のシーンを観ていたら、パラリッと涙がこぼれました。
しかしそれは、もうこの舞台ともお別れ…という感傷的なものとはまた違うんですよ。
単純に、舞台を観て溢れてきたものでした。
それまでだって、稽古を見ながら涙ぐむ瞬間は、言っちゃあ何度もあったんですが、演出家ってクールでなくちゃならないんじゃない?これ恥ずかしいんじゃない?と思って我慢していたし、客観的に!!俯瞰しています!!とすました顔をしていた(つもり)。

けれど山口では、最後くらいいいじゃない、素直に舞台に感動してもさ…と自分を許してやったという感じでした。
それに、地方に行けば私は東京以上にどこの馬の骨ともしらねえ人物なわけで、劇場に入ろうとすれば当然会場案内のスタッフさんから「チケットを拝見させてください」といわれるわけで、嘘だと思われたらどうしようとびくびくしつつ「え、演出家です…」と答えてきた私なので、山口という離れた土地で、こっそり泣いたからとて誰も演出家なぞとは思うまい、という開放感もあったかもしれまへん。

ともあれ私も一人のお客さんとなって観たラストの「相思双愛」は、何とも感慨深いものだった。
そうして終演を迎え、キャストさんやスタッフさんにいつものように「お疲れ様でした」と声をかけている最中、恥ずかしながらやはり感傷的なものが目元にこみ上げてしまった。
サファリランドで遊んだ後、空港でみんなと最後のご飯を食べているとき、お疲れ様の乾杯をしてもらったときも、頑張ったねえと真紀さんに頭を撫でていただいたときも、空港の荷物受け取り場で「コレは桑原のスーツケースだよね?」と榎木さんが私のじゃないスーツケースをキープしてくれたときも(笑)、一人胸が震えてグッと来てしまったのだった。

同級生のクラスメイトのようで、仲良くしてくれたえみりちゃん。
多分同じクラスにいたらば、憧れと羨望でもって私なんぞがぬけぬけと近づきよろしくやるなんてできなかったろう。きらきらしたオーラのある女の子。
モテる。あなた、モテるよ。
わかりきったことをしばしばエミリちゃんに言ったものだ。

「私に霊がついてませんか」と山形でこっそり相談しても、笑わず見てくれた榎木さん。
唐突に変なこと言ってるのに、しかし内心本気で怖がってた私の気持ちを、丁寧に見て、「いないよ」とほぐしてくださった。
私は心底ホッとして、しみじみ、嬉しかった。
ついでに肩まで揉んでくれた。有り難かったナア…(涙)。

従姉妹のような憧れの真紀さんは、ご存じの方もいるとは思うが、この旅の最中、どんなにか辛い想いをしたかわからない。その姿を想うだけでも胸が痛くて、私はたびたび、無神経な自分に腹が立ったり、情けなく想ったりしたけれど、いつでも彼女は自分の足でしゃんと立っていて、いつでも優しかった。
同じ体験をした3月のあの時、自分はこんな風に立派に立てていたろうかと考えた。
いや。そうできてはいなかったと思う。
真紀さんを見ていたら、いつもバキバキと背骨が鳴るほどに、ギュウとしたい思いだった。

そして近藤さんだ。
近藤さんは、稽古の直前にいつもトイレに行くし、衣装合わせではボンヤリしてるし、台本は稽古序盤から信じられないくらいぼろぼろで、謎の水をやたら大量に飲み干し、おっぱいプリンを嬉しそうに舐めては真紀さんに「引くわー」と言われてるようなヒトだが、愛と根性のある素晴らしいプロデューサーである。
舞台を作るプロデューサーがみんなこういう人だったら、演劇はもっと栄えるだろうと想う。
そして誰もが知るとおり、素晴らしい俳優さんである。
感謝でいっぱいです。

空港でキャスト、スタッフさんたちとギュッとして別れた。
天才・音響の貫さんと、私の大好きな、お母さんのような演出部のスタッフさんが、バスに乗る直前まで送ってくれた。
「バラちゃん、こっからこういって、あのバス停だからね」
最後まで子供のようにお世話になりっぱなしで、子供のように、離れがたかった。

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我が子を抱くように子ヤギを抱く近藤さん。

吐露終わり
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