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吐露始め 2007/08/07 火曜日

「神様の夜」フォトギャラリー/プログラムC NO.1

さて、いよいよ『神様の夜』も後半戦へ。
一つの手紙を巡って展開されるオリジナルストーリーも、男の子・ハジメが主人公のABから、女の子・リョウを中心に進むCDと変化し、ABでは語られなかった秘密やリンクが徐々に明らかになっていきます。そのあたりも気にしつつ、お楽しみくださいませ。
ではまず、今回の4プログラムの中でも最も異色な匂いを放つプログラムCをご紹介します。

《プログラムC 魅せられる》
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※おおきい写真を見たい方はクリックしてください。

「オリジナルストーリー・魅せられる・1」
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「リョウ、入るぞ」
リョウの部屋に、父が訪れた。
「おばあちゃんから聞いたよ。お前が随分しょげてるって……どうした?」
沈黙。
「はるお君と、何かあったのか」
沈黙。
「いないのか……」
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誰もいない部屋で、父は部屋に散らかっていたその辺のものを片づける。
と、一冊の本を見つけ、パラパラとめくる。そこから一枚の手紙が落ちてきて、辺りを見回すと、父はその手紙を拾い、読みあげる。
宛先は「まだ見ぬあなたへ」

まだ見ぬあなた、さようなら
出会う前から別れを告げます
会えば必ず
私はあなたを好きになるから
会えば
魅せられて自分を失い…

「やめてよ」
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そこには、暗い表情のリョウが立っていた。
「勝手に読まないで」

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恋人と別れたリョウを心配してやって来た父。だがリョウは明るく答えることが出来ない。
リョウ「どうしたの?お父さん」
父「おばあちゃんから聞いてな、お前が随分…、」
リョウ「(さえぎり)平気」
父「ああ」
リョウ「別に元気」
父「うん…」

ポツポツと会話を交わし、なすすべもなく父は帰っていく。
父「少し何か、食べなさいよ」
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部屋に一人たたずむリョウは、父から取り返した手紙を見つめ、暗い声で読み上げる。

まだ見ぬあなた、さようなら
私と違う生き物 違う気持ち 
わかっているのに情熱で追わせる君 
そしていつかは いなくなるあなた…

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「春立つ」
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猫屋に久しぶりに来ている。《本編より》

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「ごめんください」
行きつけのバー『猫屋』に一人で飲みに行く「私」。

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猫屋の女主人・カナエさんは、「私」に向かって、あれこれとひっきりなしに話しかける。
草色ののど飴のこと、カナエさんの飼うたくさんの猫のこと、柑橘類と風邪の咳について。
「春だからさ、たまにはまあ、話してみるかね」
そして立春。
カナエさんが語ってくれたのは、若い頃、雪の降る町で魅せられた、ある男との恋物語だった。

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若い頃のカナエさんは、雪の降る町で、夕暮れ時に外を歩くことを好んだ。
ある年の立春、いつもと違う道を歩いていると、不思議な目眩にとらわれる。
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どこからともなく聞こえた鈴の音にしたがい、目眩に身を任せていると、カナエさんは丘陵の斜面を滑り落ちた。
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落ちる。
落ちている。
まだ落ちている。
落ち続けている。

やがて地面につき、再び聞こえた鈴の音に耳を澄ますと、人の気配がした。

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振り返るとそこには、若い男が立っていた。
「カナエ、こっちにおいで」
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カナエさんはなぜだかわからぬまま男につきしたがい、男の家へ行き、男に寄り添う。
そのまま、男と一緒に暮らした。
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男は家に帰りたいときは帰り、そうでないときは帰らず、自由気ままに暮らす。
そんな男に寂しさをおぼえるカナエさんだったが、男に丸められるのはいつも気持ちが良かった。
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だがある日、男は何日たっても帰らなくなった。どこを探しても男はいない。
あちこち探して回り、カナエさんが諦めたとき、天から男の声が降ってきた。
「カナエ、カナエ、また会おうぞ。雪がくる頃に迎えにこようぞ」
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「好きだったのよねえ」
あのころを振り返り、カナエさんは語った。
「雪の降る頃に現れる、そういう存在のものをね」

存在…。カナエさん話を聞き、「私」は家に帰って伝承にまつわる本を読む。
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「オリジナルストーリー・魅せられる・2」
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「もしもし、はるちゃん?リョウだよ。
…どうしてる?ご飯ちゃんと食べていますか」

リョウは家を出て行ってしまった恋人・はるおの留守番電話に話しかける。
「声が聞きたいよ。会いたいですよ。帰ってきてよ」
リョウの叫びにも似た声は、留守番電話のアナウンスにかき消された。


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吐露終わり
もくじ
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