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吐露始め 2006/01/21 土曜日

「そ」 袖すり合うも他生の縁(そですりあうも・たしょうのえん)その2

私には虚言癖があった。
と言うよりか、激しい妄想癖と言えばいいのだろうか。なんにせよ、自分の思いこみや作り話に思い切り浸る癖があった。そしてたちの悪いことには完成度の高い妄想を思いつけばつくほどに友人にそれを言いたくなった。そんでもって人に話すことにより更に本気度が増し(あるいは引き返せなくなって)、結果雪だるま式に虚言が積み重なるというわけだった。
あれは中二の頃だったか。校内でひとしきり気になる男子には恋心を寄せ、よせてはかえしを繰り返してついには気になる人がどこにもいない枯渇状態になった。中学時代に好きな人がいないというのは部活に打ち込んでるわけではない限り非常に暇なものである。
そんな時現れたのが妄想の彼・翔くん(近隣中学在校・バスケ部)だった。名前といいバスケ部と言うチョイスといい、泣けるほどに安い設定じゃないか。あの日の自分にもうちょっと工夫しろと言いたい。
すでに私には妄想のイケメンな友人(うち一人はゲイ)が三人いるという設定になっていたが、彼らは「気のいいお兄さん的存在」であったため、恋愛に発展するのは難しかった。(時々彼らのルームシェアする家に遊びに行くという完璧な設定)
そこへ現れた新参者、翔くん。彼のイラストを己で描いてみて、うまく書けた物をイメージの源にしていたと言うのも今だから話せるが今だからと言って話していいのかという話だ。
手前味噌だが彼との出会いがまた面白い。(しょっぱいという意味で)
ある日の塾帰り。一人私はいつものようにバスに乗っていた。と、料金を払おうとした時にバスが揺れ、私は小銭入れから5円玉を落としてしまった。
と、同じくバスの揺れで体が傾いた一人の少年が、偶然にも私と同じく同時に5円玉を落とし(あるかそんなこと)、拾った5円玉がどちらのものだかわからなくなってしまう(ってか別にどっちのだっていいじゃんと言う話だが)。
すいませんと言い合いながら二人で5円玉を拾うと、翔くんが私に向かって微笑みかけ、さわやかに言うのだ。

「縁(円)がありますね。」

アホか!!

あのときは完璧なシナリオだ…と思ってたのだけど、5円玉が同時に落ちるという不自然さと言い、そもそも何故バスなのに5円玉握ってるんだというこじつけっぷりといい、己の妄想ながらつっこみどころが多すぎる。

吐露終わり
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