2007/08/09 木曜日
「離さない・中編」
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「お願いだから預かってほしい」
そう頼まれて人魚を引き受けてしまう「私」。
人魚を連れてきたエノモトさんは、「私」の部屋の浴室に人魚を放したものの、なかなか人魚から離れられない。
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やがて「私」も、人魚に魅せられていく……。
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人魚を預かってから一週間。すっかり人魚の虜になってしまった「私」の元へ、正気に返ったエノモトさんがやって来た。
「どうしたの?」
「海に帰す」
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抵抗する「私」にかまわず、人魚を袋に入れて連れ出すエノモトさん。
そのまま二人は、海へ向かった…。
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「オリジナルストーリー・魅せられる・5」
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リョウを迎えて3人の時間を過ごし、カズとミチは帰ることに。
部屋の奥にいるミチを呼ぶと、ミチはあの手紙が挟まった本を手に持っていた。
カズ「ミチ何やってんの、帰るよ?」
ミチ「この本借りても良い?」
リョウ「それは…ダメ」
ミチ「預かっておこうかと思って」
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「リョウ、あんまり捕らわれないで良いんだよ」
リョウに本を返しながら、ミチがいう。
「まだ見ぬあなたはホントに、まだ見ぬあなたかもしれないじゃん?」
状況がつかめないカズをよそに、うなずくミチとリョウ。
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リョウも笑顔を見せ、帰りかけたところで奥の部屋で電話の鳴る音が。
カズ「……出れば?彼かもよ」
ためらい、電話を出ることが出来ないリョウに、カズは言う。
「リョウ。逃げるのも追いかけるのも、弱さじゃないよ」
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二人を見送り、意を決したリョウは電話の方へ向かった。
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「離さない・後編」
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海に到着した二人。エノモトさんは「私」が呼び止めるのも聞かず、波打ち際へ歩いていく。
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「やめようよ」
誘うような口調で引き留める「私」の言葉に、エノモトさんは人魚を放すことをためらい始める。
「……返す」
絞り出すような声でそういったエノモトさんにしたがい、二人は人魚を海に帰した。
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「返したね」
人魚を海に放し、エノモトさんに向かって「私」がそういった途端…。
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人魚が水面から顔を出した。
「私」を見つめると、人魚は言った。
「離さない」
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「魅せられたね」
人魚を放して数日後、コーヒーを飲みながらエノモトさんが言った。
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「オリジナルストーリー・魅せられる・6」
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「寒くないか」
晴れた日の公園でひなたぼっこをする親子。リョウを気遣いながら父は、近況を聞く。
父「お母さんも心配してたぞ」
リョウ「お母さんにも連絡したの?大げさすぎ」
あきれながら笑うリョウ。
リョウ「私ダシにして連絡するのやめてよ」
父「人聞きの悪いこと言うな」
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リョウ「だったら別れなきゃ良かったのに」
リョウはムキになる父親に笑いながらも、冗談交じりで聞いてみた。
リョウ「ホントに…どうして別れたの?」
大きな失恋を体験したばかりのリョウが、今、いちばん知りたいこと。
父「……どうしてかなあ」
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リョウ「神様の思し召し?」
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そろそろ帰るという父。別れ際、憎まれ口をたたくリョウ。
リョウ「娘の別れ話くらいで駆けつけないでいいよ」
父「おおごとだろう」
リョウ「おおげさなの」
言いながらも、あの手紙が挟まった本を手に抱き、想い深げに眺めるリョウに向かって父は言葉を探した。
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「まあ、なんだ…そういった“情熱”は、また…芽生えるものだから」
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短い沈黙のあと、公園に響くリョウの笑い声。
「情熱って!」
お腹を抱えて笑う。哀しい顔のリョウはもういない。
「よしなさい、女の子が大口開けて!」
父は、照れたように頭をかきながら、帰って行った。
そして再び、リョウは本を開き、あの手紙を取り出す。
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「まだ見ぬあなた、さようなら…」
リョウは、手紙を小さく声を出して読みはじめた。
「今頃あなたが誰かと抱き合い、笑い合い、その時私が別の誰かと笑っているとしても」
失った恋に、改めて思いを馳せるリョウ。
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どこか別の場所、別の時間に、誰かが同じ手紙を読んでいたことを知らぬままに。
いつか先の未来、またどこか別の場所で、その相手と出会うであろうことを知らぬままに。
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そしてリョウは、その公園に本を置き、去っていく。
近い将来、ハジメという青年が、その本を拾うことになる…。
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プログラムC 「魅せられる」
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さて、いよいよ次回はラスト、プログラムDです!
最後までお楽しみくださいませー!