「ありがとう、伊藤園さん!」
嗚呼、伊藤園さん。ありがとう。その懐深き飲料会社よ。
今回舞台に初登場したのが、この自動販売機という代物。
町中を歩けば見かけない日はないというこのあまりにも日常に定着している機会ですが、実はこれ、舞台で使用するのは結構大変なんです。
なぜって、大道具屋さんにもガッチリ使える自販機というのはなかなか置いていないから。
道具さんが木箱をそれらしく見えるように作ったりして、誤魔化すことも多いんです。
今回は、円形劇場さんのお心づかいと、伊藤園さんのご協力により、ホンモノを使わせていただくことに!
この自販機、今回の物語の中では、さり気なくも非常に重要な役割として登場します。
自販機のお茶のボタンを押すと、中からサイダーが出てきた!というエピソードがあり、キャストたちは劇中で、何度か間違えてサイダーを出してしまうことに。
この間違いが、ある小さな、しかし全ての始まりとなる出会いを生み出すのです。
こうして、ある孤独な男と女は出会います。
間違えてサイダーを出さなければ、この物語は始まらなかったのですね。
お茶はもちろん「お~いお茶」。サイダーももちろん、伊藤園さんの「天然水サイダー」。
出会いのきっかけに、御飯をご馳走になったお礼に、眠気覚ましにと、様々な場面で伊藤園ドリンクが大活躍!
値段設定は「200円」。ちゃんと山の値段だったりします。
高山が飲んでいるのは、アップルティー。これも伊藤園さんの定番ドリンク。
どれも本当の自販機から出てくるので、キンキンに冷えていて、美味しかった!!
それに自販機って、あの蛍光灯が照らしだす独特の雰囲気が、文明の明かりとでも申しましょうか、日常のムードをすごく醸し出してくれるんです。
人工的な明かりが寂しく映るときもあり、逆にあの明かりに励まされることってありませんか。
だから特に夜のシーンでは、物語と一緒に自販機も、賑やかになったり寂しげになったりと、その顔を変えていたのでした。
☆★小道具/キエモノ編☆★
食べたら消えてなくなるものという意味で、「キエモノ」と呼ばれるのが食べ物の小道具。
今回も伊藤園さんのお茶をはじめ、様々なキエモノが登場しました。
若者たちが食べているのがお馴染みアイス、ガリガリ君。安いしうまいしどこにでも売ってる。
若者=ガリガリ君ってイメージがあるのは私だけですかね?
「“ガマガエルを手づかみディスコでうたた寝ガリガリ君”…電グルにそんな歌あったね」
という台詞が劇中あったのですが、本当に電気グルーブの歌に「ガリガリ君」の歌はあります。
こちらは、劇中何度も登場するキュウリ。姉妹の会話により生活感をかもしたナイスアイテム。
稽古中何度も客演・青木岳美は囓りすぎて台詞が喋れなくなっていましたが、本番中は舞台上が乾くので「キュウリで水分補給していた」とか。
この野菜を運んでくれるのが津川ファームという農園を経営しているバツイチの色男・津川。
このダンボールらは、なんと!津川を演じた客演・内田健介氏と、青木岳美嬢が探してきてくれた物。客演さんにもかかわらず、ダンボール隊長と名付けられ、最初から最後までダンボールの管理を手掛けてくれました(笑)。
このダンボールには「有機野菜」と記載してあるのですが、劇中有機野菜だと言うことを口走るシーンがあるため、わざわざダンボール隊長が有機野菜のお店まで行き、探してきてくれたもの。
このダンボール、よく見て!
ちゃあんと「津川」というサインがしてあります(笑)。細かさがいい!
結婚式の引き出物と言えばバームクーヘン。
とはいえ、こんな風にバームクーヘンを食う奴を見たことがありませんけど。
舞台にある丸太の年輪を模した丸ベンチにバームクーヘンを置いて重ねるという小ネタは、地味にお気に入りでした。
私は本当にキエモノを登場させるのが大好きなんです。
近年KAKUTAの舞台でキエモノが出てこなかったことって、あったかしら?
今年1月のこれなんてキエモノだらけだったし。
あまりに量が必要で、予算がかさむものの場合、偽物を作る場合もあります。
これなんかは『北極星から十七つ先』という舞台で作った偽のお弁当。
なんとこれ!原さん手作りの紙粘土で作ったお弁当だし!!
とにかく、舞台上で飲んだり食べたりすることの多いKAKUTA。
なぜだろうかと考えるに、やはりそれは私の中で、「食べること」と「生きること」が、非常に近く深く、結びついているからなんじゃないかと思うのです。